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『静かなる決闘』(映画メモ)

『静かなる決闘』(1949年、黒澤明監督)

戦地での治療中に梅毒にかかってしまった医師・藤崎恭二(三船敏郎)。

復員後、父(志村喬)の病院で働く恭二は、婚約者の美佐緒(三條美紀)に真実を告げずに別れようとする。そこに、男に逃げられて妊娠した、ダンサーくずれの看護助手るい(千石規子)が絡むストーリーである。

潔癖なハンサム青年を演じる三船敏郎を初めて観たが、けっこうハマっていて上手い。「酔いどれ天使」と同様に、志村喬との共演も絶妙だった。

本作のテーマ「欲望と良心の葛藤」は、精神分析における「エスと超自我の戦い」であり、多くの人が抱える課題でもある。

ちなみに、アバズレだった看護助手のるいが、真摯な医療人に成長していく様子が感動的で、ほとんど「隠れ主人公」状態ともいえる。

なお、ウェブ情報によれば、GHQからの指導によって、映画のエンディングを変更させられたらしい。意外な邪魔が名作を生むのかもしれない、と思った。





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人にしてもらいたいと思うことを、人にもしなさい

人にしてもらいたいと思うことを、人にもしなさい
(ルカによる福音書6章31節)

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『うつくしいもの 八木重吉 信仰詩集』(読書メモ)

八木重吉(おちあいまちこ写真)『うつくしいもの 八木重吉 信仰詩集』日本キリスト教団出版局

29歳で妻子を残し、結核で世を去った詩人・八木重吉。

以前、重吉の詩集を読んだことがあるが、本書は、おちあいまちこさんの写真といっしょなので、味わいが少し違った。

シンプルな表現がこころに浸み込んでくるのが重吉の詩の特徴である。

例えば「空」という詩。

空よ
おまえのうつくしさを
すこし くれないか


最も印象に残ったのは「大木をたたく」という詩の後半部分。

森へはいりこむと
いまさらながら
ものというものが
みいんな
そらをさし
そらをさしているのにおどろいた


重吉の悲痛が伝わるのが「春」という詩である。

朝眼を醒まして
自分のからだの弱いこと
妻のこと子供達の行く末のことをかんがえ
ぼろぼろ涙が出てとまらなかった

病気が重吉の詩を純化させたともいえるが、と隣り合わせなのかもしれない、と思った。




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『はじまりのうた』(映画メモ)


『はじまりのうた』(2013年、ジョン・カーニー監督)

カーニー監督の前作『ONCE ダブリンの街角で』が良かったので観てみたが、この映画も良かった。

人気歌手の恋人に浮気されたグレタ(キーラ・ナイトレイ)は、たまたまクラブで歌っていたところ、落ち目の音楽プロジューサー・ダン(マーク・ラファロ)に認められる。

しかし、ダンは会社をクビになってしまいレコーディングができない。そこで、仲間を募りながら、ニューヨークの街でアルバムづくりが始まるという物語。

『ONCE ダブリンの街角で』と同様の音楽映画なのだが、すべての曲がいい。

無名のミュージシャンが仲間と音楽を創り出していくプロセスは、前作同様、感動した。

神様からもらった賜物を用いて、探求し、創作し、感動すること。

これが人生の醍醐味である、と感じた。

なお、主演のキーラ・ナイトレイが『危険なメソッド』に出ていたことを思い出したが、歌が上手いのに驚いた。



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