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『ガンジーの実像』(読書メモ)

ロベール・ドリエージュ(今枝由郎訳)『ガンジーの実像』白水社

『ガンジー自伝』(以前に紹介)と『ガンジーの実像』を買い、どちらを先に読もうか迷ったが、先にガンジー自身が自分の人生をどう評価しているのかを知りたいと思い『ガンジー自伝』を先に読んだ。

この順番で正解だった。本書を読むと、確実にガンジーのイメージが悪くなるからである。

独善的なリーダーシップスタイルや、経済感覚に乏しかったりすることが強調されていているが、幻滅してしまうのは、ガンジーがかなりの「女好き」であること。

いつも若い女性に取り囲まれていたガンジーは、彼女らに自分の体を洗ってもらい、マッサージをしてもらい、さらに、彼を暖めるために自分のベッドで寝させていたという。「聖人のイメージ」がふっとんでしまった。

さらに、ガンジーはインドだけの繁栄を願っていて、全世界の幸福は望んでいなかった。ガンジーをマハートマー(偉大なる精神)と呼んだタゴール(ノーベル文学賞を受賞したインドの詩人)は、後年、自分の国の幸せだけに関心を寄せるガンジーを批判するようになったらしい。

評伝だから覚悟はいていたものの、ここまでイメージが崩れるとは思わなかった。やはり自伝と評伝にはギャップがある。

しかし、よく考えてみると、ガンジーは自伝の冒頭で「私を神から遠く引き離しているものが、内心に宿る邪悪な欲情であることはわたしも知っている。しかし、それから逃げ出すことができないでいる。」(p.20)と告白している。

自分の罪を公に認めているガンジーは、やっぱり凄いのかもしれない。
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