goo

強みと存在意義

先日読んだ『子供時代』(リュドミラ・ウリツカヤ著、沼野恭子訳、新潮社)の中に、「折り紙の勝利」という感動的な作品がある。

主人公ゲーニャは、父親がおらず、生まれつき足が悪く、いつも鼻がつまっているため、近所の子供たちからいじめられている。

ある日、お母さんが「ゲーニャのお誕生日にあの子たちを呼ぼうと思うの」と言いだす。「気が変になったのかい」「あの子たちは子供とも思えない、ワルどもだよ」とおばあさんがびっくりする。(p. 100)

「だれにも来てほしくない。やめようと、ママ」(p. 102)と頼むゲーニャ。

そんなことお構いなしに、お母さんは誕生会を開く。

実はゲーニャには得意技があった。それは「折り紙」である。病気がちなゲーニャはベッドの上で折り紙を折りながら戦ってきたのだ。

イマイチ盛り上がりに欠ける誕生会の中で、お母さんが「ゲーニャ、折り紙を作ってあげたら?」と促したところ、「ぼくにも!ぼくにも作って!」「ゲーニャ、ぼくはコップ!」「私は人!ゲーニャ、人作って!」と大人気に(p. 109-110)。

この作品を読み、それぞれが持っている「強み」を引き出してあげることが、その人の「存在意義」につながるのだな、と思った。








コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 『マーガレッ... 『豚の死なな... »