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『終わった人』(読書メモ)

内館牧子『終わった人』講談社文庫

還暦が近いので読んでみた。

東大法学部卒で、都市銀行のエリートコースを歩んでいた田代壮介だったが、50代に入って出世競争に敗れ、社員30人ほどの子会社・専務で退職することに。

「『終わった人』という現実がありながら、まだ仕事をしたがっている趣味には生きられない。とどのつまりは、こうして死ぬまで息を吸って吐いているしかないのか」(p.106)

フィットネスジムに行くもののジム仲間に入る気にならず、ハローワークで仕事を探しても華麗な学歴が邪魔して見つからない壮介。家でグチっているうちに、奥さんにも嫌がられてしまう

そんな壮介に、成長企業から「顧問になってくれないか」というオファーが来て、急展開に。

終わり方に少し不満があったが、なかなか面白かった。

ちなみに、ボクシングのレフリーを(副業的に)している二宮という友人が出てくるのだが、この人の生き方は良かった。

俺、夢があるんだ」「男子の世界戦を裁きたい。女子の世界戦は裁いているけど、いつか必ず男子をやる。夢が叶ったら招待するよ」(p.105)

そういえば、いつのまにか「夢」を持っていない自分に気づいた。

仕事でも趣味でも、夢を持ち続けることが大事なのかもしれない。

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