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『美貌のひと:歴史に名を刻んだ顔』(読書メモ)

中野京子『美貌のひと:歴史に名を刻んだ顔』PHP新書

絵画の裏には隠されたストーリーがある。美貌の男女を描いた40作品について中野さんが解説したのが本書。

最もインパクトがあったのは、ルノワールが描いた『ブージヴァルのダンス』にまつわる話。

ここに描かれている美女はシュザンヌ・ヴァラドン。娼婦の母に育てられたヴァラドンは給料の良いサーカスのブランコ乗りになるものの、ブランコから落ちてモデルへと転身する。その当時のモデルは、街娼以下の低い地位だったらしい。

18歳で産んだ子供を育てるために、ルノワールやロートレックなどのモデルをつとめ、なんとその合間に、独学で絵を描き始める。その後、ロートレックに画才を認められ、ドガに指導を受けたヴァラドンは画家になってしまう。

なお、ヴァラドンは子供を酒好きの祖母にあずけっぱなしにしたために、子供は十代でアル中となり、精神病院に入れられることに。治療の一環として勧められた絵画にはまったこの息子こそ「モーリス・ユトリロ」である。

人生は、いろいろな出来事が複雑にからみあって決まっていくことを改めて感じた。


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