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『白い巨塔』(映画メモ)

『白い巨塔』(1966年、山本薩夫監督)

ひさびさにインパクトのある映画を見た。冒頭とラストで流れる「財前教授の御回診~」という声が耳から離れない。名優ぞろいのこの映画は、すべてのキャストが素晴らしかった。

なんといっても、財前五郎役・田宮二郎の、やや未熟だが鬼気迫る演技が最高である。途中から悪魔のような顔になっていくところが凄い。

財前の上司である東教授役の東野英治郎も上手い。財前が憎たらしくてたまらない感じがにじみ出ていた。

なお、財前教授の義父で、産婦人科院長・財前又一(石山健二郎)の「カネやカネ。カネさえ積めばなんとかなるんや!」というコテコテの関西人や、「競争相手の教授を殺せばいいじゃない」と提案する財前の愛人・花森ケイ子(小川真由美)がいい味だしてた。

最初は、真面目人間・里見助教授(田村高廣)がカッコいいと思っていたが、あまりの正直ぶりに途中から鼻についてきて、裁判の場面では財前五郎を応援している自分に気づいた。

逆に、財前の敵、東都大学・船尾教授(滝沢修)が「いやらしい奴」だったのに、裁判で素晴らしい陳述をしたと思ったら、やっぱりタヌキじじいであることが判明。

人間の多面性を実感した。

とまあ、そういう考察は抜きにして、最初から最後までハラハラドキドキして観ることができ、最高に面白い映画だった。







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