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『ブエノスアイレス午前零時』(読書メモ)

藤沢周『ブエノスアイレス午前零時』(河出文庫)

この小説は、まずタイトルがかっこいい。

ただ、小説の舞台はブエノスアイレスではなく、山奥の温泉旅館である。

広告代理店を辞めてUターン就職した従業員カザマが、団体客の一人で元売春婦の老女ミツコと出会い、ストーリーが展開する。

なんと何といっても素晴らしいのが、小説のラスト。僕の中で一番美しいエンディングは『明日の記憶』なのだが、それに次ぐ美しさである。

どのような人生を送った人でも、その人を支える思い出がある。他者が持つ、そうした思い出を大切にしなければならないな、と強く感じた。

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