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『孫子・三十六計』

湯浅邦弘『孫子・三十六計』角川ソフィア文庫

今から二千五百年前に書かれた『孫子』。基本的には兵法書であるが、戦争の本質だけでなく、人間の本質に関する哲学書でもあるという。

ちなみに、三十六計は、孫子をベースに兵法の要点をまとめたもの。「三十六計逃げるが勝ち」の三十六計である。実践的であるがゆえに、少し軽い気がした。

それに比べて、やはり孫子は心にズシンとくるものがあった。最も印象に残ったのは次の箇所。

「勝利の軍隊というのは、まず開戦前の廟算の段階で勝ち、その上で実際の戦争に勝つ。逆に、敗北の軍隊というのは、入念な事前計画もなく、とりあえず戦ってみて勝ちを求めようとする」(p.70)

当たり前といえば当たり前なのだが、自分の仕事を振り返ってみると、「とりあえず戦ってみて」が多いことに気づいた。

次の教訓も重い。

漠然とものごとを考えれば、漠然とした結果しか得られない」(p.74)

これを読んで、岡本太郎の言葉「いま漠然としているから、永遠に漠然としちゃうんだ」(『太郎に訊け』)を思い出した。

しっかりと事前準備をすることの大切さを痛感した。




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