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『少しだけ、無理をして生きる』(読書メモ)

城山三郎『少しだけ、無理をして生きる』新潮文庫

今まで読んだ城山さんのエッセイはやや硬かったが、本書はとても迫力があった。たぶん、講演録を基にしているからだろう。

本書では、渋沢栄一、広田弘毅、浜口雄幸、田中正造の生きざまについて語られているのだが、心打たれる話ばかりである。

中でも印象深かったのは、『落日燃ゆ』で描かれた元総理大臣・広田弘毅の章。東京裁判で戦犯となり死刑になった人だ。

「ほとんどの人が広田さんは無罪になるだろうと見ていたのに、判決は死刑でした。キーナン首席検事までが、「何という莫迦げた判決か」と言っているくらいです。みんな懸命になって偽証もしよう、保身を図ろうという証言台にすら立たないのだから、死刑を覚悟していたとしか思えない。でも、広田さんは自分が死刑になることで天皇をかばおうとした。そうすることで、いわば戦後日本の出発を、一身に引き受けようとしていた」(p.115-116)

保身に走る政治家が多いなかで、日本のために死んだ広田さんの中に真の政治家の姿を見た。

『落日燃ゆ』は読んでいないので、さっそく買おうと思った。


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