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自分を殺して仕える人々

引き続き『華岡青洲の妻』より。

世界初の全身麻酔による手術を成功させた青洲の業績は、シカゴにある国際外科学会でも讃えられているという。

この業績をサポートしたのが、妻・加恵と母・於継であることはすでに述べたとおりである。

しかし、本書を読むと、嫁にも行かずに華岡家に仕えた小姑の「於勝」と「小陸」の働きが大きいことがわかる。

京都で修行している青洲の学費を稼ぐために二人は機織りをし、青洲が帰ってきてからは家事を一手に引き受けた。そして、二人とも若くして癌のため亡くなってしまう。まさに「滅私」の精神で兄を支えたのだ。

大きな業績を上げる人の背後には、自分を殺して仕える人々が存在する、と感じた。

出所:有吉佐和子『華岡青洲の妻』新潮文庫
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