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読書の危険性

ニーチェは著書『この人をみよ』の中で、読書の持つ危険性を次のように指摘している。

「ただ書物を「ひっかきまわして検索する」ことだけしかしない学者は ― 並みの文献学者で日に約二百冊は扱わねばなるまい ― しまいには、自分の頭でものを考える能力をまったくなくしてしまう。本をひっかきまわさなければ、考えられないのだ」(p.72)

「読書は、わたしを、まさにわたしの本気から休養させてくれるのだ。仕事に没頭しているときは、わたしのそばに一冊の本もない」(p.56)

極端な物言いであるが、かなり鋭い指摘である。

読書をしていると頭を使った気になってしまうが、よく考えてみると、自分の頭で考えていないことが多い。特に、次の発言は過激である。

「本を読むこと ― それをわたしは悪徳と呼ぶ」(p.73)

本にのまれて考えなくなる人と、本を道具として使って考える人。この二タイプの人が存在するように思う。読書の持つ危うい側面に気づかされた。

出所:ニーチェ『この人をみよ』(手塚富雄訳)岩波文庫







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