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不安と緊張感の必要性

ウェーバーは『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の中で、近代資本主義が生まれたるにあたり、カルヴァン主義の影響が強かったことを示唆している。

キリスト教の世界では、通常、自分の罪を悔い改め、イエス・キリストを救い主と認めて、洗礼を受ければ、どんなに悪い(悪かった)人でも「完全に救われる」と考えられている。

しかし、カルヴァン主義では、たとえ洗礼を受けていても「神に救われている人とそうでない人がいて、それは死んでみないとわからない」という考え方があったようだ(どうも、この考え方が本当かどうか怪しいのだが)。

カルヴァンの影響を受けたビューリタン(清教徒)らは、自分が救われていることを確信するために、禁欲生活の中で一生懸命働いたらしい。つまり、自分が天国に行けるかどうかわからない状況だからこそ、現世において彼らは贅沢もせず働いたのだ。

一方、洗礼さえ受ければ天国行きは確約されていると考えていたカトリックの国では、あまり緊張感がなく、しゃかりきに働く風土は生まれなかった。

理由はともかく、何らかの「不安」や「緊張感」があってこそ、人は一生懸命働くのだな、と感じた。

出所:マックス・ウェーバー(大塚久雄訳)『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』岩波文庫


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