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『ショパン』(読書メモ)

遠山一行『ショパン』新潮文庫

天才音楽家ショパンの生涯を解説した本。

熟達の研究をしているので、こういう本を読むと、どうしても何歳からピアノを始めて、いつ頃世界レベルになったのかをチェックしてしまう。

はじめはお母さんにピアノの手ほどきを受けたようだが、6歳のときに先生についてピアノの勉強を始めたらしい。だから、3,4歳のときに弾き始めたのだろう。ちなみに、はじめて作曲したのは8歳のとき。

ポーランドに生まれたショパンは、16歳のときにワルシャワ音楽院に入学し、この年「マズルカ風ロンド」を作曲する。本格的に音楽を勉強するようになってここまで10年だが、この作品がショパンの個性をはじめて明らかにしたものという評価があるそうだ。

熟達研究では、国際レベルの業績を上げるには最低10年かかるという「10年ルール」があるが、ショパンにも当てはまる。

ただし、著者の遠山先生によれば、「彼は当時の流行のスタイルにかなり忠実だった」という。つまり、ショパンは「守・破・離」の守の段階(先人のやり方を模倣し、習得する段階)にあったにすぎない。

ショパンがその個性を発揮するのは、パリに活動の場を移した20歳から30歳の期間のようだ。つまり、一応世界レベルになるまで10年かかり、自分の個性を発揮して後世に残る作品を発表しはじめるのにさらに10年かかっていることになる。

ゴッホや空海も同じだが、天才といわれるショパンも「はじめは模倣から始めている」ことを知って、少し身近に感じた。

模倣の後に、自分の世界を創れるかどうか、そこがポイントだと思った。
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