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現状を否定できるか

日経ビジネスの特集記事(2010年1月11日号)によれば、「○○塾」といった社内塾を開く企業が増えているという。

その多くは「次世代リーダー達に経営課題を出させ、改革プランを実行させる」というもの。しかし、出てくるプランは「カイゼン」のレベルにとどまり、組織全体を変えるまでには至らないというのが現状のようだ。

そんな中、社内塾から出た提言が収益拡大に貢献しているケースもある。TOTOの社長塾である(現、経営塾アドバンス)。

ただし、TOTOの社内塾も当初はパッとしなかった。それが変わったきっかけは、講師に当時の企業再生コンサルタントである三枝匡氏(現ミスミグループCEO)を呼んだことによる。

三枝氏は、3つのチームをつくり、人材育成ではなく「企業再生」の観点から指導した。そのポイントは、事業に関係するデータを徹底的に集め分析し、企業が抱えている問題を直視させ、追い込んで考えさせること。

その結果わかったことは、TOTOの組織が、新築向け市場を中心として造られているため、リフォーム需要に対応できていないことだった。

それからリフォーム需要を取り込む案が次々と出され、今や売上の半分以上がリフォーム市場からのものにまでなった。

組織が変われない理由の多くは、過去の成功体験や既存事業に関係する。「現状のままだとじり貧になる」ことをデータによって徹底的にあぶりだす。触れられたくないところまで踏み込み、現状を否定できるかどうか。この点に社長塾活性化のポイントがあるといえそうだ。

出所:「「抵抗勢力」を論破する」日経ビジネス2010年1月11日号p.26-30.
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