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賞の副作用

つみきのいえ」で米短編アカデミー賞を受賞した加藤久仁生氏のインタビュー記事を読んだ。ビッグタイトルを獲得した加藤氏が次のように語っているのが心に残った。

「今一番心配しているのは、アカデミー賞受賞という事実が独り歩きしてしまっていることです。賞を狙ってアニメーションを作っているのではありません。賞はおまけみたいなもので、タイミングとか様々な要件が合って受賞できるものだと考えています。」

「次の作品でも賞を取ることを期待されているとすれば、その期待とは距離を置きたい。自分はその時々で表現したいものを形作っていければいいと思っています。」

同じくアカデミー賞をとった本木さんが「自分のイメージする自分の役割からはみだしている」と言っていたが、加藤さんも「賞」が持つ怖さを実感しているのだろう。

「賞」という他者からの評価は、自信につながるし、知名度が高まることで世界が広がるというポジティブな面がある。

その一方で、自信過剰になったり、安心しすぎたり、過度なプレッシャーにより自分を見失ったりするという副作用もあるのだろう。

成功すればするほど、自分が表現したいことを表現することは難しくなるのかもしれない。そういう意味では、宮崎駿さんや手塚治虫さんは凄い人たちである。

出所:加藤久仁生氏「オスカーに負けたくない」日経ビジネス2009年5月4日号82-84p
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