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おもしろおかしく(堀場製作所)

「おもしろおかしく」

これは堀場製作所の社是である。同社は、自動車、半導体、医療、環境の分野で世界初の測定機器を次々と開発し、自動車の排気ガス測定装置は世界シェア80%を誇る。

「おもしろおかしく」とは何か?自分が「面白い」「これをしたい」というこだわりを持って仕事をすることだ。技術開発型の堀場製作所がこだわるのは「世界一」という点。エンジニアに「世界一の仕事をしたな」と言ったら、これ以上のほめ言葉はないという。自分が「おもしろい」と思ったこだわり分野で世界一の仕事をすること。これが「おもしろおかしく」の意味だ。

12年の試行錯誤を経てX線顕微鏡を開発し続け、ヒット商品に育て上げたエンジニアは次のように語っている。

「しんどい時こそおもしろおかしくに立ち返って、自分が何をやりたいのかを改めて考えた」

堀場製作所はニッチ市場を狙い、そこから事業を広げていく戦略をとる。最高顧問の堀場雅夫氏は、次のように述べている。

「机を上から手で一生懸命に押してもびくともしないけれど、キリを使えばすぐに穴が開く。小さな市場でもとにかく世界一になって、それを軸に横に広げるのが正しい。だから今でもうちは中小企業の集まりです。一つのことを極めずにすぐ横に広げるのはアホの経営です。」

同社では、10年以上、全社的な業務改善活動に取り組んでいる。マンネリ化や形骸化に陥りやすい改善活動を継続できる秘訣も「おもしろおかしく」にある。168のチームが取り組んでいる改善活動の中から、毎月社長が賞を出すことになっているが、その基準はPerformance(成果)、Learn(学習)、Enjoyment(喜び楽しみ)の3つであるという。

堀場雅夫氏の言葉が印象的だ。

「日本人はなぜか仕事とはしんどくて大変なものだと頭に刷り込まれている。もっと自分を大切にせないかんと思います。人生80年のうちの最も貴重な40年間を使う仕事が「おもしろおかしく」なくて、何のために生きるのか」。

以前、このブログでも紹介したウィル(何がやりたいのか)、マスト(何をしなければいけないのか)、キャン(何ができるのか)という3つの輪のうち、堀場製作所では、ウィルとマストが重なっていると感じた。ウィルとマストを重ねることで、キャンを大きくしているのだろう。

自分はおもしろおかしく仕事をしているだろうか。

出所:日経ビジネス2006年12月25日・2007年1月1日号「堀場製作所:会社ほどおもろい場所はない」
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