みどりの野原

野原の便り

1月17日 春日山原始林

2015年01月17日 | Weblog
春日山原始林南部遊歩道(春日奥山遊歩道 南部)を案内していただいた。

公園から春日大社の森に入ると、景色ががらりと変わる。
ナギは、春日大社のご神木として保護されていること、日陰でも生育すること、シカの食害を受けないことで広がり、若木も目立つ。

 
       ナギ          奥の方に若木がたくさんあった。

「春日大社境内のイチイガシ巨樹群」は奈良市の文化財に指定され、遊歩道沿いにもたくさん見られる。

森を抜けて車道を滝坂の道の方へ。

車道沿いの明るい林縁に目立つナンキンハゼ 今は裸木
元々は街路樹・公園樹として持ち込まれたもので、秋の紅葉・白い果実は奈良の風物詩となっているが、シカが食べないため勢力拡大中。

車止めチェーンからいよいよ春日奥山南部遊歩道に入る。
春日山は春日大社の山として神聖視され、樹木の伐採が禁じられ「1200年間人の手が入らず保護されてきた」として特別天然記念物に指定されている。

保護されてきたとはいえ、春日山全体が全く手つかずというわけではなく、戦国時代また明治時代にも原生林を伐採して利用した歴史があり、場所によってはその後植林されたスギの森になっているところもあるらしい。

遊歩道沿いではイチイガシ・クスノキ・ケヤキ・モミ・エノキ・スギ・カゴノキ・イヌシデ・アサダ・ツブラジイ・・などたくさんの巨樹を見ることができる。
春日大社ができた頃にはイチイガシを優先種とする照葉樹林がひろがっていたというので、もっと鬱蒼としていたことだろう。台風などで大分減ったという。タマミズキももっとたくさんあったそうだ。

 
イチイガシ巨樹 葉は密集せず空が見える。  まっすぐに伸びて上で枝を広げる。


イチイガシ 老樹の幹は樹皮が落ちて渦巻き模様ができていた。
それぞれの木には、樹皮・枝張り・・それぞれの歴史?による特徴がある。
若い木と老木でも種皮は異なる。樹皮を見て木の種類を見分けるのはむつかしいなあ。

ナラ枯れはあちこちで問題になっているがここも無縁ではない。若草山では被害が広がっているらしい。

所々でカシノナガキクイムシの侵入を防ぐため、又は飛散を防ぐためのビニール巻きの痛々しい姿が見られた。
  
    根までビニールで覆った木  高い所(7・8m)まで穿孔されたアラカシ 
こんなに高い所まで穿孔しているのは初めて見た。

近年、表土の流出が顕著になっているらしい。目立つところが何か所もあった。
 
土が流れて根がむきだしになった木 意外と土の層は薄く、50cmぐらいしかない。
         左)落葉樹      右)針葉樹 根の張り方もよくわかる。 
表土流出は大雨など異常気象が影響しているらしいが、シカ害で地面を覆う草がないのも関係ありそう。「森の変化を見ていかなければ」と言われた。


森の中では光を求めて木は上へ上へと成長する。
本来の姿でなく光を求めてやむを得ず?上へと延びた木は異常気象に弱い。
 
    大雪で倒れたというサクラ         モミの倒木 年輪がきれい。


妙見宮でお昼になった。ここまで来るのは初めてだ。
このコースでクリンソウやカリガネソウを見たのは相当前だが、その時もここまでは来なかったようだ。これらは今も残っているのだろうか?

昼過ぎ、雨と雪が降ってきたので予定変更。ここから引き返すことになった。

帰路は滝坂の道に出て、巨樹に親しむ会の演習林や、県所有地のカシナガの防止対策をしているところを見学。

 
こんな高い所までビニール巻きしてあるのは初めてみた。 
                   伐採、燻蒸された木

春日山が遠くに見える場所から春日山で一番太いといわれるスギを双眼鏡で見た。
太い幹は白骨化しているが上部は枝葉が繁っているのを遠目に見ることができた。

説明を聞きながら廻って、1人では気がつかないことがいろいろわかった。
他では見られないこの森の貴重さ。実際に森の中に入って見ることの大切さ。森の全体の観察を続けていく大切さも分かった。
この春日原始林を未来へつなごうという活動が検討中とのこと。
コメント
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