柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

不介入

2006-08-30 08:40:41 | Weblog
徳山工専事件、同級生の男が犯人でしたか。何ともなぁ、です。「恋情のもつれ」でしょうね、週刊誌風に言うと。どうしてふられたとしても我慢できんかなぁ。この娘にとればいい迷惑だったんでしょうねぇ、言い寄られて。尤も、今私達に与えられている情報は、被害者のいわば「いい面」ばかりです、太陽のような娘だった、クラスメートからも慕われていた、熊本大学に編入入学が決まっていた等々。どんないきさつがあったのかはわからないですが、しかしどんな状況であれ「恋情のもつれ」であるなら思いの届かぬはよくあること、そういう事態に辛抱しきれない、我慢しきれない、時間の過ぎるのを待つしかないのに待てない、そういう未熟さ、いや年若いことに拠る未熟ではなく元々の脳のつくりとしての未熟さに溜息がでます。皆、我慢して、時の過ぎるを待って忘れてきたんです。そうですよね。こんな男に(女に)横恋慕されるが身の不運です。場合としては恋情関連でない事、例えば劣情関連(暴行強姦目的)、もの盗り関連などがありましょうし、上記に決まったことではありませんが、後者であればまことに安全な場所というのがなくなったという、また別の溜息が出ますね。自分の通う学校でそんなこと起こると思いませんよ普通は。
 稚内の母親殺し。これまた30万円で殺人依頼するなんてゴルゴ13の世界。でも、高一生にどうして30万円なんて用意できたのかしら。ま、話だけだったんでしょうけれど(先払いだったりして)。よほどに憎たらしかったんでしょうか。呆れるばかりですが、事情が家庭環境が露わになって世論形成までなされるほどになっても、この種の親子の事件は他人の介入を拒みますね。といううか、親子の憎愛は他人には窺い知れぬのです。便宜上の法律で裁く為に前後左右の事実関係を調べて客観的に、なんてはできないことなんです。平たく言えば、警察が民事不介入なんて言いながら夫婦げんかや親子ゲンカに口を出さないのと同じように(もっとも最近はDVがありますからね、ストーカーがうじゃうじゃいますからね、刑事事件になるのを待っているわけにもいかなくなっていますが)、「あんたが産んだ子だ、殺そうが虐待しようが好きにしなさいよ」「あんたが産んで育てた子に殺されるのはしかたないぞ」です。乱暴ですかね。小さい子供が、自分の親に虐待されて、それでもそれでもその親に擦り寄っていくしかない、そんな悲劇を聞けばもちろん義憤に心は溢れます、なんとかその子を助けてやりたいと思います、そのとんでもない親をぶん殴ってやりたいと思います、その子を思うと涙が溢れます、傷めつけられても痛めつけられても親はその二人だけなんです、抱っこしてくれと擦り寄っていくんです、こんな悲しさがありましょうか。でも、でも、私達はそう思うだけで終わるんです。児童相談所も五十歩百歩です。引き離しても引き離しても、親が連れに来たら返さざるを得ない現実なんです。そこを拒絶する強い力が未だないのです。人ごとなんです。よそ様の家庭のことなんです、原則不介入なんです、暗黙の了解ごとです。その方が私達は、社会は楽なんです。そして果たして「被害者」は増えるばかりです。ううむ、きれい事じゃぁだめだなんて凡百の評論家になっちゃだめです、どうしますか諸兄。どう思われますか、諸姉。
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