ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

奇跡の Chateau Margaux 1900

2011-07-23 16:43:00 | ワイン&酒
3月の大震災の直前に、素晴らしいお誘いを知人からいただきました。
それは、1900年 を含む シャトー・マルゴー の垂直飲み比べ

会費の点から少し悩みましたが、いや、これはもう二度とない機会ということで、シャトー・マルゴー4ヴィンテージの会に参加してきました。



シャトー・マルゴーはボルドーのメドック地区マルゴー村のシャトーで、記録に残っている最初のヴィンテージは1771年とされています。1855年のメドック格付け以来“1級”を守ってきました。
ワインはカベルネ・ソーヴィニヨン主体で、特に90年代半ば以降はカベルネの比率が上がり、メルロが下がってきています。
(2010年はカベルネ・ソーヴィニヨン90%、メルロ7%、カベルネ・フランとプティ・ヴェルド各1.5%)
また、1998年からは樽の洗い方を変えたため、味わいにいい影響を与えた、と言われています。



Chateau Margaux 1988 1982 1978 1900

今回は、上記4ヴィンテージを垂直で楽しみました。



4ヴィンテージともソムリエの手で慎重にデカンタージュ




1988
なめし革のニュアンスが感じられますが、まだまだ全然若い!
タッチは軽快で、バランスとしては今の段階では酸味が目立っていました。
もう少し寝かせておき、変化を楽しんでみたいと思いました。

1982
20世紀後半の中で、1961年に次ぐ傑出した年といわれています。
まだ早いかも?と思っていましたが、ちょうどいいひとつの飲み頃になっていました。
なめらかでやさしいタッチで、なめし革の中に甘みを感じます。エレガントで余韻が長く、バランスも非常によく、完成されたおいしさがありました。

1978
クラシカルでタンニンが強く長期熟成の能力を持つが、すでに飲み頃になっているワインが多い1978年ですが、このマルゴーはまだまだ熟成しそうです。
非常に色が濃く、黒紫色をしています。3つのワインの外観だけ見ると、これが一番古いとは思えません。味わいにも若々しさがありました。
タバコっぽいスモーキーさがあり、複雑な風味を持っています。



左から 1978 1982 1988

1978年の濃厚な色には驚きました。



Chateau Margaux 1900

さて、1900年。
1世紀以上が過ぎ、果たしてどんな状態になっているのか?
(1999年にリコルクされていました)

生きていました!しかも健全な状態で!
キノコを思わせる、熟成したワインならではの風味があり、香りだけでもううっとり。
口にすると、しなやかで甘い!
複雑な旨味があり、じんわり滋味。
まだまだ生き永らえそうな生命力を感じました。



1900年(左)と1978年(右)  ―1900年の色はさすがに淡くなってきます





エチケットデザインも変わってきています

下に書かれた 「Barton & Guestiere」 はネゴシアンの名前。
当事はネゴシアンで瓶詰めされることもあったのです。
(Barton & Guestiere は現在ディアジオの傘下)



シャトー・マルゴーは日本でも非常に人気のあるワインですが、実は、私はおいしいと思えたマルゴーに出会ったことがありませんでした(飲む機会が数少なかったこともありますが)

そのため、自分から進んでシャトー・マルゴーを飲みたい!と思ったことがなかったのですが、今回はその考えを改めなければいけない出会いとなりました。

もちろん、史上最高と評価された1900年のような年を飲むことはこの先もうないかもしれませんが、また別の機会での新たな出会いを楽しみにしたいと思っています。

お誘いくださったSさん、ワインをご用意くださったMさん、ありがとうございました。



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2 コメント

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人間より長命かも(笑) (まゆ@管理人)
2011-07-24 17:40:17
にょにょさん

1900年は19世紀!
人間よりもワインは長命だなぁと実感します(笑)

今回は、ホントに素晴らしいお誘いでした。
たま~にはイイコトもありますね(^^)
返信する
1900年ですかぁ?! (にょにょ)
2011-07-24 12:09:49
スゴイワインを飲まれましたネ!
1900年のシャトーマルゴーですか、羨ましい限りです。けど、残っているんですねぇ~そんな古いワインがまだ…
恐らく私は一生そのような機会にはめぐりあえないと思いますが、そのような夢を見つつ毎日ワインを楽しみます(笑)
返信する

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