この秋、あるイベントで出会った方の名刺に、“テキーラソムリエ” という肩書きがありました。
これって何ですか?という質問から、じゃあ、テキーラツアーをしましょう!と、トントン拍子に話が進み、テキーラソムリエ氏のお声かけで、日本テキーラ協会 の 林 生馬会長、同広報室の目時さんも交え、アルコール関係のさまざまな顔ぶれによるテキーラを飲む会が先日開催されました。
テキーラ といえば、ちょうど昨年末から今年の初めにかけて、とある人気役者による暴行事件でクローズアップされましたね(苦笑)
テキーラサンライズやマルガリータをはじめ、テキーラはカクテルのベースでよく使われていますが、原酒はアルコール度数が高いので(40度以上!)、それをグビグビ飲むなんて、どれだけ酔っ払ってしまうの?と、誰もが思ったのではないでしょうか?
「もちろん、そんな飲み方をしてはいけません」と、林会長。
じゃあ、私のような 超テキーラ初心者は、どう飲めばいいんでしょ?
濃厚なタイプをいきなりガツンと飲むのはツライですから、まずは軽めで飲みやすいタイプを林さんにチョイスしていただきました。
エレンシア・デル・プラタ(銘柄)のブランコをオンザロックで
(写真の料理はサルサの一種「ワカモレ」)
ブランコ(Blanco)は、テキーラを樽熟成させず、すぐに瓶詰めしたものでした。
熟成期間によって名前があるとは初耳!
■ ブランコ (Banco) :樽熟成なし
↓
■ レポサド (Reposado) :オーク樽で最低2カ月熟成
↓
■ アニェホ (Anejo) :オーク樽で最低1年間熟成
↓
■ エクストラ アニェホ (Extra Anejo) :オーク樽で最低3年間熟成
樽熟成すると樽の風味がテキーラに加わり、熟成期間が長いほどまろやかさや複雑味が出てきます。
色も無色透明から、麦わら色、琥珀色と、だんだん濃くなってきます。
つまり、“ブランコ”はテキーラの原料本来の香りが残り、スッキリしたタイプ。
よって、“エレンシア・デル・プラタのアニェホをストレートで”、というように、同じ銘柄でも熟成期間の違うものをチョイスし、飲み方を変える と(ストレート、オンザロック、ソーダ割りetc...)、さまざまな味わいが楽しめるわけですね。
ところで、テキーラの原料って?
リュウゼツランという植物であることだけは、私も知っています。
リュウゼツランについては、サボテンに近いものをイメージしていましたが、そうではなく、
アロエに近いアガベ・アスール(Agave Azul)という植物でした。
アガベには百数十もの品種があるのに、テキーラの原料になるのはアガベ・アスールという品種ひとつだけ。葉の根元の球になった部分(球茎部)が使われます。デンプンを多く含むため、球茎部を加熱して搾汁し、発酵後に蒸留させ、蒸留は何回か繰り返してアルコール度数を高めていきます。
この球茎部はピニャと呼ばれ、ピニャが収穫できる大きさまで育つには6~10年もかかるそうです。しかし、ブドウのように決まった季節だけではなく、いつでも収穫が可能とか。これは、年間平均気温が20℃以上もあるためです。
テキーラがつくられるのは、メキシコ中部の太平洋側の ハリスコ州 を含む5州になります。
テキーラ(Tequila)という名は、村の名前に由来しています。
フランスのシャンパーニュと同様、“テキーラ”の名称は原産地呼称として保護されているため、他の国でつくられた蒸留酒はテキーラを名乗れません。
なお、テキーラにはサトウキビなどの他のものからつくられた蒸留酒も混ぜることができます。
アガベ・アスール51%以上のものは「ミクスト・テキーラ」となり、
アガベ・アスール100%のものは100%アガペテキーラで、「100% de Agave」と表記されます。
テキーラの産地はどういった土地なんでしょうか?
テキーラ醸造所のほとんどはメキシコ中部のハリスコ州に集中しています。
標高1000~2000mくらいにあり、東に行くほど標高が高くなります。
年間252日は晴れるという、雨の非常に少ない地域で、先述したように、年間平均気温は20℃以上という気候です。
ハリスコ州西側の地区(バジェス地区)は、テキーラ火山の噴火による鉄分を含む赤いやせた土壌になるため、バジェス地区側のテキーラは骨太で辛口タイプが多くなります。
一方、標高が高い東側の地区(ロスアルトス地区)も赤い土になりますが、バジェスより肥沃なためアガペ・アスールは大きく甘く育ち、つくられるテキーラは やわらかな甘さとフルーティさを持つタイプになります。
100% de Agave か?
バジェス地区か? ロスアルトス地区か?
熟成期間の表示は何か? (ブランコ、レポサド、アニェホ、エクストラ・アニェホ)
以上の3点を押さえれば、テキーラが少しずつわかってきそうでしょうか?
ちなみに、林さんにチョイスしていただき、いくつか飲んだ中で私の好みは、やわらかく甘い“レセルバ・デル・セニョール(ロスアルトス地区)のアニェホのオンザロック”。まろやかで口当たりがよく、飲みやすかったです。
自分がおいしいと思った銘柄&飲み方を覚えておき、次回お店でオーダーする際にこれを伝えれば、テキーラソムリエのいる店なら、好みに合ったものをチョイスしてくれることでしょう。
パトロン XO カフェテキーラ コーヒーリキュール
ここにさらにミルクを加えてカルーアミルク風にする(甘くて美味でした)、といったバリエーションもできます。
グレープフルーツとソーダで割ってロンググラスに入れた「パローマ」(Paloma)というカクテルも、テキーラが入っていることを感じさせないほど軽く美味しく飲めました。これはメキシコで人気の飲み方のようです。ただし、いい気になって飲み過ぎると危険ですね(笑)
メキシコでは、ライムと岩塩はテキーラの素晴らしいお供になるそうで、岩塩を舐めながらテキーラを飲み、ライムをかじって口の中をリセットし、またテキーラを飲んで・・・と、エンドレスに楽しめるとか。これもちょっと危険かも(笑)
テキーラのチェイサーは独特で、メキシコではサングリータ(トマトジュースやライムジュース、塩、コショウ、ウスターソースなど、店によってオリジナルレシピあり)をチェイサーとします。見た目はトマトジュースです。今回お邪魔した店 渋谷「AGUA」 のサングリータは、塩味とスパイスがピリリとして初体験の味&超美味で驚きでした
生ハムやタコスなどをつまみ、サングリータをチェイサーに1杯、また1杯・・・
食中酒として楽しめるタイプや、ショコラなどのスウィーツに合わせておいしいタイプなどもあるので、実はテキーラは さまざまなシチュエーションで使えそうです。
冒頭に書いた某事件により、“テキーラ”という名前は全国区で広がったそうですが、
(この事件の後、メディアからの取材が多くなったようです )
「テキーラは味わって飲めるお酒。そう認知されるようになると嬉しい。居酒屋でプレミアムテキーラが1杯でも飲めるようになり、スーパーに1本でもテキーラが置かれるようになり、ひとつのマーケットを形成できれば」と、林さん。
現在、日本テキーラ協会の活動は3年目となり、2011年度から「テキーラソムリエ」という資格制度を設定し、もうすでに300人以上のテキーラ・ソムリエが誕生しています。
テキーラ・ソムリエは、いわば、テキーラの伝道師。
半数はプロ(業界関係者、料飲店勤務など)ですが、半数は一般消費者。年齢層は30代中心、男女比は半々、中には有名人もいるとか。
作家の東山彰良さんもその一人で、雑誌でテキーラエッセイの連載をしています。
また、あのエグザイルのダンスメンバーのUSAさんもテキーラソムリエ取得と、さまざまな分野の人がテキーラに注目しているのも面白いですね。
この秋には現地訪問のテキーラツアーを実施し、好評だったので、2012年もまた6月に実施するそうです。メキシコのテキーラ醸造所訪問なんてなかなかできないですから、興味を持った方、これはいいチャンスです!
会長の林さんは、昔は酒類が苦手だったといいます。しかし、20年ほど前にハリウッドの映画関係の会社に在職し、映画「ライジングサン」の仕事に関わった際、主演のショーン・コネリー直々にテキーラを勧められて(大スターから勧められたら断れるわけがありません)飲んでみたところ、美味しかった上に二日酔いもしなかった ことから、テキーラの魅力にハマっていったそうです。
なお、ハリウッドでは、気分が良くなり、また、翌日に残らない点から、テキーラやウオッカなどのスピリッツ類はよく飲まれるそうです。
とはいっても、テキーラはアルコール度数が40%、50%、にもなる強いお酒ですので、クイッと一気に飲まず、ゆっくりゆっくり、香りと味わいを楽しみながら、1杯をじっくり飲みたいですね。
日本テキーラ協会のHPには、テキーラ・ソムリエ取得の詳細、テキーラソムリエがいる店、飲める店のリストなど、テキーラに関するさまざまな情報が掲載されていますので、ぜひチェックしてみてください。
日本テキーラ協会公式ホームページ http://www.tequila.ac/
これって何ですか?という質問から、じゃあ、テキーラツアーをしましょう!と、トントン拍子に話が進み、テキーラソムリエ氏のお声かけで、日本テキーラ協会 の 林 生馬会長、同広報室の目時さんも交え、アルコール関係のさまざまな顔ぶれによるテキーラを飲む会が先日開催されました。
テキーラ といえば、ちょうど昨年末から今年の初めにかけて、とある人気役者による暴行事件でクローズアップされましたね(苦笑)
テキーラサンライズやマルガリータをはじめ、テキーラはカクテルのベースでよく使われていますが、原酒はアルコール度数が高いので(40度以上!)、それをグビグビ飲むなんて、どれだけ酔っ払ってしまうの?と、誰もが思ったのではないでしょうか?
「もちろん、そんな飲み方をしてはいけません」と、林会長。
じゃあ、私のような 超テキーラ初心者は、どう飲めばいいんでしょ?
濃厚なタイプをいきなりガツンと飲むのはツライですから、まずは軽めで飲みやすいタイプを林さんにチョイスしていただきました。
エレンシア・デル・プラタ(銘柄)のブランコをオンザロックで
(写真の料理はサルサの一種「ワカモレ」)
ブランコ(Blanco)は、テキーラを樽熟成させず、すぐに瓶詰めしたものでした。
熟成期間によって名前があるとは初耳!
■ ブランコ (Banco) :樽熟成なし
↓
■ レポサド (Reposado) :オーク樽で最低2カ月熟成
↓
■ アニェホ (Anejo) :オーク樽で最低1年間熟成
↓
■ エクストラ アニェホ (Extra Anejo) :オーク樽で最低3年間熟成
樽熟成すると樽の風味がテキーラに加わり、熟成期間が長いほどまろやかさや複雑味が出てきます。
色も無色透明から、麦わら色、琥珀色と、だんだん濃くなってきます。
つまり、“ブランコ”はテキーラの原料本来の香りが残り、スッキリしたタイプ。
よって、“エレンシア・デル・プラタのアニェホをストレートで”、というように、同じ銘柄でも熟成期間の違うものをチョイスし、飲み方を変える と(ストレート、オンザロック、ソーダ割りetc...)、さまざまな味わいが楽しめるわけですね。
ところで、テキーラの原料って?
リュウゼツランという植物であることだけは、私も知っています。
リュウゼツランについては、サボテンに近いものをイメージしていましたが、そうではなく、
アロエに近いアガベ・アスール(Agave Azul)という植物でした。
アガベには百数十もの品種があるのに、テキーラの原料になるのはアガベ・アスールという品種ひとつだけ。葉の根元の球になった部分(球茎部)が使われます。デンプンを多く含むため、球茎部を加熱して搾汁し、発酵後に蒸留させ、蒸留は何回か繰り返してアルコール度数を高めていきます。
この球茎部はピニャと呼ばれ、ピニャが収穫できる大きさまで育つには6~10年もかかるそうです。しかし、ブドウのように決まった季節だけではなく、いつでも収穫が可能とか。これは、年間平均気温が20℃以上もあるためです。
テキーラがつくられるのは、メキシコ中部の太平洋側の ハリスコ州 を含む5州になります。
テキーラ(Tequila)という名は、村の名前に由来しています。
フランスのシャンパーニュと同様、“テキーラ”の名称は原産地呼称として保護されているため、他の国でつくられた蒸留酒はテキーラを名乗れません。
なお、テキーラにはサトウキビなどの他のものからつくられた蒸留酒も混ぜることができます。
アガベ・アスール51%以上のものは「ミクスト・テキーラ」となり、
アガベ・アスール100%のものは100%アガペテキーラで、「100% de Agave」と表記されます。
テキーラの産地はどういった土地なんでしょうか?
テキーラ醸造所のほとんどはメキシコ中部のハリスコ州に集中しています。
標高1000~2000mくらいにあり、東に行くほど標高が高くなります。
年間252日は晴れるという、雨の非常に少ない地域で、先述したように、年間平均気温は20℃以上という気候です。
ハリスコ州西側の地区(バジェス地区)は、テキーラ火山の噴火による鉄分を含む赤いやせた土壌になるため、バジェス地区側のテキーラは骨太で辛口タイプが多くなります。
一方、標高が高い東側の地区(ロスアルトス地区)も赤い土になりますが、バジェスより肥沃なためアガペ・アスールは大きく甘く育ち、つくられるテキーラは やわらかな甘さとフルーティさを持つタイプになります。
100% de Agave か?
バジェス地区か? ロスアルトス地区か?
熟成期間の表示は何か? (ブランコ、レポサド、アニェホ、エクストラ・アニェホ)
以上の3点を押さえれば、テキーラが少しずつわかってきそうでしょうか?
ちなみに、林さんにチョイスしていただき、いくつか飲んだ中で私の好みは、やわらかく甘い“レセルバ・デル・セニョール(ロスアルトス地区)のアニェホのオンザロック”。まろやかで口当たりがよく、飲みやすかったです。
自分がおいしいと思った銘柄&飲み方を覚えておき、次回お店でオーダーする際にこれを伝えれば、テキーラソムリエのいる店なら、好みに合ったものをチョイスしてくれることでしょう。
パトロン XO カフェテキーラ コーヒーリキュール
ここにさらにミルクを加えてカルーアミルク風にする(甘くて美味でした)、といったバリエーションもできます。
グレープフルーツとソーダで割ってロンググラスに入れた「パローマ」(Paloma)というカクテルも、テキーラが入っていることを感じさせないほど軽く美味しく飲めました。これはメキシコで人気の飲み方のようです。ただし、いい気になって飲み過ぎると危険ですね(笑)
メキシコでは、ライムと岩塩はテキーラの素晴らしいお供になるそうで、岩塩を舐めながらテキーラを飲み、ライムをかじって口の中をリセットし、またテキーラを飲んで・・・と、エンドレスに楽しめるとか。これもちょっと危険かも(笑)
テキーラのチェイサーは独特で、メキシコではサングリータ(トマトジュースやライムジュース、塩、コショウ、ウスターソースなど、店によってオリジナルレシピあり)をチェイサーとします。見た目はトマトジュースです。今回お邪魔した店 渋谷「AGUA」 のサングリータは、塩味とスパイスがピリリとして初体験の味&超美味で驚きでした
生ハムやタコスなどをつまみ、サングリータをチェイサーに1杯、また1杯・・・
食中酒として楽しめるタイプや、ショコラなどのスウィーツに合わせておいしいタイプなどもあるので、実はテキーラは さまざまなシチュエーションで使えそうです。
冒頭に書いた某事件により、“テキーラ”という名前は全国区で広がったそうですが、
(この事件の後、メディアからの取材が多くなったようです )
「テキーラは味わって飲めるお酒。そう認知されるようになると嬉しい。居酒屋でプレミアムテキーラが1杯でも飲めるようになり、スーパーに1本でもテキーラが置かれるようになり、ひとつのマーケットを形成できれば」と、林さん。
現在、日本テキーラ協会の活動は3年目となり、2011年度から「テキーラソムリエ」という資格制度を設定し、もうすでに300人以上のテキーラ・ソムリエが誕生しています。
テキーラ・ソムリエは、いわば、テキーラの伝道師。
半数はプロ(業界関係者、料飲店勤務など)ですが、半数は一般消費者。年齢層は30代中心、男女比は半々、中には有名人もいるとか。
作家の東山彰良さんもその一人で、雑誌でテキーラエッセイの連載をしています。
また、あのエグザイルのダンスメンバーのUSAさんもテキーラソムリエ取得と、さまざまな分野の人がテキーラに注目しているのも面白いですね。
この秋には現地訪問のテキーラツアーを実施し、好評だったので、2012年もまた6月に実施するそうです。メキシコのテキーラ醸造所訪問なんてなかなかできないですから、興味を持った方、これはいいチャンスです!
会長の林さんは、昔は酒類が苦手だったといいます。しかし、20年ほど前にハリウッドの映画関係の会社に在職し、映画「ライジングサン」の仕事に関わった際、主演のショーン・コネリー直々にテキーラを勧められて(大スターから勧められたら断れるわけがありません)飲んでみたところ、美味しかった上に二日酔いもしなかった ことから、テキーラの魅力にハマっていったそうです。
なお、ハリウッドでは、気分が良くなり、また、翌日に残らない点から、テキーラやウオッカなどのスピリッツ類はよく飲まれるそうです。
とはいっても、テキーラはアルコール度数が40%、50%、にもなる強いお酒ですので、クイッと一気に飲まず、ゆっくりゆっくり、香りと味わいを楽しみながら、1杯をじっくり飲みたいですね。
日本テキーラ協会のHPには、テキーラ・ソムリエ取得の詳細、テキーラソムリエがいる店、飲める店のリストなど、テキーラに関するさまざまな情報が掲載されていますので、ぜひチェックしてみてください。
日本テキーラ協会公式ホームページ http://www.tequila.ac/
何事もチャレンジが大切です(笑)
今回は、テキーラ協会会長に選んでもらいながらの挑戦でしたから、
贅沢かつ間違いありません(^^)