マザーの足 マザーテレサ＜２＞

　「マザーに会いたいですか？」
　インドで私たちの世話をしてくれた現地のインド人にこう言われた時はびっくりしました。
　「ええっ、私たち旅行者なんかに会ってくださるんですか？」
　「ええ、マザーは誰にでも会って下さいますよ。早速申し込みましょう。」

　しかし、大変残念なことにそれは実現しませんでした。その頃、マザーの体調はかなり悪くなっていたのです。がっかりしました。ですから、早朝ミサに出席して、私のすぐ斜め前にマザーが座られたときはとても感激しました。あきらめていたのにお会いできたのです！
　でも、マザーのミサでの定位置と思われる壁際の隅で、じっとうつむいて瞑想しているマザーは
とても小さくはかなげでした。一同が起立して賛美しているときもマザーは床に座られたままでした。

　そのとき、白地に青い線の入ったサリーからマザーの裸足が出ていました。その足を見て驚きました。なんと、大きいこと！立つと、小さい私よりもさらに小柄なマザーなのに、足だけはとても大きくがっしりとしていました。しかも長年歩きまわられたゆえでしょう、太く、黒く、硬くなっていましたし、両の親指はくの字に大きく曲がって変形していました。
　
　マザーの仕事の全てを語っている足から、私はしばらく目をはなすことが出来ませんでした。