暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

旧暦の七夕

2010年07月19日 | 茶道楽
先日、稽古へ行くと、
床に古筆切のような和歌が掛けられていました。
「七夕の歌を掛けてみました。紀貫之が詠んだものです」
先生の友人が古希のお祝いに書いてくださったという歌切でした。

   ひととせに 
   ひとよとおもえど たなばたの 
   あひみむあきの かぎりなきかな


意味は、牽牛と織姫の二つの星が逢うのは
一年にたった一夜かぎりとはいうけれども、
七夕は来る秋毎に限りなく繰り返すのだから・・・

今は新暦の7月7日が七夕とされていますが、
旧暦7月7日は立秋のあとなので、
紀貫之の七夕の歌は秋の歌ということになります。
それにしても、時の流れに色あせない、羨ましい二人の逢瀬です。

             

四万十の空から-星空への招待」というブログで、
「七夕は旧暦で・・・」という解説があり、紹介させて頂きます。

新暦の7月7日と旧暦7月7日(平成22年は8月16日)では、
織姫星・彦星(牽牛星)の高度がぜんぜん違います。
旧暦7月7日ならば、宵の空に織姫星・彦星(牽牛星)を含む夏の大三角形が
天頂 に昇っているので天の川を見ることが可能です(ただし、場所によります・・)。
その時必ず上弦近い月が出ていて、月が七夕の名脇役になります。
天の川を東から西へと渡っていく月が、
二人の渡し船とい う設定になっているからです(・・・ステキですね)



星座の位置から考えると、
「七夕は、満月と同じく月齢に合わせた旧暦で行うべき行事で、
 本来の七夕は旧暦の7月7日が正しい七夕」
という意見も頷けますね。

昔々、親子四人で四万十川上流の江川崎にある天体観測所へ行きました。
満天の星空に圧倒され、都会では見ることができない天の川、夏の大三角形、
さそり座のアンタレスを見つけた、あの夏の夜を懐かしく思い出しています。

そういえば、昨年8月5日にお伺いした立礼の茶事では
七夕の趣向満載でした。
七夕の茶会はまさにこれからが旬なのです・・・。

              

                                                     

                      

男梅雨

2010年07月16日 | 閑話休題
梅雨の最中こそ雨を楽しみたい・・・と、
「雨の名前」(高橋順子文 佐藤秀明写真 小学館)を購入しました。
雨の名前422語、雨の写真148点、詩等35編が掲載されています。

好きな夏の雨は、卯の花腐し、虎が雨、喜雨、狐の嫁入り、慈雨。
面白い雨の名前は、男梅雨と女梅雨。
男梅雨は、ザ-ッと烈しく降ってはサッと止むことを繰り返す
明快、陽性型の梅雨で、一時代前の快男児のイメージとか。
今年の南関東の梅雨は男梅雨でしょうか。

蝦夷梅雨、なごの小便(静岡県浜名郡)など地方独特の言い回しも興味深く、
稽古の合間に雨音を聞きながらページをめくっています。

佐藤秀明氏の写真が素晴らしく、見えるようで見えにくい雨を
写真に撮るご苦労や雨を表現する面白さが伝わってきます。

私も雨の写真を撮りたくなって雨中へ出かけました。
もう一つ、雨の日のサウンドスケープを聴きたくなって・・・。

             

知人の松本静枝さんが執筆された「和泉川のサウンドスケープ」
の一節をご紹介します。
    

雨の日、傘に当たる雨音に守られて歩き、
和泉川のスタートに立ち会ってみた。
森がびっしょり濡れて、幹の色が変わってくる頃、
温かく濡れる幹にぴったり耳を当ててみる。

すると、雨が地上につくる最初の川を樹の上に作っている
美しい水音が聴こえてくる。
雨が樹を伝わって流れてゆく音だと思うが、
雨の歓びの声も混ざっているに違いない。

それは、まさに雨水のオルゴール。
雨は瀬谷市民の森のすべての草木を養い、
湧水となり和泉川の源流を形づくる。・・・(後略)・・

「水辺からのレポートⅡ 横浜ふるさと和泉川」
 (川とみず文化研究会編)より掲載
                            

雨の公園へ出かけ、欅、ヒマラヤ杉、銀杏の幹に
ぴったりと耳を当てて雨水のオルゴールを聴いてみました。
傘が邪魔になり、肩と背中をぐっしょり濡らしながら・・・。
「無心帰大道」
心に雑念が多いのか、その日は聴こえませんでした。

写真も思うようにはまだ撮れませんが、
試行錯誤が面白く、雨の写真にはまりそうです。

   樹の瀬音 今日も聞こえず 男梅雨    
                            

   写真は、「雨の模様」と「雨の公園」

東美正札会

2010年07月14日 | 茶道具
骨董好きと名高い?Sさんにお電話しました。
「6月25-27日まで開催される平和島骨董まつりへ
 ご一緒しませんか?」
すると、
「平和島も好いけれど、茶道具をお探しだったら
 7月3-4日の東京美術倶楽部「東美正札会」がお薦めです。
 知り合いの道具屋さんがいるので、安心して買えますよ。
 初めてでしたらご一緒しましょうか?」

話には聞いていましたが、なかなか機会がありませんでした。
すぐに同行をお願いしました。

クロークへ荷物を預け、ビニールの透明な袋に私物を入れて
「いざ会場へ!」
漠然と捜していると、目移りする上に疲れてしまうので
今回はターゲットを炉に使う香合にしました。

これぞ・・というものが見つかると、
他の茶道具をみているSさんをお呼びして意見を伺いました。
「あらっ!これは面白いと思いますよ。
 干し柿の鄙びた風情が味があって、良い仕事してますね!
 炉用だともう少し厚みが欲しいけれど、お薦めです」

感想や作者のことをお聞きしたり、取り合わせを話し合ったり、
こうしたやりとりが楽しく、あっという間に時間が過ぎていきました。
「気に入ったものは売約済の紙を置いて確保した方がいいわね。
 2時間以内に決済すればよろしいので・・」

二つほど売約済を置いて、さらに探していると・・・
「これだわ!」という香合に出合いました。
Sさんも大賛成で、香合はこれに決まりました。
休憩所で昼食のお弁当を食べて少し休み、また出陣です。

                

午後のターゲットは水指です。
以前から水指を探していたのですが、なかなか出合いません。
Sさんが渋い素敵な水指をお買い上げです。
「私はどうも水指にご縁があるみたい・・・」
(きっとたくさんお好みの水指をお持ちなんでしょうねぇ・・)

あきらめかけた頃に平戸焼という水指に出合いました。
一目惚れでした。
それに五月のGWに行った平戸の窯ということにも
ご縁を感じたのです。

すぐに茶道具屋さんを呼んで見てもらいました。
「これはなかなかの優品ですね。
 印らしいものがありますが、古いものなので作者はわかりません。
 時代を経た蓋が形といい、色目や木目といい、好いですね・・
 今、この蓋を作ると10万以上します」

家に帰ってから一晩、水を入れて様子を見ましたが
水漏れも無く、見れば見るほど嬉しくなる水指です。
子供みたいに座ったり寝たりしながら眺めています。
使い勝手を確かめたくて稽古で使っています。

茶事の楽しみが倍増したようです。

                         

    写真は、「はちすの花台(三渓園にて)」と「笹百合」です。





三渓園 早朝観蓮会

2010年07月11日 | ハイキング・ぶらり散歩
横浜三渓園の早朝観蓮会の季節になりました。
今年は7月10日(土)から7月中の土曜、日曜及び祝日に開催され、
午前6時に開園で、外苑のみ散策できます。

昨夜来の烈しい雨がすっきりと上がり、初日に出かけました。
6時に家を出て、三渓園へ6時半頃に着きました。
いつもより駐車場も人も空いていたような・・・。

蓮の花の開花状況はチラホラでした。
三渓園の方にお尋ねすると、
「今年は例年より10日ほど遅く、これからですね。
 でも、年によっては6月中に花が終わってしまったこともありました」
・・・ということなので、あわてずどうぞお出かけください。

蓮の花は明け方より咲き始め、6時から8時くらいが一番見所で、
それから徐々に閉じていきます。
四日の命だそうです。
昼になっても咲いているのは四日目の花で、
花びらを散らしていく風情は何か胸に迫るものがあります。

               
               

今年は鉢植えの白蓮が見当たりません。お尋ねすると、
「白蓮は早くて、6月中に咲いて散ってしまいました。
 蓮池に白蓮のレンコンを植えて育てているのですが、
 鴨やザリガニの好物なので食べてられてしまい、
 なかなか育たないのです・・」

・・という訳で、三渓園の蓮池の蓮は原種に近いピンクです。
大きな蓮葉でユニークなお面を作ったり、蓮の茎から糸を取ったり、
ザリガニ釣りを体験することができます。

               


雨上がりの清々しい外苑を散策しました。
旧東慶寺仏殿、合掌造りの旧矢箆原家住宅、横笛庵、上へ登って
旧燈明寺三重塔を経て、松風閣展望台へ行きました。
展望台まで登るのは久しぶりです。
ここから、遥か西に雲海と富士山、大山、丹沢、箱根の山並み、
コンビナートの対岸には三浦半島や房総半島が見渡せました。

                

展望台は、かつて原善三郎(原三渓の義父)が松風閣という別荘を
建てた処で、三渓園の原点とも云える場所です。
松風閣のすぐ下まで海だったそうですが、
名残りの松の木を揺らしながら吹き渡る風が気持ちよく、
しばらく涼んでいました。

今回は寄りませんでしたが、
茶店でこの時期に出される朝粥定食もお薦めです。

                         



山椒と珈琲

2010年07月09日 | ハイキング・ぶらり散歩
日曜日によく散歩へでかけます。
横浜の郊外には、畑あり、竹藪あり、川あり、市民の森ありで、
自然豊かな散歩道がまだまだ残っていて嬉しいです。
二人とも運動不足なので1時間半~2時間かけて歩きます。

その日は先ず、散歩道にある山椒の実を採りに行きました。
山椒の実は青いうちに採らないと独特の風味と味がでないのですが、
毎年収穫の時期を逸していました。

お目当ての山椒の木は二ヶ所あって、両方とも2mを越える木です。
採取する人もいないようで、青い実が赤くなり、
秋には黒くなった実(種?)を毎年横目で眺めていました。

ちょうど収穫時で、用意したビニール袋へ青い実をたくさん採りました。
この後は主人の出番で、これを佃煮にして料理に使うそうです。
ちりめんじゃこ、いわし、牡蠣の有馬煮は主人の得意料理?で、
我家の懐石に時々登場してくれます。

山椒の収穫に気を良くして、隣の駅まで足を伸ばしました。
お好み焼き屋へ入り、関西風と広島焼を注文し、
半分ずつ分け合ってランチしました。

              

珈琲が飲みたくなって南蛮屋へ寄りました。
南蛮屋は珈琲豆販売店ですが、美味しい珈琲が試飲できるのです。

他にも美濃や有田の陶器、木工製品、和風手作り品があるので
近くへ行くと必ず寄りたくなるお店です。
レイアウトや器の取り合わせの発想が面白く、頭が固くなりかけている
私には使い方、遊び方、贈り物のヒントになります。

丁寧に淹れられた試飲の珈琲を一杯ずつ頂きました。
(ウーン、シアワセ!)
その内の一つ「エメラルドマウンテン」の豆をご主人様がお買い上げです。

               

でも、あれから1週間余が経っているのですが、
その珈琲を未だ飲ましていただけません・・・。
それから、山椒の実も冷蔵庫に保管されたままです・・・。

                            

    写真は、「ヒルガオ」「山椒の木」「収穫された山椒の実」です。