暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

名水点 (2)

2010年07月28日 | 稽古忘備録
(つづき)
「まろやかなお味でございますが、どちらの・・」

「神奈川県秦野にあります「弘法の清水」でございます。
 昔、弘法大師がこの地を訪れた時、村の娘に水を所望したところ、
 遠くまで汲みに行ってなかなか戻らなかったそうです。
 そこで、弘法大師はお礼に持っている杖である場所をトンと突くと
 清水が湧き出したというお話が伝わっております」

「名水の由来を伺って、昔から大事にされている名水、
 弘法の清水を ご用意いただき感激しております。
 とても美味しく頂戴しました! ありがとうございます」

茶碗が返されると、取り込み、総礼します。
柄杓をとって構え、右ひざの袱紗を取り、釜の蓋を開けました。
湯を汲み、最初は小すすぎして、もう一度湯を汲み茶筅通しです。
あとはいつも通りで、濃茶を練り上げ、差し上げました。

             

名水点には名水(天然の湧水)が欠かせませんが、
名水の条件を私なりに考えてみました。

① 美味しいこと
  名水が主役なので、オイシイ名水を差し上げたいですよね。
  濃茶への期待感がますます高まるでしょうし・・・。
  水温15℃が美味しさを感じる適温なので
  名水を差し上げる時に15℃位になるよう心掛けています。

② 安全なこと
  安全性を考えると湧水を沸騰させてから冷まして使うことをお薦めします。
  沸騰させると、含まれている炭酸が抜けてしまうので
  清涼感は得られませんが、15℃に冷やしてカバーしてみてください。

③ 由来やエピソードのある名水
  問答があるので、由来や面白いエピソードがあるといいですね。
  ご亭主の特別な思い出なども大歓迎です。

  その土地で重要な役割を担ってきた湧水には弁財天が祀られたり、
  由来や伝説が語り継がれていることがよくあります。
  話の真偽は不明なことが多いのですが、
  大事な湧水を守っていくための先人の知恵と考えています。

名水点の稽古をし、名水のことをあれこれ考えていたら、
封印中なのに茶事をしたくなってきました・・・困った病気です。

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    写真は、「睡蓮」と「弘法の清水」です。