暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

立礼の茶事  七夕(1)

2009年08月14日 | 思い出の茶事
北海道旅行から帰ってすぐ、N先生の立礼の茶事へ伺いました。
いつ伺っても、ご趣向や道具組が素晴らしく、
示唆に富んだ茶事をしてくださいます。
その日は七夕の趣向でした。

待合の床には七夕に因む絵が掛けられ、
床前の志野流香道具一式を珍しく拝見しました。
秋草蒔絵の硯箱と料紙、梶の葉が数枚が棚に置かれていました。
茶道だけでなく、香道、書道も精進しなさい・・という暗示でしょうか?

ホタルが飛んでいる炭斗が煙草盆です。
志野の火入れの灰が魅入ってしまうほど見事で、
いつかこのような灰を・・・
と思いながらいつも眺めています。

涼やかな音が聞こえてきました。
梅酒の入ったガラスの器と氷が奏でる音色にうっとりです。

席に入ると、やんごとなき方が書かれた和歌が掛けられており、
七管青磁の香炉が伽羅の香りを燻らせていました。

いよいよ楽しみの一つ、懐石です。
今炊き上がりました・・・のご飯を一口味わった時の
シアワセ感は何とも言えません。
こちらの懐石は専門家による本格的なものですが、
中には私にも作れそう、挑戦してみたいと思うものがあり、
これも刺激になっています。

汁は焼きなすとジュンサイの赤味噌仕立て、
煮物碗はハモ、卵豆腐、松茸、青柚子で、松茸は初物です。
焼物はスズキの塩焼きに「ずんだ」をかけたもの、
「ずんだ」が彩りも味もよかったです。

冬瓜を刳り貫いた器が目に美しく、海老、アワビ、きのこなどの
葛仕立てが冷房で冷えた体を程よく温めてくれました。
箸洗いは銀杏、初物でした。

八寸は、赤い鬼灯の中に
ウニと百合根のゼリー寄せ(つくってみたい!)と
万願寺とうがらしの揚げものでした。

お道具はなかなか覚えられないのに、懐石献立は
よく覚えているのが不思議です。
茶事後、そのようなことをN先生にお話したら、
「道具は印象に残ったものを二、三、覚えておけば良いのよ」
と言われました。

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