暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

播州播磨の旅

2014年06月22日 | 京暮らし 日常編
              「思い出」  たつの市・ギャラリー池川にて

水無月の茶事の後、親友Kさんと播州播磨の旅へ出かけました。

一番の目的は、6月6日の「どくだみ茶会」なので
姫路に一泊して気ままな旅のつもりでしたが、
「どくだみ茶会」のご亭主Kさんが訪問先を考えてくださって、
姫路と龍野を急ぎ足で廻りました。

主なコースは
姫路城~好古園にて薄茶~(姫新線)~本竜野駅~ギャラリー池川~
~Nさん宅にて濃茶と薄茶~(姫新線・新幹線)~帰宅

                

                
姫路は、NHK大河ドラマ「官兵衛」ゆかりの地で興味津々です。
黒田家の時代に小さな城があり、「官兵衛」はここで生まれました。
その後姫路城は、羽柴(豊臣)秀吉、池田、本多、松平、榊原、酒井など城主を変え、
築城や拡張などを繰り返し、現在の姫路城となりました。
切支丹だった官兵衛(洗礼名:シメオン)ゆかりの十字紋の鬼瓦が
「に」の門の櫓に残されています。

現在、姫路城はまだ修復中、城の覆いははずされましたが、
天守閣のある本丸へ攻め込むことはできず、
西の丸の千姫ゆかりの化粧櫓や長局(百間廊下)を見学しました。
1993年12月、姫路城は法隆寺とともに、日本初の世界遺産に登録されました。

               
               

姫路城に隣接した好古園へ行き、池泉回遊式の庭園を散策しました。
御屋敷の庭、苗の庭、茶の庭など9種類のテーマの違う庭があり、
見応えがあります。
鵬雲斎大宗匠が監修された茶室・双樹庵にて薄茶をなぜか2服も頂戴し、
再び姫新線に飛び乗り、「本竜野」駅へ向かいました。

               
                      好古園・御屋敷の庭
               
                      好古園の茶室・双樹庵

出迎えのKさんが車で「ギャラリー池川」へ。
「折角、龍野へいらしたのだから・・・」
茶友Kさんをステキな空間へ案内してくださいました。

6月の庭は苔と楓が一際美しく、雪ノ下の花が風に揺れ、
「思い出」の字が目に飛び込んできました。
葎庵で行われた茶事個展を思い出し、陶芸作品も大好きな池川邸も
当分見納め・・・・泪が出そうになりました。

               
                     青苔と雪ノ下  ギャラリー池川にて

たつの市近辺には陶芸家・池川みどりさんを中心に茶事仲間がいらして、
その一人Nさんから思いがけず、お声掛け頂きました。

「古いだけで、部屋数が多く、お掃除が大変なの・・・」
と伺ってはいましたが、玄関を入ると、
黒く太い梁が見える天井、広々と板敷の土間が広がっていて、
立礼席や囲炉裏を囲んだ席もあり、もうびっくり!
築300年を経た古民家だとか・・・素晴らしいお茶環境です。

「立礼席で薄茶を・・・と思っていましたが、
 茶室にて一服差し上げたく思います」とNさん。
(別棟の茶室をご主人と一緒に設計・監理して建てられたそうです・・

               
                ギャラリー池川にて(N邸の写真がないので・・・)

二人のKさんと一緒に庭の腰掛待合へ。
ご亭主Nさんは表千家流です。枝折り戸でつくばって挨拶を交わしました。
蹲踞で身心を浄め、にじり口から席入りすると、
茶室の床に「浄心・・・」とあるのを、「洗心・・・」と読んでしまい、
「洗心」が3つ続いたので、驚きました。

するとご亭主から、
「家にあった古いお軸で読み方はわからないのですが、
 身心を浄め、清らかな心をもって何事にも接し、受け入れる
 ・・・という意味だと伺っています。
 茶室にはいつもこのお軸を掛けることにしています」

火相、湯相もよく、主菓子を頂き、濃茶を三人で頂戴しました。
菓子銘も茶銘もメモしなかったので忘れていますが、
とても練り加減よく、まるく甘みのある濃茶でした。ご馳走さま!
水指は一目で池川みどり作とわかりました。
ゆったりと存在感があり、灰釉の緑青色が実に味わい深い水指でした。

するとご亭主から、
「この水指は池川さんの個展で、主人が気に入って求めたものです。
 炉にも風炉にもぴったりなので、茶室の水指はこれに決めています」

              
                      ギャラリー池川にて
お話を伺って、
Kさん同様にNさんもまた、自分のお茶に徹していらして
「潔く、シンプルなスタイルがなんてステキなんだろう!」
と感激し、刺激をたくさん受け取りました。

濃茶の後は、母屋の屏風の前に設えられた立礼席でくつろいで
干菓子と薄茶を楽しみました。
お茶をやっていてこそ、思いがけない出会いがあり、茶談義が尽きず、
「思い出」というお土産を旅行カバンへいっぱい詰め込みました。

またいつか訪れる日が来ると嬉しいです・・・。

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