暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

京仏師 樋口尚鴻展

2014年07月12日 | 京暮らし 日常編
                      「合掌観音」

6月24日、金戒光明寺塔頭・西翁院(さいおういん)で開催された
「京仏師 樋口尚鴻(しょうおう)展」へ出かけました。

ご案内を頂き、横浜行を1日遅らせ、喜んで馳せ参じました。

   京仏師  樋口尚鴻 展
    -平かな気持ちで 仏の心をもとめて-
    
     平成26年6月24日(火)-29日(日)
     午前11時~午後5時
     会場  金戒光明寺塔頭 西翁院 (左京区黒谷33)

           

それには2つ、訳がありました。
京仏師・樋口尚鴻氏とは川口美術で行われた葵祭の祭り釜
初めてお目にかかりました。
「どんな仏像を彫る方なのかしら?」
送られてきた案内の写真「慈母観音像」のお顔がやさしく穏やかで、
どこか作者・樋口氏の面影があり、個展へ誘われるものがありました。

もう1つは、会場の西翁院。
庸軒流の祖・藤村庸軒遺愛の茶室「澱看席」があるところです。
我が家から近いのですが、いつも拝観見学謝絶で、近くて遠い存在でした。
樋口氏と奥様は庸軒流をこちらでお習いしていたそうです。

自転車で主人と西翁院へ着くと、門が開けられ、
樋口氏が書かれた看板の字が目に飛び込んできました。

            

            
                     「不動明王像」           

玄関正面の不動明王像、樋口氏の御好みでしょうか、
韓国骨董のパンダジ(収納箱)が台座に使われ、素敵でした。
どの仏像にも奥様が活けられた花が添っていて、仲の良さを感じます。

            

本堂右に阿弥陀如来像がおわしました。下に次のような言葉がありました。

   この立像八寸阿弥陀如来像は
   二十年前に彫り始めましたが制作を
   中断しておりました。
   尚鴻還暦の本年結願となり
   開眼の時を迎える事になりました。
   台座はこの阿弥陀像に合わせて
   制作したものです。
             京仏師  尚鴻拝

20年かかって開眼の時を迎えた阿弥陀如来像に手を合わせました。
・・・今日の日を迎えた、京仏師 樋口尚鴻氏の思いを熱く受け止め、
胸中を慮って写真は遠慮しました。

でも樋口氏は淡々としてらして
「いつ彫るのですか? 何かサインがあるのですか?」という私の質問に
「仏像を彫るのは午前中、時にはビバルディを聞きながら・・・
 でもこの阿弥陀如来像には20年という時間が必要でした」

           

                        「 菩薩像 」

           
            仏像が置かれた、富岡鐵斎の富士画のある霞床 

本堂左手に葉書の「慈母観音」がおわしました。
さらに奥座敷にも仏像や書画が展示されていて、一つ一つゆっくり拝見しました。
トネリコ材という柔らかい材で彫ったという「合掌観音」がお気に入りです。
杢目が荒いのですが、それが個性的な味わいになっています。
どの仏像も慈悲の心に溢れていて、観るだけで温かく、自然と穏やかな心になります。

           
                 庭伝いに呈茶席の茶室へ

           
     はるか淀、山崎を臨む       淀看席(反古庵、宗貞囲の席とも)
                 

樋口氏が庸軒流の奥様と知り合ったという茶室(広間)で美味しい呈茶を頂戴し、
藤村庸軒によって貞享2、3年(1685、6年)頃に建てられたという
「淀看席(よどみのせき)」(反古庵:ほうぐあん)をちらっと見学もでき、
とても心満ち足りた時間を過ごしました。 
丁寧に対応して頂き、心から感謝申し上げます。
                                       



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