4月23日(金)はいよいよ親授式でした。
1年以上前に誂え眠っていた着物が役に立ち、それを着て、再び今日庵へ向かいました。
着物はうす鼠色がかかった藤色に地紋のある紋付、銀鼠色地に白で草花文が織られた帯を締めました。
12時前に茶道会館へ着くと、守衛さんやお玄関さん始め会う人ごとに
「本日はおめでとうございます」と声を掛けてくださったのが、とても嬉しく晴れやかな気持ちになりました。
(稲荷山の鳴子百合の群落・・・令和3年5月1日撮影)
茶道会館の「心花の間」へ入って待っていると、「あらっ? 冷房が入っているのかしら」
・・・冷房ではなく、爽やかな微風がサワサワと新緑の庭から吹き渡っていたのでした。
目をつむって颯々の風に身を任せていると、「クックウ~クックゥゥ~」山鳩の鳴き声が聞こえてきます。
お床のお軸は「主人公」。
「主人公をしているか?」鋭く問いかけられる筆勢ですが、お名前が読めません。
折しも今日庵の方がいらしたので伺ってみると
「皆さま、本日はおめでとうございます。
「心花の間」の「主人公」は鵬雲斎大宗匠の参禅の師、後藤瑞巌師の御筆です。
今日の親授式は平成会館で行われます(修繕が完成した今日庵を期待していたのでちょっと残念でしたが・・・)。最初に「看月の間」でお家元からお言葉を頂戴します。こちらには「看月」と書かれたお家元の扁額があります。お床には「教外別傳 不立文字(きょうげべつでん ふりゅうもんじ」のお軸が掛かっていまして、大徳寺・雪叟和尚(う~ん・・・だったと思う?)の御筆です。
その後、2階の「聴松の間」に移動していただき、そちらでお家元からお一人ずつ許状を拝受いたします。「聴松の間」のお軸は「白珪尚可磨」が掛かっております。
どのお部屋にも今日の親授式にふさわしいお軸が選ばれ掛けられておりますので、どうぞご覧ください」
(清楚な銀蘭の花・・・近所の里山で令和3年5月2日撮影)
とても丁寧な説明を伺って、思い切って「主人公」の筆者を伺ってヨカッタ!、それぞれの禅語が意味するところを心して考えながら拝見できたら・・・と思いました。
・・・・ところが、お家元から直接許状を授与された「聴松の間」のお軸が全く記憶にないのです。「白珪尚可磨」のはずなのですが・・・
きっときっと緊張していたのでしょうね。お家元の表情やお声掛けしてくださったお言葉はよく覚えているのですが、背景にあったはずのお軸が空白のままです。
さて、話は戻って「心花の間」。全員が揃ったので順番に名前を呼ばれ、兜門をくぐり、平成会館の「看月の間」へ移動しました。グループは13名、S先生の東京教室で共に研鑽に励んでいるI氏もご一緒です。暁庵は最後に呼ばれました。コロナ禍なので密にならない様、数回に分けて親授式が行われているようです。
兜門をくぐると、露地には水が清々しく撒かれ、こちらでも業躰先生方に「おめでとうございます!」のお声を掛けて頂きました。ありがとうございます!