暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

立礼の茶事  七夕(2)

2009年08月16日 | 思い出の茶事
点茶盤には切合の朝鮮風炉にたっぷりとした霰の巴釜、
竹絵の染付けの水指、杓立は耳環付きの楽で弘入作、
鉄鉢の建水、かわいらしい三つ人形?の蓋置が飾られていました。

炭手前がはじまりました。
「一年ぶりですが、茶事ができるようになりました」
体調を崩されていたので心配していましたが、
N先生は茶事ができる喜びを噛み締めているようでした。

炭斗は蒔絵のあるさくず(冊屑?)箱です。
さくず箱は、和歌をしたためる時に書き損じた短冊を
捨てる屑箱ですが、優雅な仕様で七夕にぴったりです。

後座は床に烏帽子籠が飾られ、花所望です。
お正客さまが矢筈ススキ、花茗荷、宗旦槿を活けられました。
時代のある花寄せ屏風にも花が活けられていて、
後座の席がとても華やかになりました。

N先生の袱紗捌きを久しぶりにじっくり拝見し、
たっぷり練られた濃茶を美味しく頂戴しました。

茶入は大きな耳付の南蛮、
手に取ると軽く、謎めいた茶入でした。
茶杓は玄々斎作の「祭り囃子」、
片身替りと樋の景色に牽きつけられました。

薄茶を撫子の茶碗でいただきました。
咲き乱れる撫子に、帰ったばかりの北海道・ワッカ原生花園の
エゾカワラナデシコが重なりました。

そのような話をしましたら、N先生は
「それは良かったです。一つくらいは華やかなものをと思い、
 撫子の茶碗を選んでみました。即全でございます」
次客でラッキーでした。

ステキなお正客さまに蓋置の拝見もぜひ・・・
とお願いしました。
輪島塗で七夕飾りの蒔絵のある七夕棗。
蓋裏に天の川と螺鈿の北斗七星が耀いています。
深みのある紺色に銀河のような模様のある茶杓はギヤマンでした。

最後に、あの蓋置です。
三つ人形ではなく、唐子二人にもう一ヶ所は二本の筆立てとのことで、
中国で買った筆立てを見立てたそうです。
安定感、存在感、「あれっ?」という不思議感、
とても楽しい蓋置でした。

あっという間の4時間は立礼席なので、膝も足も痛くなく快適に
ご亭主のご趣向を楽しませていただき、感謝です。

これ以上忘れては・・・と、あわてて書きました。
一方で、忘れていくのも良しという気もしています。

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