
青漆爪紅の及台子
(つづき)
点前座には青漆爪紅(せいしつつまぐれ)の及台子、紫交趾七宝紋の皆具、天板に松喰鶴蒔絵の大棗、初炭のための香合と羽箒がかざられています。
全員が一堂に会し、新年のご挨拶と年の初めに思うことを述べてもらいました。
皆様の茶道へのお気持ちや抱負を伺うと、何やらずっしりとしたものを肩に感じますが、
暁庵としてはやるべきことをしっかりやって、社中のお一人お一人と誠実に向き合いたい・・・と。
新年のセレモニーの後、もう一度席入後の茶事に戻り、
「どうぞお入りを」から始まりました。
初炭になり、香合のことを書いておきます。
初釜のために骨董好きのN氏がお持ち出しの香合は古染付の開扇、インパクトがあって素敵でした。
古染付は、17世紀の明時代末期に日本の茶人たちの注文によって中国・景徳鎮民窯で焼かれたものですが、
開扇香合は少し大ぶり、蓋につまみがあるので蓋向うの注文だったかもしれません。
蓋表にはのどかな山水画、胴には花が散りばめられています。
虫食いのある白い陶肌の青の色合い、茫洋とした味わいが何とも言えません・・・。
江戸初期から茶人に愛玩されてきた香合に敬意を感じ、古帛紗(江戸時代の打掛裂)を出して拝見しました。
香は松涛(松栄堂)です。

書院に飾られた古薩摩の水注ぎ
いよいよ懐石になりました。
茶席「K」に決めたのは、前回、こちらでN氏が名残の茶事をした折に懐石が好評だったことと、
客方には本懐石の食事作法、亭主方には給仕や挨拶を経験してもらいたいと思ったからです。
期待通りの懐石を美味しく有難く頂戴しました。
縁高が運ばれ、主菓子は菱はなびら餅(横浜・日ノ出町の打出庵大黒屋製)です。
打出庵さんは京都・川端道喜で修行されたそうなので、だいぶ小さめですが、
餅が薄く柔らかく白味噌餡がとろけるよう、その絶妙な美味しさに感激!しました。
「どうぞお菓子をお召し上がりください。
お菓子をお召し上がりになりましたら、席を改めますので
先ほどの腰掛待合へ中立をお願い致します」
「それでは中立をさせて頂きますが、用意が整いましたらお鳴物でお知らせを・・・」
「ことによりましてはそうさせていただきます」
(日頃の稽古の甲斐があり、会話もスムースでヨカッタです・・・


初釜の茶事の懐石献立 (平成29年1月18日)
福茶 結昆布梅
つぼつぼ 紅白なます
向付 鯛昆布〆細造り赤貝添え 黄菊 岩茸 山葵
汁 白味噌仕立て 小豆麩 青菜細々
煮物 蛤真蒸 芽蓮草 椎茸 紅白短冊 柚子
焼物 鰤辛子幽庵焼き
炊合せ 海老芋 鶉団子 青菜
預鉢 春菊の胡麻和え
五色和え 蓮根 人参 軸蓮草 水前寺のり 蟹 金糸卵
小吸 のし梅 松の実
八寸 伊勢海老 ちしゃとう
湯香 こがし湯 沢庵 白菜 しば漬
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