暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

2017年 釜師・長野新夫妻の初釜へ・・・その1

2017年01月17日 | 茶事・茶会(2015年~他会記録)
                       

1月9日に釜師・長野新氏&珠己さん夫妻の初釜へ出かけました。
昨年の初釜に続いての参席ですが、今年は社中のFさんとご一緒でした。
桶川駅からタクシーに乗り10分位で松風居(父上、釜師・長野垤志氏宅)へ到着。
既にお客様がいらしていて、お正客Yさまはじめ相客の皆様とご挨拶しました。

長野夫妻の初釜の魅力はいろいろありますが、
一、どんな釜が懸けられるのかしら?(釜好きで、新氏ファンの血が大いに騒ぎます) 
二、お客さまに染色、ガラス、陶芸の作家さんや他流(表千家流や宗編流)の方がいらして、いつもと違う顔ぶれが新鮮です。
三、長野新氏は表千家流(珠己夫人は裏千家流)なので、初炭や濃茶など表千家流点前が楽しみです。
四、とにかく酒が多種類、多量ふるまわれ、酒好きにはたまらないでしょうね。
(お酒に弱い暁庵は次々に登場する素敵な燗鍋に目を奪われているうちに、目が回ってきます・・・)

                       

さて、そろそろ席入といたしましょう。
詰のお役を承っていたので、最後に席入し、障子をピシャリと少々音高く閉めました。
床には「お福百態」の図、見事なバンペイユの正月飾り、伏見人形の鶏が仲良く2羽、
床柱の青竹の花入に梅と椿が生けられています。

それから・・・点前座に進み、ドキドキしながら釜を拝見しました。
炉釜は長野新氏のオリジナルの和づく釜、がっしり聳え立つ山容を思わせる形、肩(上部)にある巴のような飾りが印象に残ります。
鐶は鬼面、姥口、古色を感じる蓋も好ましく、思わず手で釜肌を撫でてみたくなりました。

                     

新氏がお一人お一人と挨拶を交わし、それがお客さまの紹介を兼ねていて、多彩な交友関係に興味津々です。
1年ぶりに表千家流の初炭手前を拝見しました。
炭斗の炭の入れ方、かわいらしい灰器、もちろん炭の置き方も裏千家流とは全く違い、Fさんと一緒に目を丸くして初炭手前を堪能しました。
香合は楽焼のようにも見える「福良雀」、なんと!新氏の父上・長野垤志氏の作でした。

初炭が終わると、懐石膳が運ばれ、目に美しく、舌にも美味しい懐石をしっかり頂きました。
先ほども書きましたが、どちらかというと食べるより飲む方が凄い方が多いような・・・。
適度にお酒が入った新氏の釜造りの話が面白く奥深く、八戦八敗して取り組んでいる釜の話を目を輝かせてしてくださいました。
釜造りの苦労話を伺うと、「新氏に車軸釜を造ってもらってヨカッタ!」といつも思うのです。

登場する燗鍋は垂涎ものですが、今回は「うぐいす」の啼き声のする徳利と杯に目が留まりました。
その徳利で酒をつぐと「ケキョ ホーホケキョ」と啼くのです。
杯にも工夫があって、ある場所に口を着けて飲むと「ホーホケキョ」。
とても気に入って、何度も鳴き声を楽しみ、ついに「うぐいす徳利」をお借りすることに・・・。

             
       2017年 釜師・長野新夫妻の初釜へ・・・その2へつづく