
(つづき)
銅鑼が7点打たれ、後座の席入です。
亭主Fさんが昼休みに紐飾りしてくださった茶壺が床に荘られています。
点前座には吉野棚、水指は平戸焼・色絵四方で久しぶりの登場です。
京都・鷹ヶ峰に吉野太夫ゆかりの常照寺があり、遺芳庵(吉野席)という侘びた茶席があります。
今頃は紅葉が綺麗でしょうね・・・。
吉野棚を選んだのは、吉野窓と言われる丸窓から眺めると、色絵の水指が一段と美しく映えるからです。


京都・鷹ヶ峯にある常照寺の遺芳庵(吉野席)
濃茶は、先ずはN氏の台天目です。
N先生の炉開きでは濃茶は台天目、懐かしく思い出しながらそれに習いました。
釜の蓋が南鐐なので、N氏初めて(20年ぶり?)の帛紗使いとなりました。
炉に変わり中蓋、中仕舞なども半年ぶりですが、すらすらと点前が進んでいきました。
湯相もよろしく、美味しい濃茶を練って頂き、3名で頂戴しました。
濃茶は「初昔」(柳桜園)です。
天目茶碗は葵天目、天目台は真塗、茶入は薩摩焼の胴締、象牙茶杓は利休形、仕覆は大黒屋金襴でした。
次いで、Mさんに長緒の点前で濃茶を練って頂き、4名で頂戴しました。
茶碗は井戸茶碗、高麗御本です。
(1639年から1717年まで釜山にある窯で、高麗茶碗と呼ばれる日本の茶人向けの茶器が焼かれました)
とても大きい茶碗なので、茶杓は京都で特注した約21センチの竹元節を使ってもらいました。
茶入は膳所焼の内海、仕覆はペルシャ裂です。
茶杓銘がステキでした・・・。
銘「小男鹿(さおしか)」、歌銘とのことなのでMさんに和歌をお詠み上げいただきました。
わが岡に 小男鹿来鳴く 若萩の
花妻問いに 来鳴く小男鹿 大伴旅人(万葉集)

薄茶はKさんです。
久しぶりの炉の薄茶平点前ですが、すらすらと点前が進みます。
牡丹銀杏が描かれた京蒔絵の棗から薄茶が掬いだされ、湯気の上がる釜から湯が汲まれ、軽快に茶筅が振られました。
茶碗は祥瑞、人形手、黄瀬戸の3種、薄茶は「五雲の白」(上林春松)です。
濃茶の後なので、細かな泡立ちの薄茶がすっきりと美味しく、喉を潤してくれました。
途中、Fさんと交代し、茶碗を替え、楽しい談笑が茶席に満ちていました。

(11月7日・・・今日は立冬。今朝は冷え込みました)
こうして「炉開きの会」が無事終了しました。
「炉開きの会」で初めて稽古デビューされたTさんから翌朝メールが届きました。


おはようございます。
昨日は大変貴重な炉開きの会に参加させて頂き、本当にありがとうございました。
初めて目にすることばかりで、新鮮な発見と感動の連続でした。
お庭や床の間の草花の美しさ、口切の茶事、掛け軸や万葉集からのお言葉、茶釜の湯気やお香の香り、美味しいお茶とお料理、そして素敵な社中の皆様のお茶を愛するお気持ち・・・・まだまだ初心者の私ですが、大いに五感に刺激を受けて素晴らしいお時間を過ごすことができました。
(今朝もまだその幸せな余韻に浸っております)心より感謝申し上げます。 Tより


嬉しいメールを頂き、ありがとうございます。
初めての上、茶事形式でしたので大変だったと思いますが、これもめったにない経験だと思いますし、
私からみて違和感なく皆さまの中にとけ込んでいたように思えました。 皆さま、いい方でしょう・・・
昨日の炉開きの会が幸せなひと時になったようで、ヨカッタ!です。
心配していましたが、お迎えが間に合って、こちらもヨカッタ!です。 暁庵より
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