goo blog サービス終了のお知らせ 

暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

桜を愛でる茶事に心和んで

2014年04月02日 | 茶事  京都編
              京都御苑の満開の桜 (2014年3月31日撮影)
               (クリックするとおおきくなります)

3月27日に桜を愛でる茶事をしました。

お客さまはお二人、京都へ来る前にお習いしていたN先生と、
N先生の友人Hさまです。
3月28日の利休忌参席のためN先生が京都へいらっしゃたので、
灑雪庵の茶事へお招きしました。

昨年の夏、茶事へお招きのご挨拶へ伺って以来、
首を長くしてお待ちしていましたが、ご来庵いただき嬉しい限りです。
それなのに、体調を崩して思うように茶事支度が出来ませんで、
懐石の半分は仕出しを頼んで、切り抜けました。

            
                     京都御苑にて

テーマは前回と同じ能「道成寺」ですが、少し趣向を変えました。
茶道口を元に戻し、お客様に代り亭主が薄桜色の着物を着てお迎えしました。
待合に「道成寺」の色紙を掛けましたが、初座の床は
「去々来々来々去々」

いつか○○茶会で掛けたいと思い、足立泰道老師にお願いしたのですが、
茶会をできるかどうかも先の事なので、N先生に見て頂きたかったのです。

「去っては来る 来れば去る」
人も桜も去ってはまた来るの繰り返しですが、その中に逢う喜びを感じます。
灑雪庵でN先生とHさまに御茶一服差し上げる喜びを込めました。

最初にお香を楽しんで頂こうと、張り切って準備したのですが、
交通渋滞で席入が遅くなり、火相がうまくいかず、残念でした・・・。
それでも、N先生は香炉の灰形を褒めてくださり、感謝です。
この灰形は1月に帰った折、茶友Iさまが特訓してくださったおかげです。

            
                    きんとん 銘「吉野」

銅鑼を打って、後座の席入の合図としました。
銅鑼は、毎日1回五点打つように心掛けていたのですが、
ここのところ怠けていました。
音も間合いも思うようでなく、何事も継続が大切だと思い知りました。
それでも先生は、
「久しぶりに貴女の銅鑼の音を心して聴かせて頂きました・・・」

            

            
                      後座の床

後座の床に花を飾り、道成寺の鐘に見立てた雲龍釜を置きました。
N先生とHさまが見守る中、濃茶点前が始まりました。
茶碗を運び出し、置き合わせ、建水を運びだし、蓋置を置いて総礼。

いつもと同じなのですが、どこか違うのです。
温かい懐にすっぽりとくるまれているような安らぎを感じながら、
はんなりとした気持ちで帛紗をさばき、濃茶を練りました。

            

濃茶は「錦上の昔」(柳桜園詰)です。
茶碗は、お二人だったのでお気に入りの御本三島にしました。
すると、
「茶碗を運び出した時から気になっていました。品の佳い茶碗ですね!」
と先生も気に入ってくださったようで嬉しいです。

            
                      干菓子の黄檗

つづき薄茶を所望され、煙草盆と干菓子をお出ししました。
干菓子は黄檗と常盤木、百万遍のかぎや政秋製です。
上野焼の銘「日高川」と京焼「御所の桜」の茶碗で、薄茶を差し上げました。
最後に「ご自服をどうぞ!」と勧められ、珍しく一服いただきました。

特別のことは何もないのですが、思い出すだけでほんわかと心温かくなる、
N先生とHさまと過ごした、桜を愛でる茶事でした。