暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

晩秋の夕ざりの茶事-2

2013年12月07日 | 茶事  京都編
(つづき)
玄関に設えた腰掛待合へ中立をして頂きました。
陽が落ちて真っ暗な待合には灯りをいくつか用意しました。
露地行灯、手燭、そしてHさま手づくりのランプも・・・。

                (クリックすると大きくなります)

後入の鳴り物にはじめて喚鐘を使いました
2週間ほど、毎日1回打ってみたのですが、
強弱をつけるのが難しく、なかなか風情のある音が出せません。

「大・・・・小・・・中・・中・・・・大」

それでも、暗闇に響く喚鐘は後座への案内役にぴったりでした。
雨の正午の茶事にも喚鐘を使ってみたいです。

              

後座の床には
「応無処住 而生吾心」(足立泰道和尚筆)を掛けました。
友人のご主人黒河氏が造ってくださった燭台を添えて・・・。

座が鎮まるのを襖の外で座して待ちます・・・緊張感溢れるひと時。
襖を開け、茶碗を運びだし、次いで建水と手燭を持って入りました。

南蛮人燭台と手燭の灯りが四畳半の茶室を照らしだしています。
火相よし湯相よし、釜から湯気が上り、松風も聞こえ安堵しました。
三人の先輩が見守る中、いつもより少し緊張して点前をはじめました。

灯りの暗さがほどよく、亭主も客も次第に点前に集中していって、
一体となる様な静寂の中で、濃茶を一心に練り、お出ししました。
「お服加減はいかかでしょうか?」
「大変おいしゅうございます・・・」
・・・ふうっ~と、緊張が解けていきました。
茶銘は「青雲」一保堂詰、菓子銘「錦秋」のきんとんは自製です。
茶碗は赤楽・銘「玉三郎」、佐渡無明異焼・渡辺陶生造です。

           

続いてお薄を差し上げました。
座布団の代わりに茶友Kさん直伝の手作りの椅子をお出しして、
ゆっくりくつろいで頂きました・・もっと早くにお薦めすべきだったかも。
少しでも長くお茶を楽しむためには膝や足腰の無理は禁物なので、
閑座や椅子をおすすめするように心掛けているのですが。

炉の続き薄茶は半年ぶりで新鮮でした。
ベテランの優しいお客さまなので
安心して会話しながら愉しい薄茶の時間を過ごしました。

後でMさまから
「ご亭主が楽しそうで、それが伝わって愉しいお茶でした・・・」
・・・そうなんです。
茶事をやれることの幸せがたぶん溢れ出ていたのだと思います。
これも遠路お出ましくださった先輩方のお蔭と感謝です。


           
                  (山科・毘沙門堂にて)

後日、Hさまから素敵な便りが届き、
阿仏尼の十六夜日記の発端となった細川荘がお近くにあるそうで、
次のような歌を教えてくださいました。

     南淵の細川山の時雨なる
         まゆみの栬(もみじ)今盛りかも  

・・・再び茶事の余韻に浸りながら、紅葉と南天の実で真っ赤になった
灑雪庵の小さな庭を眺め暮しています。

                          

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