暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

正午の茶事 舞秋風 (5)

2010年11月24日 | 茶事
濃茶が終り、「炭を直させていただきます」と後炭が始まりました。
釜をあげると
「炭がすっかり流れていますね・・」と先生。
炉中を整え、匙香、湿し灰を撒きました。

「どうぞ輪胴止めでなさってください」
胴炭の左上に輪胴を置き、左回りに炭を置いていきました。
ここで失敗・・・釜を元の位置へ引くのを忘れ
灰器を持って下がってしまいました。
後炭で一番風情のある、濡れ茶巾で釜を清めるところがモタモタして
とても残念です・・(シュン・・・)。

煙草盆と干菓子を運び、薄茶となりました。
薄茶は京都・松籟園の「颯々の昔」です。
干菓子は竹箕に吹き寄せ(翆晶庵製)を盛ってお出ししました。

薄茶はお客さまとのご縁のある茶碗でお点てしました。

目出度い祥瑞の茶碗は、親身のご指導に感謝を込めて
先生(お正客さま)と三客のKさまに喫んで頂きました。
次客のSさまには大好きな「うずまき」茶碗
Yさまは、なぜか夏期講習会を思い出す黄瀬戸の「練成」です。

四国・松山とご縁があるNさまは高知の尾戸焼「松竹梅」、
母のことをよく語り合ったYさまは形見の志野茶碗「おもかげ」で、
最近、韓国へ行かれたMさまには十数年前に韓国で購入した茶碗「洛東江」、
詰のIさまはただお一人の男性なので、色気を感じる赤楽「玉三郎」でした。

いつのまにか私の元に集まって来た茶碗を総動員したのですが、
お客さまに喜んでいただけたようで、茶碗たちも嬉しそうでした。

                

こうして和やかに正午の茶事が終了しました。
最後の挨拶の時に先生から
「あなたのお心をしっかり受け止めることができたように思います」
というお言葉を頂戴し、感激いたしました・・(涙)。

先生、お客さま、半東のHさま、水屋のYさま、
懐石の佐藤さまとお手伝いの皆さま、
本当にありがとうございました。

反省も多々ありますが、私にとりまして原点に戻る茶事となりました。
お心こもる後礼の手紙を読み返しながら
10日も経っているのですが、その余韻に今も浸っています。


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正午の茶事 舞秋風 (4)

2010年11月24日 | 茶事
後座の床には西王母を一輪、竹花入に入れました。

点前座には紹鴎水指棚を据え、平戸焼・色絵の水指を置き、
溜塗の棗と茶入を荘りました。

後ほど先生から
「お床のお花は西王母でしょうか、いいですねぇ・・
 好い頃合の椿がよく見つかりましたね・・」

花をお褒め頂いたのが嬉しく、
先日の茶会で茶花に心を入れられた先生の姿勢を見習って
野に花を求めて本当に良かった・・・と思いました。             

さて、茶事の主題の濃茶ですが、重茶碗で二碗練りました。
水屋のYさんが温めてくれた茶碗のぬくもりが
応援歌のように伝わってきます。
でも、緊張して茶筅通しの手が震えました。
「大変美味しゅうございます」
という先生のお言葉にほっとしました。

濃茶は京都・松籟園の「豊松の昔」です。
前席の主菓子は、翆晶庵製の「山の恵み」です。
横山和子さんに作って頂いた、栗餡が絶妙な栗きんとんです。

主茶碗は長次郎「喝食(かつじき)」の写しの黒楽で、
私の茶事で一番使われている茶碗です。
替茶碗は安田道雄造の井戸茶碗、夏期講習会の折に
今日庵より頂戴した「刻石天象虎文」の古袱紗をお出ししました。

               

茶入は井上東也造の朝鮮唐津の胴締め。
しふくは織部緞子です。
今年五月の旅行の折、唐津で出合った茶入です。

茶杓は後藤瑞巌和尚の「無事」です。
この茶杓一本に諸々の思いを託しました・・・。

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