暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

花は野にあるように

2010年11月12日 | 茶道楽
利休七則を書き出してみました。

茶は服のよきように点て/炭は湯の湧くように置き/
花は野にあるように/刻限は早めに/降らずとも雨の用意/
相客に心せよ

「あれっ! 一つ抜けている・・・なんだったかしら?」
なかなか思い出せません・・・(ど、どうしよう!)。

              

早めにギブアップして調べてみると
「夏は涼しく冬あたたかに」でした。

   茶は服のよきように点て
   炭は湯の湧くように置き
   花は野にあるように
   夏は涼しく冬あたたかに
   刻限は早めに
   降らずとも雨の用意
   相客に心せよ

しみじみとすてきなお言葉です。
どれも含蓄のある教えですが、茶事が目前に迫っている今、
「花は野にあるように」が難しく、心定まっていません。

炉開きのこの時期、椿を使いたいと思いました。
昨年、春草廬で行った有楽茶会の時は
早々に野の花を扱っている花屋さんから
白とピンクの二種の椿を調達しました。

先日のお祝いの茶会準備の折、そのことを先生に申し上げたら
「そうですか? でも、それも大切な準備なので
 時間をかけて探すことにします」・・・と。

清楚なピンクの西王母が一輪、
茶会の濃茶席の床に生けられていました。

先生の真摯な姿勢に触発され、また
「花は野にあるように・・・」
の言葉に押されて、家から一里(四キロ)四方を歩きまわり
椿を探しました。

郊外にある我家の周りには緑が多く、
「椿マップを作ろうかしら?」
と思うほど数も種類も多いのですが どこへ行っても
蕾はまだ固く、とても使えそうにありません。

それでもあきらめきれず、いつもと違う処を意識して歩いていたら、
思いがけない場所でピンクと赤の椿を見つけました。
ピンクは西王母、赤は岩根絞に似ています。
これで一安心です。
でも、白い椿は残念ながら見つかっていません。

              

「花は野にあるように」
・・・花入に入れる姿、形ではないように思われました。
野にあるように・・・
野にあるシアワセ・・・
花を野に追い求める亭主の心になってみると
いろいろ思うことばかりでした。。