暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

正午の茶事 舞秋風 (1)

2010年11月16日 | 茶事
紅葉秋風に舞う霜月十四日、長屋門公園で正午の茶事をしました。

長屋門公園での茶事は平成二十年二月十七日以来のことで、
三年に近い月日が過ぎていました。
その時の茶事は
「大好きな長屋門の古民家でお客さまをおもてなししたい・・・」
というものでしたが、
私にとって茶事の原点とも言える、貴重な経験をさせて頂きました。
(詳しくは「長屋門公園・正午の茶事」をお読みください)

しかし、母屋の座敷は茶室として作られていないので、
水屋がないこと、台所が遠く人手がいること、
炉、水屋、道具などの準備が大変なこともあり、
長屋門での茶事はその時が最初で最後・・・と思っていたのです。

               

日頃お世話になっている先生や茶友をお招きする御礼の茶事を
もう一度、私の茶事の原点である長屋門公園でしたい・・・
と考えるようになったのは、五月のことでした。

早速、事務局長の清水靖枝さんに相談すると快諾してくださり、
11月14日に決まりました。

有楽茶会でお手伝いしてくださったHさんとYさんが
半東と水屋を快く引き受けてくださり、
お二人には最初から最後まで惜しみないご協力を頂きました。
懐石はこの度新たにご縁があって、茶友Mさんのご紹介で
懐石料理教室を主宰している佐藤愛真さんにお願いしました。

お客さまとスタッフが決まりましたので、
茶事のことは考えないようにして
八月末の夏期講習会へ専念することにしました。

                

大事なお客さまをどのようにお迎えしようかしら?
茶事の一番難しいところであり、一番楽しいところでもあります。
何故か、ブータン旅行中に骨格のようなものが決まっていました。

最初の長屋門公園での茶事テーマは「遍路」でした。
退職後にお茶を再開した時期と、四国遍路を始めた時期が重なっていましたし、
私にとってお茶と遍路が共に必要でした。
三年間、春に四国遍路を続けたのは心の中に余計なものが溜まってきて
それらを取り除きたくなるからでした・・・。

茶事も同じでして、茶事を重ねて余裕が出てくると
余計なものをどんどん足していきたくなります。
道具も身の丈に合っているのに、自分も道具も背伸びしたくなったりします。

このへんで「利休七則」の基本に立ちかえってみよう、
どうしたら「素」の茶事ができるか、
引き算の茶事しよう・・・と、ブータンを旅しながら思いました。


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       写真は上から、「長屋門公園の母屋」
                 「古民家の見取り図」
                 「菊花展 長屋門公園にて」