鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

「題名のない音楽会」の新たな司会者として五嶋龍がさらに羽ばたくことを祈念したい

2015-07-16 | Weblog

 15日は東京・初台の東京オペラシティへ「題名のない音楽会」の公開収録に行った。行ってみて初めて気がついたのだが、司会の佐渡裕が交代し、新たな司会者として五嶋龍が指名され、この日が初めての登板となった記念すべき日であった。そういえば佐渡裕は海外公演の合い間を縫って収録のため帰国するという慌ただしいスケジュールで、近いうちに交代するのではないか、と思っていたところだった。新司会者はまだ27歳とあってゲストを交えての司会ぶりはお世辞にもうまいとはいえなかったが、代わりに日本音楽財団より貸与されているストラディバリウスのヴァイオリンを駆使しての演奏はさすがと思わせるものがあり、観客をうならせた。

 「題名のない音楽会」はこの日からタイトルのある音楽会に変わるということで、まず第1回目は「バッハをめぐる音楽会」と称して五嶋龍がイザイの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第2番」第1楽章を演奏した。司会アシスタントのテレビ朝日アナウンアサーの松尾由美子が紹介したあと、舞台は真っ暗となり、バッハの音楽がヴァイオリンによって演じられ、五嶋龍が颯爽と登場する、という大仕掛けな舞台回しであった。演奏も見事なもので、終わったあと五嶋龍を小さいころから知っているという客席にいた黒柳徹子がヴァイオリンの練習で黒柳家に通っていた時代のエピソードを語っていた。

 続いては藤原道山の尺八、上妻宏光の三味線、山井綱雄の能舞に五嶋龍のヴァイオリンによるシャコンヌの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとバルティータ第2番BMW1004番」が演奏された。バッハの世界が和洋の楽器で再現された。さらにはこれも五嶋龍のストラヴィンスキーの「ヴァイオリン協奏曲」第4楽章カプリッチョが披露され、最後に「題名のない音楽会」のテーマ曲が作曲した久石譲によって演奏され、新しい司会者の門出を祝った。

 後半の収録は「コンクール優勝者の音楽界」と称して、2010年ジュネーヴ国際音楽コンクールピアノ部門で優勝したピアニストの萩原麻未、それに2009年の第9回ロストロボーヴィチ・テェロコンクールで日本人として初めて優勝した宮田大を迎えて、五嶋龍の3人でまず「ミッション・インポッシブル」を演奏し、続いて萩原麻未の「ラヴェル ト調のピアノ協奏曲」第3楽章、宮田大のドヴォルザークの「チェロ協奏曲」第3楽章、そして最後に3人の合奏によるメンデルスゾーンの「ピアノ三重奏曲 第1番」第1楽章が演奏されるという盛り沢山な内容で、訪れた観客はいずれも素晴らしい演奏ぶりに盛大な拍手を送っていた。

 新しい司会者として五嶋龍氏を担ぎ出したのは英断であったと思うし、それを見事にデビューさせた出光興産はじめ関係者の努力を讃えたい。五嶋龍という才能を見事に開花させ、この番組が半世紀を超えてさらに充実した番組であり続けていくように心から願いたいものだ、と強く思った。テレビでのお目見えはことし10月からとなるが、今後とも五嶋龍の活躍を応援していきたい。

 

 

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