WALKER’S 

歩く男の日日

16日目 藤川旅館~68,69,70,71,72,73,74,75,76,77,78~うたんぐら

2014-07-19 | 14年四国の旅

 16日目は一番忙しい日です。今回の旅で一番なのはもちろん、今までのすべてのお遍路の旅で一番多く札所を巡ります。68番から78番までの11ヶ所の札所を1日で巡ったことは3回あるのですが、今回はそれに加え73番奥の院捨身ヶ嶽禅定に登ります。
 今までは、とてもそこまでの時間がとれなかったのですが、今回の宿はチェックインが16時から、お風呂が17時からなので、初めて登る気になれたのでした。


 宿を5時46分に出発、7分で68番札所神恵院、69番札所観音寺に到着しました。納経しないのでこんなに早くても問題ありません。来年は納経するので前日にお参りをすませます。


 観音寺を6時13分に出発します。朝靄にうかぶ本山寺五重塔、ここに来ると必ず撮影したくなる大好きなへんろ道です。


 6時54分、70番札所本山寺に到着しました。6日ぶりに晴れてきました。久万高原から松山に下りてきた翌日から昨日までずっと曇りか雨でした。


 本山寺の山門の前にある電話ボックスで本日の宿と明後日の宿に予約を入れます。今日の宿には17時までに入るようにします、と言うと、ご主人がマイペースで来てください、とやさしく答えてくれました。
 7時12分に本山寺を出発、55分でほ志川旅館の前に来ました。この旅館の存在は2巡目以降は知っていたはずなのに、実際にここにあることを確認したのは今回が初めてです。これだけ大きな看板があってその前を歩いていても、7回とも気がつかなかったというのは、ほんとに不思議な感じです。


 本山寺から弥谷寺までは2年前の別格区切り打ち、4年前の日帰りでも歩いていてたくさん写真を撮ったから、今回はもういいかと歩きに専念したのですが、2年前同様、お山が近づくにつれ足が止まりました。坂がきつくなってくるから当然ではあるのですが、どうしても07年の記録におよばないのが、はがゆいところです。
 ベストより4分遅れ、9時04分、71番札所弥谷寺に到着です。山門までもきつかったのですが、そのあと、本堂までの長い長い階段もいつになく弱々しい歩きになってしまいました。


 弥谷寺ではお参り、登山を含め44分の休憩で9時48分に出発です。
 弥谷寺を出て22分、国道11号に入って200mの所に新しい宿ができていました。2年前は弥谷寺から山越えで海岸寺に向かったのでこの前は通っていないからこの4年の間にできたということになります。宿泊費無料で夕食朝食2980円。72番門前の門先屋、73番門前の坂口屋が廃業になったので、ここに宿ができて重宝する人はいると思います。ふれあいパークみのはちょっと高いようですから。


 10時21分、72番札所曼荼羅寺に到着しました。


 10時40分、73番札所出釈迦寺に到着しました。写真は山門の少し手前のお大師さんですが。


 出釈迦寺でお参りを終え、いよいよ奥の院へ向かいます。昨年電車の中からため息混じりで眺めた我拝師山に今足を踏み入れています。11時02分に遙拝所の脇を抜けて登り始め17分経ったところです。本堂はまだまだ見上げるような高さです。舗装道が続きますが勾配は相当なものです。


 我拝師山山頂と奥の院、急峻な坂道、息も絶え絶え、その横を若い男性がスタスタと追い抜いていきました。お遍路さんではなく、地元の信者の方で定期的に登られているようでした。そうでないと、あのスピードでは登れません。


 さらに3分ほど登って振り返ると、この眺め、遙か瀬戸の島々も望むことができます。


 11時25分、出釈迦寺から23分で念願の捨身ヶ嶽禅定に到着しました。へんろ地図では73番から1396mとあったから、26分以内で上がって来られるだろうと予想していたので、まず想定内でした。山門の中の腰掛けに女性が休んでいます。


 いよいよ本堂でお参りですが、ろうそく立ても線香立てもなく、納札入れもなく、賽銭箱だけがありました。山の上だから火の用心が第一です。下からそれらの掃除や世話をするのにいちいち上がってくるのも大変なので敢えてなくしたのかもしれません。お参りを終えて写真を撮っていると、山門で休んでいた女性が上がってきました。やっとここまで来ることができたんですよと声をかけると、じゃああの上まで登らないのと、中腹を指さします。七歳の大師が身を投じた場所は知ってはいたけれど、そこまで登ることができるとは思ってもみませんでした。徳光さんも本堂の前までだったし、四元さんはここまでも登らなかった。あそこまで登ると時間的に厳しくなるかもと一瞬ためらったのですが、ここまで来て本当の捨身ヶ嶽に行かないのは、登らなかったのと同じではないかと思い直し、登り口まで連れていってもらいました。傘は置いていきなさい、と言われ、素直に従い崖登りです。鎖はあるのですがすごく怖かったです。女体山よりも怖い。


 弘法大師捨身尊像が迎えてくれました。


 下を見るとこんな感じです。山門の小さいこと。


 崖からの下りは登りよりも怖いという人が多いようですが、ぼくは逆で、すっかり落ち着いていました。山門まで下りてきたのは11時54分、少し時間がかかりましたがとても清々しいいい気分です。山門からの急な下りも横峰寺や雲辺寺ほどのつらさは感じません。距離が圧倒的に短いせいもあるでしょうが。下界近くまで下りてくると讃岐富士の姿も望むことができました。
 出釈迦寺の境内を抜けて山門を出発したのは12時13分、想定より11分遅れてしまいましたが、何とかなる範囲です。


 12時39分、74番札所甲山寺に到着しました。


 お寺の中の新しい建物の軒下にベンチがあって、横に自販機もあったので思わず贅沢してしまいました。昼食休憩です。でも時間がないのでチョコとかりんとうを慌てて放り込みます。10分ほどの休憩で次の札所に向かいます。


 4年前には見かけなかったすごい建物ができていてびっくりです。前は手前の駐車場の部分に国立善通寺病院があったのですが、新しい建物は四国こども医療センターと書いてあります。この広大な敷地を占めていた建物が全部きれいに消えているのですから呆れてしまいます。4年といえば長いけれど、何回も来ているから感覚としては半年か1年くらい前のつもりになっています。


 13時12分、75番札所善通寺に到着しました。まだまだ15km近く残っているので落ち着いてもいられません。今回も大師堂が先で本堂が後のお参りです。来年は納経もするし時間的にも少し余裕があるので山門をちゃんとくぐって本堂からお参りするつもりです。
 出釈迦寺から甲山寺まで、甲山寺から善通寺まではベストタイで、いい動きだったのですが、13時28分に善通寺を出るとそれまでと同じようにはいかなくなってきます。距離も時間も重なっていく上に、お参りの数が多いので休憩時間がほとんどとれません。76番札所金倉寺に到着したのは14時01分、ベストより1分半の遅れ、しかも時間がどんどん押してきて余裕がなくて写真を撮るのも忘れてしまいました。
 休憩なしで14時23分、出発です。




 道隆寺の300mほど手前で民家の庭先にいた奥さんから声をかけられました、お遍路さん、お接待させてください、一旦家の中に入って持ってこられたのは手作りのお地蔵さん(お大師さんかも)。徳光さんがお接待を受けたのはこのお家だったのかと合点がいきました。ああこれですね、徳光さんの番組で見せていただきました、と言うとたいそう喜ばれました。納札を手渡すと、それを見てまた顔がほころびました。お会いできて良かったですと、言っていただきました。こちらこそ、そういう風に言ってもらって本当にありがたいと思いました。歩かせていただいているのだとつくづく思います。冥利とはこのことなのだと思います。お地蔵様はぼくの机の上の安野光雅画伯の終い弘法の額の隣に鎮座しています。来年のお遍路の時はもちろんザックに入れて同行二人です。


 15時04分、77番札所道隆寺に到着しました。やはりベストより1分遅れですが時速は6.33kmなので思ったほどは悪くありません。冷水器でたっぷり水分を補給します。もうひとふんばり、休憩なしで15時20分出発です。


 4分で、中野アナのふるさと丸亀市に入ります。


 16時03分、土器川、蓬莱橋を渡ります。今年はちゃんと右側の歩道を歩きます。


 橋を渡ったところに2年前にはなかった新しいコンビニができていました。5年前まではこの向かい側にあったコンビニで夕食を調達していたのですが、2年前来たとき廃業していました。入ったのですが適当な商品がなくて、そのまま出てきました。少し先のローソンで買うことができました。


16時33分、78番札所郷照寺に到着しました。ここから宿まで300mなのでなんとか予告時刻に間に合いそうです。慌ただしく流れ作業のようにお参りをすませたのですが、お庭だけは見ておかねばとしばし立ち寄って撮影です。このお庭も徳光さんの番組で初めて知った次第、本堂から大師堂へ向かうときにすぐ左に入ったところにあるのに、今まで何も見ていませんでした。動線にしか目が向いていませんでした。


 16時49分に郷照寺山門を出発、3分で本日の宿、善根宿うたんぐらに到着しました。何とか時間内に11ヶ所の札所と捨身ヶ嶽を巡ることができてほっと一息です。
 居間に通されると、郷照寺のお坊さんの奥さんが来ていて、ご主人とお話の真っ最中。
 宿泊客は、60代前半の男性、福井から自転車で来られて、高松から始めたので明日一宮寺で結願、22日かかったそうです。今お風呂に入っている男性は60代後半で連泊しているようです。善通寺まで歩いて、電車でこの宿の近くまで来て、翌日また電車で善通寺まで戻って国分寺まで歩いて、また電車で宇多津まで戻ってこの宿に泊まるというやり方があるようです。朝食付き1000円ですから、倹約遍路には最適なのですが、ぼくはもっと先に進んでしまうのでそういうことはできません。