WALKER’S 

歩く男の日日

18日目 ビジネス旅館三鈴~84,85,86,87,88~民宿八十窪

2014-07-27 | 14年四国の旅

 朝の早い時間に朝刊と共におにぎりのお接待が部屋の外に届きました。朝食は菓子パンを用意していたので、お昼にいただくことにします。昨日に続いてまたご飯を食べることができます。
 6時05分に宿を出発、「来年もお待ちしてます」と言っていただきました。とってもありがたい言葉です。ぼくは来年も巡る予定にはしているけれど、それは自分の都合でどうにでもなることです。でもこの言葉をいただくと何が何でもしっかり歩かねばなりません。それは本当に大きな支えになります。うたんぐらの奥さんにも同じような言葉をいただいたから、最後まで後押しされながら歩けることになります。



 宿を出て歩き始めてすぐに、あまりよくないと自覚します。昨日のようなスピードは絶対出せません。数日前から左足のかかとにひびが入って痛みを感じているのですが、今日は少し歩きに影響が出そうです。そのせいか、屋島も傾いてしまいました。


 7時17分、84番札所屋島寺に到着しました。屋島の登りは一番苦手ですが、今回も長く長く感じました。ベストより4分も遅れてしまいましたが、それだけの歩きだということは自覚しています。


 5年前屋島寺でお話しした地元の早朝登山の方たちとまた会えるかなと思ったのですが、時間がちょっと違ったようで、静かな境内でした。
 7時35分に出発します。
 屋島の下りは急降下でひざに負担がかかるのですが、やはり例年以上に苦しみました。特にドライブウェイを横断した後の石畳や舗装道が辛くてなかなか思うように進みませんでした。



 3年前の日帰りのときに撮影もしたのですが、改めて迎えていただきます。山門はすぐそこですが、一息つかせてもらいます。


 この眺めを無視するわけにはいきません。今日も快晴です。


 8時45分、85番札所八栗寺に到着です。やはりベストより3分遅れですが、平地なってからは何とかペースを保つ歩きができているようです。


 八栗寺では休憩を含め30分ほど滞在、9時11分に出発しました。八栗からの下りの舗装道もひざに来る急勾配もあるのですが、屋島ほどではないのでそんなに辛くはありませんでした。坂道の後半に来たところで前を行く歩きの人が見えたのですが、なかなか追いつきません。数百m離れていても、姿をとらえれば、まもなく追いつくということが常だったので、首を傾げながら追いかけたのですが、やっと追いついたのは志度寺の300mほど手前でした。間違いなく時速6km以上で歩く人でした。おかげで気合いを入れ直しながら歩けたのでベストより1分20秒ほど遅れただけでした。ぼくの時速は6.5kmでした。
 10時12分、86番札所志度寺に到着です。その人は前にも来たことがあるようで、以前納経所があった本堂と大師堂の間のところで、前はここに納経所があったはずだけれど、と首を傾げて、今の納経所の場所を尋ねていました。ぼくも5年前はそこでしてもらいましたが、2年前来たときには移っていました。



 志度寺では休憩を含めて25分の滞在、10時38分に出発です。
 1kmほど来たところにあるコンビニがサンクスからセブンイレブンに変貌を遂げていました。昨年、宍喰でもその過程を見ていたので特に驚きませんが、気になるのはその品揃えです。2日前丸亀のセブンイレブンで買うものがなかったので、どうかと思ったのですが、何とか芋けんぴ一袋を購入しました。今日の宿は2食付きで予約しているので、菓子パンは買いません。



 志度寺から4km半、玉泉寺を過ぎてしばらくのところに新しい休憩所ができていました。玄関の中で休むのかどうか分かりませんが、水道があるのはありがたいところ。


 11時47分、87番札所長尾寺に到着しました。ベストより1分半遅れ、やはり目標がないとそれなりの歩きになってしまいます。水屋を使おうとすると、ちょうど歩きの男性が出発するところでした。気持ちよく挨拶を交わします。この時間にここで歩きの人と会うのは珍しいことです。この先には大窪寺まで宿がないので、多くの人が、八栗か志度からの出発になります。どちらにしても11時にはこの札所を出てしまうので、車遍路の人しか会うことはありませんでした。


 お参りを終えて、一旦山門の外に出てアクエリアスを買ってしまいました。ドリンクを買うのは5回目になります。もう後1日なのでこれくらいの贅沢はいいでしょうという感じです。お接待のおにぎりは志度寺でいただいたので、昨日買ったピーチョコで燃料補給です。休憩を含めて30分の滞在、12時17分に出発です。
 長尾寺を出て2km弱のところで、先に出た歩きの男性に追いつきました。20分は先に出たはずだから前山ダムまで追いつかないと思っていたので意外でした。さっき挨拶したばかりなので、そのまま追い抜いて行こうとしたら、○○さんではないですか、と呼び止められました。「えっ」と思って立ち止まると、13日前、宿毛の延光寺から竹下さんのアイフォンでお話をした佐藤さんでした。「追いつくもんやねえ」と感心されました。ぼくは、もしかしたら最後の日あたりに追いつくかもとは思っていたのですが、やっぱり、びっくりでした。面識のない人に名前を呼ばれるわけですから。ぼくのスピードで気がつかれたようです。今日はたまたま6km以上で歩く人がいたけれど、これだけのスピードで四国を歩く人はあまりいませんので。そこから、前山ダムまでスピードを落として一緒に歩きます。後で計ったら5kmくらいでした。
 佐藤さんは今回でぼくと同じ8巡目なのですが、ぼくなどより余程多くの遍路宿の情報を持っておられます。女将さんの生年月日を含め細かい情報をきっちり記録しています。ぼくなどは歩く距離が長いので、評判がよくても距離が合わなくて泊まったことがない宿が結構あります。
 いろんなお話を聞いたのですが、びっくりしたのは、ぼくが昨年薬王寺でお話をしたオランダから来たエリーさんと、今年足摺の手前で一緒だったということ。彼女のブログにはすでに佐藤さんの写真もアップされているということでした。ぼくが昨年会ったというと佐藤さんもびっくりです。
 帰ってきてから、エリーさんから佐藤さんに連絡があり、さらにぼくの方にも知らせていただいて、直接エリーさんにメールを送信する機会を持てました。エリーさんはすごくびっくり、そして喜んでくれました。昨年撮ってくれたぼくの写真も貼付してくれて、ぼくのブログに載せた彼女の写真も見てもらえました。海外の方と直接メール交換できるなどとは本当に思ってもみませんでした。今回はびっくりすることやありがたいことがいっぱいです。


 13時19分、おへんろ交流サロンに到着しました。最後の休憩をとります。名簿を開くとすぐ手前に竹下さんの名前がありました。竹下さんは今日は長尾から歩いていて同じ宿に宿泊します。少し前に佐藤さんが電話したのですが、山の中を歩いているようで通じませんでした。
 名簿に記帳するとしばらくして、係りの女性が遍路大使任命状と遍路バッジを持ってきてくれました。ぼくは前にもらっているので2個目はもらえないと思っていたのでちょっとびっくりです。佐藤さんはバッジを3個つけた人に会ったことがあると言います。緑茶サーバーが休憩所にあるのでいただきます。冷水と交互に4~5杯たて続けに飲みます。食塩も忘れず摂って、渇きを癒します。
 交流サロンでは30分ほど休憩、13時52分に出発です。佐藤さんは女体山越えの道を歩かれるということで、ここからは別々に歩きます。
 花折峠から県道までの下り道は気持ちがいいし、県道に下りてから多和小学校までの下りも思い切り歩けて風に乗れるような気がすることもあるくらいです。そして国道を離れた最後の2km、緩やかな登りのへんろみち。結願所がだんだん近づいてくるあの味わいはどうしても捨てがたく、7回目の花折峠に向かいます。
 2年前来たときは6月だったせいかひどい有様でした。今まで一度も途中で休んだことがないのに峠近くの遍路小屋に倒れ込んでしまうほどでした。何とかきっちり歩き直したいという思いがあったのですが、意識するまでもなくどんどん足が前に進んでいく感じがします。途中急勾配の箇所も見る見る行き過ぎていくという感じで、まだかまだかという感じは全然出てきません。今までこんなに普通に登ることがあったろうかという感じで峠まで来てしまいました。もちろん休みたいという気は全く起こりません。


 峠からの下りもひざに負担はほとんど感じません。県道の下りもいつも通り快調、長尾までの今日の不調は何だったんだろうと思うくらいです。国道に入ってからの登りもいつになく快調でまったくしんどくありません。最後の最後でこんなに気持ちよく歩けて本当に幸せです。最後2kmの脇道もいつになく余裕があって楽しめました。そしていよいよ大窪寺の山門が見えてきたところです。初めての人にはこの景色を味わってもらいたいと思うのですが、どうしても女体山の方に人気が集まるようです。


 15時29分、結願所大窪寺に到着しました。時計を見てびっくり、ベストタイムより5分も早く着いてしまいました。途中新しい短絡路ができていてそれを考慮しても3分以上は早い。やはり水と塩が効いたのか、交流サロンまでスピードを落としたのがよかったのか、サロンでもらってきたキャンディーの糖分がよかったのか、でもなかなかいつもこういう体調でとはいかないのがお遍路のおもしろいところ、今回は本当にそのおもしろさばかり味わっていたような感じがします。


 15時44分、今回の旅最後の宿、民宿八十窪に到着しました。


 八十窪の玄関の横でお大師さんの犬が迎えてくれたのですが、かわいそうに片方の後ろ足を引きずっています。歩くのも大儀なようで、このようにすぐしゃがんでしまいました。どうにもできないのが、何とも歯がゆくて悲しくてなりません。


 大女将がいつものように出迎えてくれました。ぼくが初めてこの宿に来たのは10年前、10年で7回目の投宿です、「すぐお風呂入れるからね、部屋は菊の間ね」。帰ってきた、という感じです。玄関には男性用のシューズが1足だけ、竹下さんはまだのようです。
 赤飯は大好きだけど、日頃食べることは全くないので、ここで食べられるのは本当にうれしくて、白ご飯は無視して、赤飯ばかり3杯いただきました。同宿はぼくを含めて6人、竹下さんと今日一緒に歩かれた女性二人、佐藤さんと、もう一人は北海道から来られた男性です。男性は初めてではないようでしたが、女性二人は初めてのようでした。その内のお一人からは納札をいただいたのですが、ぼくが5年間暮らした大学のすぐそばから来られました。