WALKER’S 

歩く男の日日

4月18日 11日目 泉ゲストハウス~52,53~ますや旅館

2014-07-04 | 14年四国の旅


 夜明け前から雨が降っています。6時半に出発するので、5時半に荷物をまとめて1階の食堂へ下りていきます。ちょうど日本人女性が出ていくところで、「おへんろさんですか?」とぼくを珍しそうに眺めます。コロコロのついたスーツケースを持っているから普通の観光客のようです。食堂にはテレビがあるのですが故障中、外国の人が多くて見る人もあまりいないから修理する気はまるでないようです。台所でコーヒーをいれて一人静かに朝食をとります。昨日近くのコンビニで買った菓子パン二つです。夕食も同じでした。夕食の時、向かいに座った白人女性はお寿司と天ぷらを食べていて、ちょっと可笑しくなりました。

 6時半に宿を出るときには雨はほぼあがっていました。当初は山田池、吉藤池の横を通る道を行くつもりだったのですが、天気が悪いのでいつもの道を行くことにしました。25分ほど歩くと雨が降ってきました。国道196号に出てくる少し前に2ピースの合羽を着けたお遍路さんにあったのですが、この程度の雨であの格好で歩くのは本当に大変そうです。ぼくは傘を開くだけです、止めばすぐたたんで時間もかかりません。
 7時54分、52番札所太山寺に到着しました。タイムチェックはこの2番目の門でしています。ここから本堂まではだいぶあるので滞在時間は普通の札所より10分以上長くなります。


8時23分に太山寺を出発、18分43秒で53番札所円明寺に到着しました。ベストより15秒遅れでした。靴の中がぐっしょりなのでそれが影響したかもしれません。雨は中間あたりで止んでくれました。2時間弱雨の中を歩いたことになります。


 徳さんのお遍路さん、で紹介されたキリシタン灯ろうを押さえておきます。テレビではいろんなものが紹介されていいのですが、それを見ると本当にぼくなどは見ていないものが多すぎると思います。
 円明寺ではお参りを含め30分の休憩をとり、9時12分に出発します。


 大好きな海辺の歩道です。2年前電車の中から眺めましたが、歩くのは5年ぶりです。天気はよくないのですが、ここへ来ると心なしか弾んだ気分になります。


 光洋台駅の踏切を渡ります。ここからバイパスに入ります。へんろ地図では堀江駅を過ぎたところからバイパスに入るように赤線が付いていますが、遠回りになるしトンネルが二つあるので、ここから入ることにしています。海岸に近い国道は歩道の起伏の数が多すぎてものすごく疲れます。時速にすると500m以上遅くなります。


 国道196号バイパスは雨も完全にあがってかなり調子も良かったのですが、北条郵便局の前までのタイムはベストより1分遅れ、でも5年前よりは2分早かったので、ほぼいつも通りの歩きができたといえます。前は郵便局で休んだり、日曜日で雨が降っていたときは電話ボックスの中で休んだりしたのですが、郵便局は本局で居心地が悪かったので、今回は1800m先の鎌大師で休ませてもらうことにしました。円明寺から13kmでちょっと長く、間に休めるところは8km地点のパルティフジがあるのですが、今回は調子が良かったのでここまでがんばりました。
 休憩所には伊予柑のお接待があって、美味しくいただきました。こういうのは当たりはずれが大きいですが、果汁も甘みもたっぷりでした。しばらく休んでいると、男性の歩き遍路さんがやってきました。区切りで今日が初日、愛知県豊田市から来られました。
 鎌大師ではたっぷり45分休み昼食も摂り、12時02分に出発です。


 たくさん休んだので浅海の手前の峠越えはいつになく快調でした。国道に合流するまでのタイムはベストタイでした。国道に合流して1kmほど行くと、5年前にはなかった新しい歩道ができています。


 今治市に入ります。2005年1月までは菊間町、2巡目までは菊間町の標識を見ていたはずです。


 瓦の町、菊間町に入ると、国道を歩いていてもすごい大きさの鬼瓦を見ることがあるけれど、これは珍しい瓦のお大師さんです。札所や、別格、番外に居られるお大師さんはもれなく撮影するのですが、こちらも思わず歩が停まりました。


 13時15分、菊間駅の350m手前にある番外霊場遍照院に到着しました。ここで本日3回目、最後の休憩をとります。朝イチで歩いたときは浅海からだったので延命寺まで休まなかったし、午後歩いたときはこのすぐ先の月の家旅館がゴールだったので、この境内にはいるのは初めてです。山門の軒下にベンチがあったので腰を下ろします。


 遍照院では30分休憩、13時48分に出発です。6km弱進むと大西町(旧)に入ります。すでに今治市に入っているし、標識そのものを撤去するにも費用がかかるから、左肩に「旧」の文字を書き加えるしかなかったのでしょう。
 遍照院までは時速6.4kmで文句のない歩きができていたのですが、14時を過ぎると動きが鈍くなってくるのを自覚します。


 普段なら気にも留めないかもしれないけれど、35km以上歩いてきた身には心癒されるものがあります。


 美事です。見惚れている余裕はないのですが。


15時28分、本日の宿ますや旅館に到着しました。へんろ道からは少し離れた国道沿いにあります。遍照院からはベストタイムより5分も遅かったのですが、ベストは朝イチに歩いたときのものなので、1日の最後で6.23kmは出ていたからそんなに悪くはなかったと言えます。
 若いご主人が出迎えて案内してくれたのですが、物腰が柔らかくていい感じの人でした。外装はリフォームしていますが、中はかなり古い感じで、柳屋旅館や松乃家ほどではありませんが、ぼくの好きなタイプの落ち着ける宿です。浅海と菊間の宿がなくなって、電車でこの近くの宿まで来る人が多くなっていると思われましたが、宿泊客はぼく一人でした。大西駅から600mあって、駅前に二つの宿があるのでそちらの方に流れてしまうのかもしれません。ぼくも来年は菊間から大西まで電車で往復するので、あさひや旅館に泊まる予定です。


 夕食は少し遅い時間になったのですが、待たされただけあってご馳走でした。メインはたっぷりのローストビーフ、それに鯛の兜煮、いい味付けでした。
 ホームページには2食付き5800円とあったのですが、予約を入れたときには朝食はできないといわれました。夕食付き5616円でした。この食事でこの値段、すきなタイプの部屋で応対も悪くない、半分くらいの人は○にするかもしれませんが、ぼくは◎の評価です。


4月17日 10日目 古岩屋荘~44,46,47,48,49,50,51~泉ゲストハウス

2014-07-04 | 14年四国の旅


 今日の宿も16時チェックインなのでゆっくり6時半の出発です。宿からは赤点線の道ではなく赤線のない県道を歩きます。5年前この道で体調がおかしくなってうまく歩けなかったので、きっちり歩き直してタイムもとっておきたかったのです。写真は八丁坂のへんろ道が県道に合流するポイントです。岩屋寺を下りてきて橋を渡ったところからのタイムで見ると、5年前より2分半ほど早いタイムでした。上々の発ち上がりであり、昨日の最後半もよく歩けていたことになります。


 ときわ旅館で教えてもらった新しい宿八丁坂がありました。5年前にはなかったので初めて見ることになります。ぼくはまだ和佐路に泊まっていないので、泊まるにしてもその後になります。和佐路はこの300m先にあります。


 住吉神社です。ここからが本日のハイライトです。


 ここから県道12号を離れてへんろ道があるのを知ったのは6巡目を終えた後でした。四元さんが岩屋寺の打ち戻りで見慣れない道を歩いているのを見てやっと気づいたのでした。へんろ地図にもちゃんと赤点線が付いているのに気づくことはありませんでした。7巡目のとき当然歩くつもりでいたのに、体調がおかしくなって完全に忘れてしまっていつものように県道12号をそのまま歩いてしまったのでした。


 最初は県道153号です。


 100mほどで153号を離れ右折します。


 右側の家が、四元さんが猫を撮影していた所です。何となく見覚えがあったので撮影したのですが、帰ってからビデオを確認するとそのとおりでした。


 こういういい感じの道をはずし続けていたのは、ちょっと恥ずかしいです。


 この山間の集落がそんなににぎわっていたというのはにわかに信じられない気もしますが、いつ頃のことだったのでしょうか。


 古い旅館の建物が残っています。宿の営業はしていないようですが、


 いよいよ県道に上がっていきます。と思ったのですが、上がったところはまだ県道ではなく、一段下の平坦な道がしばらく続きます。


 今度は本当に県道に上がっていきます。住吉神社からわずか8分ほどですが、すごく満足しています。これで久万高原町の赤線の付いている道はほとんど歩いたことになります。来年からはオーソドックスに往路も復路も八丁坂にしようと思います。県道を行くより6分ほど遠回りになりますが、足にはやさしいはずです。


 県道に上がってきました。これだけ分かりやすい道しるべもあるのにどうして気づかなかったのか、脇道があるとははなから思っていないから、気づいたところで軽くあしらっていたのかもしれません。来年からは下りもこの道を歩きます。


 峠御堂トンネルの所から山道へ入り44番に向かったのですが、途中道が崩れて歩きにくくなっているところがありましたが、通行止めにまではなっていませんでした。かなりきつい登りもあるのですが、6年前のことを思い出しながら落ち着いて歩くことができています。時間からして朝イチで44番のお参りを終えた歩きの人と出会うかなと思ったのですが、一人も出会いませんでした。前日小田の宿や砥部町の宿に泊まった人は45番まで行って、打ち戻って古岩屋や和佐路、健脚の人は44番の近くの宿まで戻ってくるとしても、次は松山へ向かうから朝イチで大宝寺というのは自然と少なくなってしまうようです。


 7時54分、44番札所大宝寺に到着しました。山道の合流ポイントから49分、6年前と同タイムでした。
 5年ぶりに来てみるとトイレが新しくなっていました。前のはひどかったから早く何とかして欲しいとずっと思っていました。軽く万歳したい感じです。
 大宝寺から1600m、やすらぎの宿でんこのちょっと手前にあるコンビニで昼食を調達します。ピーチョコと芋けんぴ、今日の宿は素泊まりですが夕食と明日の朝食は宿の近くで買うことにします。20分の休憩で8時50分に出発です。この少し手前に新しい道の駅が完成間近だったのですが、撮影しませんでした。コンビニも撮らず、体がよく動くので歩きの方に意識が向いてカメラに手が伸びなかったのかもしれません。


 明神小学校の300mほど先、久万カントリークラブの入口の真向かいに八代生食堂がありました。素泊まり2000円の格安宿ですが、2500円という情報もありました。
 三坂トンネルが完成していて国道に合流してくる所は格好の撮影ポイントだったのですが、またもカメラに手が伸びません。いい感じで歩けているので、少しでも停まりたくないという意識が強くなっています。ポケットパーク明神にはコンビニから44分、ベストタイで到着です。2日前までは思うようなスピードが全然出なかったから、歩けるときには集中して歩いておきたいということなのかもしれません。明神PPの電話ボックスで2日後の宿、横峰寺の手前の栄家旅館に予約を入れたところ、その日は病院に見舞いに行くのでお休み、ということだったので3日後に泊まる予定にしていたビジネス旅館小松に変更、邪魔くさいので連泊にしてもらいました。栄家が休業にでもなれば、多くの人が小松まで行く(仙遊寺から25.6km)ことになるから、ますます小松は繁盛して、予約がとりにくくなるかもしれません。


 PP明神では20分ほど休憩して9時53分に出発です。調子は相変わらず絶好調でカメラの出番はありません。三坂峠を少し下りかけたところで松山の町が見えてきて本当なら撮影していたはずですが、とにかく先へ先へ。
 三坂峠は前半の地道の部分は好調だったのですが、舗装道の急勾配からはいっぺんに辛くなりました。初めてこの道を歩いたときのような感じです。それでも何とか久谷郵便局までPP明神から93分、いつもと同じくらいのペースで下りてきました。姫ノ井局以来6日ぶりにお金をおろします。


 11時38分、46番札所浄瑠璃寺に到着しました。
 お参りを終えて、納経所の前にあるベンチで昼食を摂っていたら、納経を終えた歩きの人が地図を見ながら思案顔、訳を聞くと、久万の宿を出てどれくらいかかるか全く見当もつかず下りてくると早く来すぎて、長珍屋はまだ入れないというのでどうしようかと迷っている、ということでした。ここからだと道後温泉まで遍路道沿いに宿はありませんよ、と地図を指さしながら教えてあげました。そして道後で手ごろな価格で泊まれるビジネスホテルさくらを紹介しました。早速携帯で予約を入れると無事安い方の部屋で予約完了、値上げはしていませんでした。明日はバスで高松まで行くのですが、高松の宿も紹介してもらえませんか、というので、ぼくがいつも泊まっているビジネス旅館三鈴を紹介します。ところが電話をすると休業しているとのこと、ぼくも1週間後に泊まるつもりにしていたのでちょっと焦ったのですが、5年前のことがあるから何とかなるだろうと、少し気を引き締めました。


 浄瑠璃寺ではお参りを含めて40分の休憩、12時21分に出発です。いつものように8分で47番札所八坂寺に到着しました。つつがなくお参りをすませ12時42分に出発です。宿まであと13km、お参りは4ヶ所、普通に歩けば16時前に到着します。


 7巡目まではこのあたりを歩くのはゴールデンウイークの後だったので、麦は黄色く色づいて麦秋の趣、今回は3週間以上早いので青々、いつもと違うので思わず撮影してしまいました。
 このあと48番札所西林寺には13時22分に到着、写真は忘れてしまいました。バスツアーの人たちと一緒でした。
 西林寺からは赤線の道は歩きません。歩道がなくて交通の激しいところがあったので4巡目からは歩道のある県道40号を直進します。踏切を渡って左折してからも県道を歩いていたのですが、左折してからは歩道がないので、今回は線路に隣接した路地のような道を行くことにしました。遠回りにはならないし快適です。


 14時04分、49番札所浄土寺に到着しました。
 ぼくがお参りを終える頃バスツアーのみなさんが入ってきます。


 14時40分、50番札所繁多寺に到着しました。浄土寺から15分、前の二つの区間は少し調子が落ちたのですが、この区間はやや持ち直しました。
 お参りを終えて山門を出るときにバスツアーのみなさんが到着、距離が半分だったので大部差が出ました。


 15時22分、本日最後の札所、51番石手寺に到着しました。県道40号に下りてくる少し手前の部分が道路工事中で、遍路道をはずれて早めに県道に下りたのですが、タイムは何とかベストタイでした。山門の手前で尼さんといい感じに挨拶を交わすことができました。今日は三坂トンネルの合流ポイントの近くでも、歩道の花壇の世話をしている地元の方からも素晴らしい笑顔の挨拶をいただきました。うれしい1日でした。


 15時57分、本日の宿、泉(せん)ゲストハウスに到着しました。石手寺から17分、道後温泉本館の前のアーケードを抜けて、24時間スーパーのある交差点を右折してしばらく行ったところにあるのですが、目印の24時間スーパーは廃業していました。
 ホームページを見ていたのですが、想像していたのよりずいぶん立派な建物です。個室もありますが、ぼくは相部屋2700円(お遍路は2500円)で予約しました。素泊まりのみの宿で、シャワーは無料ですが、お風呂は有料です。初めから本館に行くつもりで道後に宿をとったのでその点は問題ありません。若い奥さんは讃岐の人、ご主人はアメリカの人で、共にお遍路の経験者であり、スペインの巡礼路も歩いておられます。お手伝いの人も外国の人ばかりで英語が飛び交っています。お客さんもほとんど外国の人、ぼくの相部屋の3人とも外国の青年でした。10時近くに入ってきた人もいて消灯は11時過ぎでその点はちょっとまいったのですが、アイマスクさえあればずいぶん居心地のよい空間であったことは確かです。ぼくが今までに経験した相部屋の中では一番静かで落ち着けました。インスタントコーヒーもセルフで飲み放題です。個室でも時には相部屋並みにうるさいことがあるから、この2500円、温泉本館400円は悪くない、というよりかなりいいかもしれません。普通のお遍路さんにお勧めはできませんが、ぼくがまた道後に泊まるなら戻ってきてもいいなと思っています。
 道後温泉本館も8回目にしてようやく中に入ることができて大満足です。一番安いコースなので浴衣もお茶もなく2階にも上がれないのですが、それでも十分でした。制限時間の1時間近くたっぷり味わいました。