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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国の負担をも背負う日本国

2008年05月02日 18時03分00秒 | 国際政治
中国「セクター別」を支持 温暖化対策、日中首脳声明案(朝日新聞) - goo ニュース
 
 日中首脳による共同声明において、中国側が、温暖化対策に関する日本案に賛成するかわりに、日本側は、中国の温暖化ガス削減のための資金ならびに技術支援をするという合意がなされた模様です。この合意こそ、日中間の”戦略的互恵主義”というものなのでしょうか。

 合意内容を検討してみますと、これが、両国双方の利益を意味する”互恵性”がないことは確かです。中国側を見てみますと、1.国際的な削減義務を果たしているポーズをとれる、2.実際の削減に際しては、日本から資金ならびに技術の支援を受けられる、3.本来自国で負担すべきコストを削減できるので、軍事費を含めて他の政策に予算をまわすことができる、など、良いこと尽くめです。

 一方、日本側を見ますと、1.これまで育ててきた大切な環境技術が無償で流出する、2、中国への資金援助のための予算を取らなくてはならない、3.中国の軍事費拡大を抑制できない、といった悪いこと尽くめです。唯一良いことがあるとしますと、抵抗する中国を温室効果ガス削減の枠組みに引き入れたということぐらいでしょうか(もちろん、おみやげは日本国負担で…)。

 これでは、日中間の互恵性などないに等しく、一方的に、日本国が中国の負担をも背負うことになります。”戦略的互恵主義”の実態とは、中国による戦略的片務主義(相手国に義務を負わせる)なのではないでしょうか。中国が軍事大国の道を歩む一方で、莫大な財政赤字に苦しむ日本国が一方的に中国に対する義務と負担を負うとは、どう考えましても納得できません。日本国政府は、中国政府に対して軍事費の削減を要求し、その予算をもって自国の削減コストと環境技術の対価を支払うよう、要求すべきではないでしょうか。 

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コメント (2)
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日本語能力よりも国内の安全第一

2008年05月02日 12時35分52秒 | 日本政治
日本語上手なら入国・滞在で優遇 外務省方針(朝日新聞) - goo ニュース

 長野の聖火リレーにおいて、中国政府による中国人留学生の大動員があったにも拘わらず、日本国政府は、この事件が惹起した日本人の危機感には全く気が付いていないか、気が付いていないふりをしているようです。自国や自国民を守ろうとする誠実な気持ちと公務員としての当然な義務感があれば、入国・滞在に関する条件は、日本語能力ではないことは、すぐにでも分かるのではないか、と思うのですが・・・。

 出入国の管理に当たって、第一に考えるべきことは、自国と自国民の安全です。日本語能力を条件とし、どこの国からも受け入れるとなりますと、むしろ、政治的、あるいは、社会的な問題を起こす傾向が強い国からの入国者が増えてしまうことになりましょう。この条件によって、最も大きな利益を受けるのは、共産主義国である中国人といった結果となりかねません(韓国人入国者による犯罪も問題ですが・・・)。つまり、特定の国に対する優遇策となるのみならず、政治的な”先兵”を国内に大量に抱え込む結果を招くかもしれないのです。入国・滞在に求められる条件とは、日本国を乱す行為を防止するための政治的・社会的条件なのではないのでしょうか。イギリス起きたテロ事件でも、犯人は、英語の話せるイギリスで育ったイギリス国籍のパキスタン系の人々でした。

 そもそも、外務省の一存で、こうした重要な決定が行うことができるのか疑問なところです。出入国管理は法務省の管轄であるはずですし、法律の改正も必要かもしれません。そうして、何よりも、本来、国民の同意が必要な問題なのではないか、と思うのです。このままでは、国民は、安全を脅かされる上に、さらなる財政負担さえ背負わされそうです。国民無視の政策が続く中、より国民の意思を反映できる制度への改革を行う必要があるのではないか、と痛感するのです。

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ちぐはぐな日本政府の”防御”政策

2008年05月01日 18時13分01秒 | 日本経済
「要塞のような日本が復活」=外資に対し防御的傾向-米紙(時事通信) - goo ニュース

 政府は、イギリスの投資ファンドによるJパワー株の取得に対しては、安全保障を理由に”防御”政策を進める一方で、出入国管理については、日本語能力を基準に入国や滞在を優遇するという方針を打ち出しているようです。しかしながら、この二つの政策、明らかに”ちぐはぐ”=不整合であると思うのです。その理由は、一言で言いますと、”資本”の方が”人”よりも、安全保障上の危険性が低いからです。

 もし、安全保障上の理由で、エネルギー産業への外資導入を躊躇うならば、1.政府系ファンドではないこと、2.株式取得企業の国籍国との間に政治的な対立がないこと、並びに、3.自由主義国であること、4.相手国が同程度の開放を行っていること、5.有事に際しての日本国政府の緊急措置の受け入れること、といった条件を付けた上で、取得株式の%に上限を設けるか、否かを検討するほうが理に適っています。

 その一方で、外国人の入国や滞在については、長野の聖火リレーで明らかになったように、外国人が、本国政府からの指令で政治活動を行う可能性が高く、有事ともなれば、日本国の安全にとりまして極めて危険な状況となることが予測されます。また、経済活動に関しても、野村証券における不祥事や産業スパイの事例も見られ、必ずしも、自国経済にプラスになるとも限りません。日本語能力の基準は、日本国の安全を保障せず、この政策分野にこそ、より厳格な規制が必要なはずなのです。

 外資規制の本当の狙いが、終身雇用制の維持といった雇用問題であったとしても、外国人の入国を増やせば自国民の雇用も脅かされますので、これでも”ちぐはぐ”です。いったい、日本国政府は、どの国を”仮想敵国”と見なして政策を立案しているのでしょうか。資本市場と労働市場とで、こうしたダブル・スタンダードを見せるようでは、日本国政府は、国際社会を納得させることは到底できないと思うのです。

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