万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

イスラエル高官の驚愕失言は本音

2013年08月16日 15時27分54秒 | 国際政治
原爆追悼に「うんざり」=イスラエル高官が書き込み(時事通信) - goo ニュース

 twitterやFacebookへの書き込みは、つい本音が出てしまうことにおいて、外交辞令とは違った意味で重みがあります。後から削除したり、一生懸命に否定しても、誰もが、”本音は最初の書き込みに違いない”と考えるのですから。

 本日、イスラエル高官が、日本国への原爆投下について、”犠牲者に対する追悼にはうんざりする”とFBに書き込んだとするニュースが飛び込んできました。この高官の論理では、原爆投下は、中国や韓国に対する侵略や虐殺に対する懲罰なそうです。発言者が政府の一員なだけに、聞き捨てならないのですが、ナチスのユダヤ人迫害については、人類が永遠に記憶すべき蛮行として、国際社会に追悼を求めているユダヤ人が、異民族の民間人の死に対してこれほど冷淡であることには、驚かされます。日中戦争は、領土拡張を目指した侵略戦争と言うよりも、介入戦争の性格が強く、韓国に至っては、日本国は、条約に基づいて併合はしましたが、虐殺などはしておりません。しかも、中韓に対する侵略と虐殺が原爆投下の根拠であるならば、何故、第3国であるアメリカがそれを実行したのか、説明がつかなくなります。また、仮に、侵略=懲罰=原爆投下の図式が許されるとしますと、国連決議で定めた範囲を超えてパレスチナに入植地を拡大しているイスラエルは、侵略行為も虐殺も働いたことになりますので、懲罰として原爆を投下されても、文句の一つも言えません。そして、歴史を振り返れば、ヒトラーがユダヤ人迫害を正当化した理由もまた、国家を内部から破壊しようとしたユダヤ人に対する懲罰でした(第一次世界大戦においてドイツの敗戦を決定的にしたキール港における水兵の反乱は、ユダヤ人が煽動した労働運動によって起こされた…)。このように考えますと、イスラエル高官は、巨大なブーメランが自らに返ってきそうな、恐ろしい発言をしていることになります。

 この高官、広報・離散民省から首相府のインターネット広報部門に異動になる予定であったそうですが、どうやら、広報部門のエキスパートのようです。最近、欧米を含めたマスコミの論調には、氏と同様の日本絶対悪論の見解も散見されますし、韓国でも、原爆は懲罰と掲載して批判を浴びた新聞もありました。FBへの書き込みも、宣伝活動の一環であったのでしょうか。この論調、イスラエルが発信源なのか、中韓のプロパガンダの成果なのかは、今のところは判別できませんが、日本国民を痛く落胆させたことだけは確かなのです。

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コメント (7)
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