万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

消費増税の上げ率は税収で判断しては?

2013年08月09日 15時15分35秒 | 日本経済
消費増税、脱デフレと両立=財政健全化で注文―黒田日銀総裁(時事通信) - goo ニュース
 日銀による量的緩和に牽引されたアベノミクスは、これまでのところ、企業収益の改善といった効果として表れてきています。超円高の是正が功を奏した結果でもありますが、国内の景気への波及はやや時間がかかるとも予測されますが、2014年度に予定されている消費増税が、上向いてきた景気に冷や水を浴びせるのではないかとする懸念の声があります。

 日本国は、巨額の財政赤字を抱えているため、放漫財政を放置すれば、国債の利率の上昇や国債価格の下落を招きますし、国際公約ともなれば、海外の投資家の日本国債に対する評価も下がります。その一方で、消費税増税により消費が冷え込むと、景気もまた減速しますので、消費増税問題は、財政再建と経済成長との間のジレンマとなるのです。こうした中、黒田日銀総裁は、消費増税と脱デフレは両立するとの見解を示されるとともに、浜田内閣参与もまた、増税によるアベノミクスへのマイナス効果を考慮して、上げ率を年1%とする漸次増税案を提起されております。当初の増税案では、現在5%の消費税率を2014年4月1日から国と地方合わせて8%、2019年10月1日にはさらに10%に段階的に引き上げ、増収予測は、8%で8兆円、10%で13.5兆円と試算しております。今般の企業の収支決算を見ますと、増収増益を計上している企業も多く、法人税の投資減税があるとはいえ、増収が見込めます。また、デフレも底を打っておりますので、インフレ傾向となれば、消費税率を挙げなくとも、税収が伸びる可能性もあります。そこで、消費増税の上げ率は、税収の伸びを見て判断すべきではないかと思うのです。2007年の歳入は160,171.80円であり、リーマンショック後の2009年には139,406.80に大幅に減収します。2013年の推計では151,611.80に回復する予定ですので、歳入には、ここ6年の間でも、実に10兆円から20兆円の変動があるのです。増税時の試算が、デフレ容認の民主党政権下であったことを考慮しますと、増税試算の8兆円分、あるいは、13.5兆円は、景気回復によって確保できる可能性もないわけではないのです(消費税分とは限りませんが…)。

 日本国債の信用も、市場や国際社会に対して歳入の増収分を説明すれば維持できますし、財政の無駄削減の努力を継続すれば、日本財政に対する不安を払拭することもできます。雇用への影響を考えましても、消費増税は、”何が何でも予定通り”という姿勢でなくともよいのではないかと思うのです。

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コメント (4)
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