万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

新日鉄住金の戦時徴用賠償問題―政府は仲裁の手続きを

2013年08月18日 15時16分15秒 | アジア
韓国の戦時徴用訴訟 新日鉄住金が賠償の意向 敗訴確定時「無視できぬ」(産経新聞) - goo ニュース

1965年に締結された日韓請求権権協定が存在しながら、韓国の最高裁判所が、昨年、個人請求権を認める判断を示したことから、韓国では、日本企業に対して賠償を求める動きが加速しています。こうした中、新日鉄住金は、仮に、最高裁で賠償を命令じる判決を受けた場合、支払う意向であると報じられています。

 日韓請求権協定の第2条1項では、「両締約国及びその国民(法人を含む)の財産、権利並びに、両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、1951年9月8日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第4条(a)に規定されたものを含め、完全かつ最終的に解決されたことになることを確認する」と明記されており、何度読み返しても、戦時徴用に関する個人賠償の請求権が認められる余地は見当たりません。日本国は、莫大な経済支援を韓国に対して約束した上に、日本統治時代に半島に残したインフラを含めた全ての請求権を日本国側は放棄しているのですから、韓国側にとって極めて有利な条件で、本協定は締結されているのです。幸いにして、本協定の第3条には、紛争解決に関する条文が記されており、解釈や実施に関して紛争が発生した場合、仲裁に付すとしています。この件に関しては、新日鉄住金は、一民間企業として限界があると説明しているのですから、ここは、日本国政府が、この条文に従って、韓国政府に対して仲裁手続きを申し入れるべきではないかと思うのです。

 仮に、日本国政府が、仲裁手続きを見送るとしますと、日本国のみならず、アジア、ひいては、国際社会における法秩序が崩壊の危機に瀕します。韓国では、同種の賠償請求が雨後の竹の子のように激増するでしょうし、韓国式の”法なき裁判”を模倣し、国内裁判で、他国や他国企業から賠償を取り上げようとする国も頻出するかもしれません。日本国政府は、自国の企業を護る責任があると同時に、国際社会の法秩序をも守る役割を担っております。日本国政府が動かなければ、誰が、日本企業を助けるというのでしょうか。

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コメント (2)
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