宝塚大劇場、2012年9月7日マチネ、9月9日マチネ。
銀河帝国と自由惑星同盟はアスターテ星域において新たな戦いの火蓋を切ろうとしていた。銀河帝国軍の指揮官は常勝を誇る戦の天才、黄金の髪に蒼氷色の瞳を持つラインハルト・フォン・ローエングラム(凰稀かなめ)。対する自由惑星同盟には不敗の魔術師と呼ばれるヤン・ウェンリー(緒月遠麻)がいた。数において圧倒的に勝る自由惑星同盟軍に対し、ラインハルトは敵陣形の隙をつく作戦により戦いを有利に進める。同盟軍を全滅から救ったのは、負傷した上官の代わりに全軍の指揮を引き継いだヤンだった。
この功績によりラインハルトは下級貴族ながら元帥に任命された。その任命式典で、ラインハルトはマリーンドルフ伯爵令嬢ヒルデガルド(実咲凛音)と出会う…
原作/田中芳樹、脚本・演出/小池修一郎、作曲・編曲/太田健。全二幕。新生宙組お披露目公演。
ポスターなどのビジュアル発表時からその美しさがハンパなく、楽しみにしていました。
私自身は、原作小説のリアルタイム読者でした。ただ当時もキャラ萌えして読んでいたわけではなく、男性の書き手らしい歴史感や戦略・戦術のおもしろさ、政治劇としてのドラマ性みたいなものに惹かれていました。
二、三年前に文庫で再販されて再読し、今読むとSF考証など微妙なところがあるものの、やはり物語としてはとてもおもしろいなと思いました。でもものすごーくファンということではないですね。
漫画版やアニメ版も観たことがありません。
細かい筋なども忘れました。が、特に再予習することもなく、劇場に向かいました。
自分で感じたこととしては…大空さんがトップを務めた3年の間に、私にとって宙組はホームになっていたんだなあ、ということでした。元々観劇スタートが花組だったし、花とか月がホームのつもりでいたのに…
というのも、他の組の演目であれば、要するに贔屓役者がいないために、演目そのものを観るというか、脚本や演出を主に観る、ようなところがあるのです。
宙組だってもはや贔屓は卒業してしまったのだから、もっとフラットに演目そのものを観るだろう…と思っていたのですが、意外や意外、下級生までけっこうわかってしまうからということもありますが、ちょっとトンデモ展開があっても脚本に腹を立てるよりがんばっている生徒がいじらしくて肩入れしてしまい、だけどやっぱりつっこみたいところはあってその板ばさみになり、そうこうして観ているうちに全体的になんかとってもおもろくなってしまうという、なんかそんな観劇体験だったのですよ…
幸福なのかもしれない、でもホントはもっと健全な批判精神を持って舞台を観たいのに~!
総じて感想としては、長大な原作の本編2巻分だけとはいえやはり話を運ぶのに精一杯だし、多彩なキャラクターたちも出すのに精一杯だし、焦点を変えたり絞ったりすれば続編でもスピンオフでも作れる題材なんだろうけれど、個人的にはやはり宝塚歌劇がメインでやるには圧倒的にラブロマンスが足りない物語だと思うし、これは今回だけの打ち上げ花火にしてほしいかなということです。
そこだけ押さえておいてくれれば、イケメン軍服祭りと割り切って楽しめようというものです。
かなりていねいに作られていて、まったく知らない人でもワケわかんないということはないと思いますしね。
ただ、やはり何が焦点の物語なのかわかりづらいというか、カタルシスを得づらい展開になってしまっているのはちょっとつらかったかな、と思います。
ネタバレですが簡単に言うと、主人公は姉を奪った皇帝を倒したいと思っている→でも皇帝は勝手に死んでしまった。さらに内戦が起きてわたわたしているうちに親友を失い、新たに支えとなってくれそうな人を見つけてまたがんばると誓って終わり、なわけですからね…
プロローグ。
聞いてはいましたが、オケボックスから銀橋に突如現れてここまでの銀河世界の成り立ちを語り出すともちんの妖しさに早くも腰砕け。
そして主役登場! 凛々しい白の軍服に白いマント、なびく黄金の長髪、輝く青い瞳…テルンハルトの美しいこと!
ただし朗々と歌い出す歌は私には音程がやや不安定に聞こえた…というかあまりいい曲に聞こえなかった…特に冒頭のフレーズが。
私は宝塚歌劇のみならず日本のオリジナル・ミュージカルには一にも二にも音楽性が足りないと思っています。少しも早くいい作曲家が現れてほしい、いい楽曲が欲しい!
ビカビカ光る緑のレーザー光線も私には古くさく感じられて、笑っちゃいましたけれどね…SFを舞台で扱う限界かなあ。
でも続々現れるラインハルトの部下たちが素敵に踊るから、だんだんどうでもよくなってくる恐るべきマジック…!
舞台はそのままアスターテ会戦に移りますが、その演出は鮮やか!
総じて流れるようなステージングは全編素晴らしい。さすが小池先生!!
キタさんはヤンにぴったり! この人は『ニジンスキー』のときのような濃く暗い役もできますが、明朗でハートフルな役もできる役者で、今回は明るく優しい声音にしてきて好印象。ユーモラスなところも素晴らしかったです。
個人的にこの会戦の顛末の描き方には大満足でした。
指揮艦のブリッジから観ているらしい戦闘の様子の映像もチャチぎりぎりだと思うのだけれど、陣形はよく見せているし、ヤンとラインハルトが取ろうとしている戦術もよくわかる。
その上で、ふたりともにこれ以上の戦闘は不毛だと判断して同時に引き、その引き際の良さや判断の的確さにお互いがお互いを認め合うさまがすがすがしく、また原作どおりで、すごくいい立ち上がりだと思いました。
第2場になると、帝国と同盟の間で中立を保つフェザーンの立場から、いちくんとえつ姉がまたまた政情などをレクチャー。
二幕でちょっとは歌い踊りますが、基本的には説明役で確かにちょっともったいない役回りでしたね。
第3場は帝国元帥任命指揮。貴族社会、宮廷陰謀劇が展開され始めます。階段の使い方が効果的。
ここでラインハルトとヒルダの出会いが演出されますが、とってもよかった! さすがイケコ!! オトメ!!!
確かによく考えたら『ロミジュリ』仮面舞踏会の展開と同じなんだけれど、私はこういう嫌みや皮肉の応酬のやりとりが大好き!
ヒルダは、あとで私はちょっと『ルドルフ』のマリー・ヴェッツェラを思い起こしました。あのマリーはただ恋に恋する少女ではなく、政治を勉強し革命思想を持った女性で、色恋ではなく人間としてまた政治的な同志として共感や憧憬を持って相手に寄っていった人間でした。
「女の子が苦手」な男には、これくらいからのスタートがいいやね(^^;)。まあ実はこれも古い形で、なんで女ばっかりが男の方に寄っていってやんなきゃなんないんだよという話もあるワケですが、まあ古くさい帝国のことだから仕方ない。描かれてはいませんが同盟はマシなのかもしれないもしかしたら(^^;)。
流れるように後宮場面へ。タラちゃんのアンネローゼ素敵!
回想場面はこれまた学芸会ギリギリだと思うんだけれど、可愛くていじらしくてPTAモードになってしまう! だってまんま『シャングリラ』…!
少女時代のアンネローゼを演じたアリサちゃんがさすが。役人のりんきらがさすが。現実に戻ってアンネローゼに皇帝がお呼びだと告げに来る女官がさすが。
ともあれここまで、主人公の生い立ちや何故成り上がろうとしているのか、を順当に見せていると思います。
さて一方の同盟側。
モンチのトリューニヒト圧巻! ゆうりちゃんのユリヤン素敵! せーこジェシカ素敵!
ここでも学生時代の淡い恋を引きずってへこへこしているキタさんヤンがたまらん!
しかし不戦敗は負けじゃないもんね、そういう形で逃げるのって実は卑怯な男だよ…
それはともかく、同盟側でも一枚岩ではなくて内部分裂があって、というくだりはうまくカットしてしまった方がシンプルだったかもしれません。浮いた時間、もっとキャラクター同士のドラマに回せたかもしれませんからね。
でもあまり単純化しても違うものになっちゃうだろうし…難しい問題だなあ。
さてラインハルトは元帥府を開き、参謀にオーベルシュタインを迎えます。
配下に迎える面々の自己紹介ソングは私にはむずがゆかったですが、『テニミュ』からの流行だというし、仕方ないのかな(^^;)。
ここでのまぁくんキルヒアイス(あたたかな人柄がニンで好演!)の「私では不足ですか」がせつない。これが実は始まりの終わりだったのです…
続くオペラ座場面以降の宮廷陰謀劇も、おもしろかったんだけどもう少し省略できたかもしれません。
ともあれベーネミュンデあおいちゃんが大活躍で嬉しかったわ。ヒロさんソルさんはホント声がいいよねえ。
すっしぃ皇帝とラインハルトが語り合う場面を作ったのは微妙だったかもね…ラインハルトとしては、今まで敵と思って憎んで心の支えにしていたものが崩れてしまって、戦いようがなくなっているわけで…
盛大な国葬の中、野望を歌って第一幕、幕。盛り上がり方はさすが。でも微妙に『スカーレットピンパーネル』や『カサブランカ』チックではある…
捕虜交換式でのキルヒアイスとヤンの親交はちょっと感動的でよかったですね。
第6場「オーディンの夜」は出撃前夜にそれぞれの恋人たちと過ごす将官たちの歌の場面。役か役者に理解がないとやや冗長に感じる、かも? でもあっきービッテンフェルトの暑苦しさが可愛かったわ!
続くガイエスブルクの白兵戦のお衣装は…宝塚的には微妙だったのでは…説明台詞でまとめてしまってもよかったかも。
ヴェスターラントの核攻撃に関して、ラインハルトとキルヒアイスの間に亀裂が入り、悲劇へとつながっていきます。
そのわりには、キルヒアイスの死は私にはあまりドラマチックに、効果的に見えなかった…ううーむ。アンスバッハの自殺とかいろいろあるしギャラリーも多いから、間延びして見えちゃうのかな。
でもラインハルトの「いやだあぁ!」の慟哭は泣かせます。
そして唐突に、ラインハルトとヒルダが次の戦闘に向けてがんばろうとスモークの中で誓い合って幕。うん、ちょっと、かなり唐突に初見時は思えました。
「えっ、ここで終わり!?」
って感じで。
でも、かつてラインハルトがキルヒアイスと見た流れ星を今度はヒルダと見て終わる…というのは、私はいいなと思いました。いつでも代わりがいるとかそういうことではなくて。でもやはり誰かしらがいるものだと思うから。
そして二度目に観たときには、このときふたりでここで歌う歌が、かつてヤンとキルヒアイスが歌った、戦争の先の平和、未来を歌う歌だったことがとても心にしみました。
宝塚歌劇として正しいととても思う。反戦思想、厭戦思想があるべきです。だって女は絶対に戦争なんか望まないもの。宝塚歌劇はまず女の女による女のためのものであって、次に女をないがしろにしない、銀河帝国みたいに遅れていない、心ある男が観るものだもの。
戦争を美化したり戦う男を美化しっぱなしでないところが、とてもよかったと思いました。
フィナーレは…まぁくんの銀橋にはもうちょっとキラキラした非日常感が欲しかったかな。ロケットのラストの「ファイエル!」に萌えました。
役だから仕方がないんだけど実は私には長髪萌えがないので、テルが短い髪で出てきてくれて嬉しい。娘役ちゃんたちに囲まれてここで歌う恋人の歌、ホント似合うわー。
テルがハケたあとの男役たちのダンスもノリノリで楽しいわ。
デュエダンのお衣装は変わった紅で素敵なんだけど、作品にそぐわないかなあ。でもテルはお気に入りらしいからいいか。アイスブルーのお衣装を見たい気もしますが、その前に青は着ているものね。
最後のナイアガラばっさー!は無理にやらなくてもいいんじゃない?と思いますが、これも本人のこだわりらしいからまあいいか…腰とか痛めないでくださいよ!
おたく業界だからか私が騒いでいるからか、後輩がけっこう「連れていってくださいよ」と言ってくるので、東宝での布教が楽しみです!
銀河帝国と自由惑星同盟はアスターテ星域において新たな戦いの火蓋を切ろうとしていた。銀河帝国軍の指揮官は常勝を誇る戦の天才、黄金の髪に蒼氷色の瞳を持つラインハルト・フォン・ローエングラム(凰稀かなめ)。対する自由惑星同盟には不敗の魔術師と呼ばれるヤン・ウェンリー(緒月遠麻)がいた。数において圧倒的に勝る自由惑星同盟軍に対し、ラインハルトは敵陣形の隙をつく作戦により戦いを有利に進める。同盟軍を全滅から救ったのは、負傷した上官の代わりに全軍の指揮を引き継いだヤンだった。
この功績によりラインハルトは下級貴族ながら元帥に任命された。その任命式典で、ラインハルトはマリーンドルフ伯爵令嬢ヒルデガルド(実咲凛音)と出会う…
原作/田中芳樹、脚本・演出/小池修一郎、作曲・編曲/太田健。全二幕。新生宙組お披露目公演。
ポスターなどのビジュアル発表時からその美しさがハンパなく、楽しみにしていました。
私自身は、原作小説のリアルタイム読者でした。ただ当時もキャラ萌えして読んでいたわけではなく、男性の書き手らしい歴史感や戦略・戦術のおもしろさ、政治劇としてのドラマ性みたいなものに惹かれていました。
二、三年前に文庫で再販されて再読し、今読むとSF考証など微妙なところがあるものの、やはり物語としてはとてもおもしろいなと思いました。でもものすごーくファンということではないですね。
漫画版やアニメ版も観たことがありません。
細かい筋なども忘れました。が、特に再予習することもなく、劇場に向かいました。
自分で感じたこととしては…大空さんがトップを務めた3年の間に、私にとって宙組はホームになっていたんだなあ、ということでした。元々観劇スタートが花組だったし、花とか月がホームのつもりでいたのに…
というのも、他の組の演目であれば、要するに贔屓役者がいないために、演目そのものを観るというか、脚本や演出を主に観る、ようなところがあるのです。
宙組だってもはや贔屓は卒業してしまったのだから、もっとフラットに演目そのものを観るだろう…と思っていたのですが、意外や意外、下級生までけっこうわかってしまうからということもありますが、ちょっとトンデモ展開があっても脚本に腹を立てるよりがんばっている生徒がいじらしくて肩入れしてしまい、だけどやっぱりつっこみたいところはあってその板ばさみになり、そうこうして観ているうちに全体的になんかとってもおもろくなってしまうという、なんかそんな観劇体験だったのですよ…
幸福なのかもしれない、でもホントはもっと健全な批判精神を持って舞台を観たいのに~!
総じて感想としては、長大な原作の本編2巻分だけとはいえやはり話を運ぶのに精一杯だし、多彩なキャラクターたちも出すのに精一杯だし、焦点を変えたり絞ったりすれば続編でもスピンオフでも作れる題材なんだろうけれど、個人的にはやはり宝塚歌劇がメインでやるには圧倒的にラブロマンスが足りない物語だと思うし、これは今回だけの打ち上げ花火にしてほしいかなということです。
そこだけ押さえておいてくれれば、イケメン軍服祭りと割り切って楽しめようというものです。
かなりていねいに作られていて、まったく知らない人でもワケわかんないということはないと思いますしね。
ただ、やはり何が焦点の物語なのかわかりづらいというか、カタルシスを得づらい展開になってしまっているのはちょっとつらかったかな、と思います。
ネタバレですが簡単に言うと、主人公は姉を奪った皇帝を倒したいと思っている→でも皇帝は勝手に死んでしまった。さらに内戦が起きてわたわたしているうちに親友を失い、新たに支えとなってくれそうな人を見つけてまたがんばると誓って終わり、なわけですからね…
プロローグ。
聞いてはいましたが、オケボックスから銀橋に突如現れてここまでの銀河世界の成り立ちを語り出すともちんの妖しさに早くも腰砕け。
そして主役登場! 凛々しい白の軍服に白いマント、なびく黄金の長髪、輝く青い瞳…テルンハルトの美しいこと!
ただし朗々と歌い出す歌は私には音程がやや不安定に聞こえた…というかあまりいい曲に聞こえなかった…特に冒頭のフレーズが。
私は宝塚歌劇のみならず日本のオリジナル・ミュージカルには一にも二にも音楽性が足りないと思っています。少しも早くいい作曲家が現れてほしい、いい楽曲が欲しい!
ビカビカ光る緑のレーザー光線も私には古くさく感じられて、笑っちゃいましたけれどね…SFを舞台で扱う限界かなあ。
でも続々現れるラインハルトの部下たちが素敵に踊るから、だんだんどうでもよくなってくる恐るべきマジック…!
舞台はそのままアスターテ会戦に移りますが、その演出は鮮やか!
総じて流れるようなステージングは全編素晴らしい。さすが小池先生!!
キタさんはヤンにぴったり! この人は『ニジンスキー』のときのような濃く暗い役もできますが、明朗でハートフルな役もできる役者で、今回は明るく優しい声音にしてきて好印象。ユーモラスなところも素晴らしかったです。
個人的にこの会戦の顛末の描き方には大満足でした。
指揮艦のブリッジから観ているらしい戦闘の様子の映像もチャチぎりぎりだと思うのだけれど、陣形はよく見せているし、ヤンとラインハルトが取ろうとしている戦術もよくわかる。
その上で、ふたりともにこれ以上の戦闘は不毛だと判断して同時に引き、その引き際の良さや判断の的確さにお互いがお互いを認め合うさまがすがすがしく、また原作どおりで、すごくいい立ち上がりだと思いました。
第2場になると、帝国と同盟の間で中立を保つフェザーンの立場から、いちくんとえつ姉がまたまた政情などをレクチャー。
二幕でちょっとは歌い踊りますが、基本的には説明役で確かにちょっともったいない役回りでしたね。
第3場は帝国元帥任命指揮。貴族社会、宮廷陰謀劇が展開され始めます。階段の使い方が効果的。
ここでラインハルトとヒルダの出会いが演出されますが、とってもよかった! さすがイケコ!! オトメ!!!
確かによく考えたら『ロミジュリ』仮面舞踏会の展開と同じなんだけれど、私はこういう嫌みや皮肉の応酬のやりとりが大好き!
ヒルダは、あとで私はちょっと『ルドルフ』のマリー・ヴェッツェラを思い起こしました。あのマリーはただ恋に恋する少女ではなく、政治を勉強し革命思想を持った女性で、色恋ではなく人間としてまた政治的な同志として共感や憧憬を持って相手に寄っていった人間でした。
「女の子が苦手」な男には、これくらいからのスタートがいいやね(^^;)。まあ実はこれも古い形で、なんで女ばっかりが男の方に寄っていってやんなきゃなんないんだよという話もあるワケですが、まあ古くさい帝国のことだから仕方ない。描かれてはいませんが同盟はマシなのかもしれないもしかしたら(^^;)。
流れるように後宮場面へ。タラちゃんのアンネローゼ素敵!
回想場面はこれまた学芸会ギリギリだと思うんだけれど、可愛くていじらしくてPTAモードになってしまう! だってまんま『シャングリラ』…!
少女時代のアンネローゼを演じたアリサちゃんがさすが。役人のりんきらがさすが。現実に戻ってアンネローゼに皇帝がお呼びだと告げに来る女官がさすが。
ともあれここまで、主人公の生い立ちや何故成り上がろうとしているのか、を順当に見せていると思います。
さて一方の同盟側。
モンチのトリューニヒト圧巻! ゆうりちゃんのユリヤン素敵! せーこジェシカ素敵!
ここでも学生時代の淡い恋を引きずってへこへこしているキタさんヤンがたまらん!
しかし不戦敗は負けじゃないもんね、そういう形で逃げるのって実は卑怯な男だよ…
それはともかく、同盟側でも一枚岩ではなくて内部分裂があって、というくだりはうまくカットしてしまった方がシンプルだったかもしれません。浮いた時間、もっとキャラクター同士のドラマに回せたかもしれませんからね。
でもあまり単純化しても違うものになっちゃうだろうし…難しい問題だなあ。
さてラインハルトは元帥府を開き、参謀にオーベルシュタインを迎えます。
配下に迎える面々の自己紹介ソングは私にはむずがゆかったですが、『テニミュ』からの流行だというし、仕方ないのかな(^^;)。
ここでのまぁくんキルヒアイス(あたたかな人柄がニンで好演!)の「私では不足ですか」がせつない。これが実は始まりの終わりだったのです…
続くオペラ座場面以降の宮廷陰謀劇も、おもしろかったんだけどもう少し省略できたかもしれません。
ともあれベーネミュンデあおいちゃんが大活躍で嬉しかったわ。ヒロさんソルさんはホント声がいいよねえ。
すっしぃ皇帝とラインハルトが語り合う場面を作ったのは微妙だったかもね…ラインハルトとしては、今まで敵と思って憎んで心の支えにしていたものが崩れてしまって、戦いようがなくなっているわけで…
盛大な国葬の中、野望を歌って第一幕、幕。盛り上がり方はさすが。でも微妙に『スカーレットピンパーネル』や『カサブランカ』チックではある…
捕虜交換式でのキルヒアイスとヤンの親交はちょっと感動的でよかったですね。
第6場「オーディンの夜」は出撃前夜にそれぞれの恋人たちと過ごす将官たちの歌の場面。役か役者に理解がないとやや冗長に感じる、かも? でもあっきービッテンフェルトの暑苦しさが可愛かったわ!
続くガイエスブルクの白兵戦のお衣装は…宝塚的には微妙だったのでは…説明台詞でまとめてしまってもよかったかも。
ヴェスターラントの核攻撃に関して、ラインハルトとキルヒアイスの間に亀裂が入り、悲劇へとつながっていきます。
そのわりには、キルヒアイスの死は私にはあまりドラマチックに、効果的に見えなかった…ううーむ。アンスバッハの自殺とかいろいろあるしギャラリーも多いから、間延びして見えちゃうのかな。
でもラインハルトの「いやだあぁ!」の慟哭は泣かせます。
そして唐突に、ラインハルトとヒルダが次の戦闘に向けてがんばろうとスモークの中で誓い合って幕。うん、ちょっと、かなり唐突に初見時は思えました。
「えっ、ここで終わり!?」
って感じで。
でも、かつてラインハルトがキルヒアイスと見た流れ星を今度はヒルダと見て終わる…というのは、私はいいなと思いました。いつでも代わりがいるとかそういうことではなくて。でもやはり誰かしらがいるものだと思うから。
そして二度目に観たときには、このときふたりでここで歌う歌が、かつてヤンとキルヒアイスが歌った、戦争の先の平和、未来を歌う歌だったことがとても心にしみました。
宝塚歌劇として正しいととても思う。反戦思想、厭戦思想があるべきです。だって女は絶対に戦争なんか望まないもの。宝塚歌劇はまず女の女による女のためのものであって、次に女をないがしろにしない、銀河帝国みたいに遅れていない、心ある男が観るものだもの。
戦争を美化したり戦う男を美化しっぱなしでないところが、とてもよかったと思いました。
フィナーレは…まぁくんの銀橋にはもうちょっとキラキラした非日常感が欲しかったかな。ロケットのラストの「ファイエル!」に萌えました。
役だから仕方がないんだけど実は私には長髪萌えがないので、テルが短い髪で出てきてくれて嬉しい。娘役ちゃんたちに囲まれてここで歌う恋人の歌、ホント似合うわー。
テルがハケたあとの男役たちのダンスもノリノリで楽しいわ。
デュエダンのお衣装は変わった紅で素敵なんだけど、作品にそぐわないかなあ。でもテルはお気に入りらしいからいいか。アイスブルーのお衣装を見たい気もしますが、その前に青は着ているものね。
最後のナイアガラばっさー!は無理にやらなくてもいいんじゃない?と思いますが、これも本人のこだわりらしいからまあいいか…腰とか痛めないでくださいよ!
おたく業界だからか私が騒いでいるからか、後輩がけっこう「連れていってくださいよ」と言ってくるので、東宝での布教が楽しみです!
銀英、すでに大劇場でごらんになっていたのですね。
予習で原作読んで、まんまとハマっちゃったわたしです(笑) ドキドキしつつ初日を迎えましたが、小池先生、よくぞここまでまとめた! と感動。わかりやすくうまくエピソード盛り込んでるしキャラクターいっぱい生かしてくれているし、キルヒ散る、の場面はちょっと余韻がなさすぎて悲しいけれど、ほかはほぼほぼ満足です。
初見で印象的だったのはモンチさんのトリューニヒトが半端なく目立つ(歌うま! 宙コーラス最高)ことと、かけるさん@オフレッサーがまさかのラインダンスセンター、はちきれんばかりの笑顔(爆) オフレッサーがラインダンス……っていうだけでなんか非常にはらわたがよじれました。
あしたは新公行ってきます! ファイエル☆ ←最近の合言葉
『華クラ』卒業生総見の回にも立ち会ってきましたよ(^^)。
新公、できれば東京で観られないかなーとなんとか知人に頼んでいるところです。
早くまた観たいなー…!
●駒子●
戦争を美化したり戦う男を美化しっぱなしでないところが、とてもよかったと思いました。」
非情に女性らしい頭の悪いコメント!これを読むだけでも女に国政を任せてはいけない理由がはっきりと分かりますね。こんなふうに感情だけで生きていければ人生楽だろうなぁ…。
でもコメントの意味が残念ながらさっぱりわかりませんでした。
●駒子●