梅田芸術劇場、2017年7月24日13時。
1970年代のインド映画界。エキストラ俳優のオーム・プラカーシュ・マキージャー(紅ゆずる)は人気女優のシャンティプリヤ(綺咲愛里)に恋心を抱いていた。いつか必ずスターになって君を迎えに行くというオームの夢を、親友のバップー(麻央侑希)と母ベラ(美稀千種)は応援していた。ある日の撮影現場で火事が起き、火に囲まれたシャンティを危険を顧みずに救い出したオームだったが…
脚本・演出/小柳奈穂子、作曲・編曲/青木朝子。2007年に大ヒットしたインド映画を今年1月にミュージカル化したものの再演。全2幕。
初演の感想はこちら。もう半年か、早いなあ!
当時もあのゴージャスで楽しい狂乱の映画をうまいこと舞台化したなとは思いましたが、やや平板に見えることやちょっと間延びして感じられること、役がどうにも少なくて残念だったことは引っかかっていました。今回もほぼほぼ大きな修正はなかったと思うので、せめてれなちゃんがバップーをやってまおくんがリシ(十碧れいや)をやる、とかがあってもよかったのかもしれません。主役ふたりはママとして、初演も再演も出演するスターがまた同じ役をやるのはちょっとつまらないんじゃないかな、と思ったので(これは博多座『王家』で主要スターのうちりんきらのみが役続投だったときにも言いましたが)。長くやって役を深めてどうこう…というタイプの芝居ではないだけにね。
逆に言うと、役が替わったかいちゃんのムケーシュ(七海ひろき)とかまおくんのバップーとかみっきーのオーム父とかせっきーのリシ父とかがやはり見どころになっているワケじゃないですか。私はれなちゃんが好きなだけに、ちょっと残念に感じたのでした。
あと、やっぱり初演と比べてしまうこともあるのかもしれませんが、当時のせおっちには良くても今のまおくんにはやっぱりバップーは役不足なんじゃなかろうかとか、超絶スタイルが持てあまし気味で悪目立ちしているんじゃないかとか、こちらは私は特にファンではないのですが(すみません)ちょっと心配になりました。劇団はこのスターを今後どう扱うつもりなんだという、ね…30年後のロマンスグレーっぷりはかなり素敵だったけれど、そういうことを求められている役でもないしさ。
オーム父にしても、前回がしーらんで今回がみっきーという贅沢さかつ圧倒的な役不足ぶりに若干引きますよね。ホントもったいない…
前回は東京でしか公演が組めなかったから関西でも上演したいとか、権利が買えたんだから期限内に何度も上演して稼ぎたいとか、いろいろ大人の事情はあるのかもしれませんが、こんなにすぐに再演するような作品ではなかったのかもしれません。というか再演するほどの作品でもなかったのかもしれない…いやファンが楽しく通っているというなら外野がガタガタ言うことではないと承知していますが、チケットの売れ行きが苦戦しているとも聞きますし…ファンももっと違うものが観たかったりしたんじゃないのかな?という単なる一方的で勝手な心配です、失礼しました。
かいちゃんもまこっちゃんとはまた違う色悪っぷりで、良かったんですけれどね。プロローグで浅黒い肌に赤い唇半開きでボリウッドスターとして踊られたときには、あまりの色気放射に思わずはわわわわとなりました。でもやはりもうちょっと繊細な芝居がニンの人なんじゃないかなあ、ムケーシュみたいな悪役にはまこっちゃんみたいな問答無用に押し切るパワーの方が合っていた気がしました。歌も健闘していたけれど、私には全然別のものに聞こえてしまいました。
あと、ムケーシュがシャンデリアの下敷きになって死ぬ場面は入れたほうがいいと思うんですよね。暗転のあとスノードームが置いてあるだけじゃ、いくら生まれ変わりとかシャンティの亡霊とかのファンタジーを信じるにしても死体がスノードームに化けるとは思えないんだから、現実にどう決着がつけられたのかがわかりづらくて、映画を知らない観客はとまどうだろうと思いました。
スノードームの扱いの変更自体は良かったんですけれどね。オームとシャンティのデート場面のしょぼい車がなくなって、ミュージカルらしいダンスシーンになったのも良かったし、その後ろの映像の効果でふたりがスノードームの中にいるように見えるようになったのも素敵な改変でした。
あいーりはマルグリットを経てシャンティプリヤの大女優っぷりがさらに良くなったように思えました。でもサンディのときの単純で気のいい女の子っぷりも愛らしい。
ベニーは…これまたファンでないので申し訳ないのですが、初演のときの方がふたりのオームをうまく演じ分けているように思いました。今回はどっちも単なるベニーに見えた…あの、おどけたときとかにするヘンな鼻声がダメなんですよね、私…変にコメディばかりやらせるんじゃなくて、例えばくーみんが書くような芝居をやった方が上手い役者なんじゃないかと個人的には思っているのですが、どうなんでしょう。
というわけで私にはわりとモブの下級生チェックにいそしんでしまえる公演でした。水乃ゆりちゃんホント可愛いよね! あと極美くんホント華があるよね!
『阿弖流為』チーム総見と重なってアドリブは阿弖流為祭り、立ち上がって見本をしてくれるまこっちゃんの客席に響き渡る生声が聞けて幸せでした。あと泣くほど笑ったのか目元を拭いながらニコニコ退場するあやなが見られて幸せでした。
次の『ベルリン』、ダーハラががんばってくれることを祈りますマジで…
1970年代のインド映画界。エキストラ俳優のオーム・プラカーシュ・マキージャー(紅ゆずる)は人気女優のシャンティプリヤ(綺咲愛里)に恋心を抱いていた。いつか必ずスターになって君を迎えに行くというオームの夢を、親友のバップー(麻央侑希)と母ベラ(美稀千種)は応援していた。ある日の撮影現場で火事が起き、火に囲まれたシャンティを危険を顧みずに救い出したオームだったが…
脚本・演出/小柳奈穂子、作曲・編曲/青木朝子。2007年に大ヒットしたインド映画を今年1月にミュージカル化したものの再演。全2幕。
初演の感想はこちら。もう半年か、早いなあ!
当時もあのゴージャスで楽しい狂乱の映画をうまいこと舞台化したなとは思いましたが、やや平板に見えることやちょっと間延びして感じられること、役がどうにも少なくて残念だったことは引っかかっていました。今回もほぼほぼ大きな修正はなかったと思うので、せめてれなちゃんがバップーをやってまおくんがリシ(十碧れいや)をやる、とかがあってもよかったのかもしれません。主役ふたりはママとして、初演も再演も出演するスターがまた同じ役をやるのはちょっとつまらないんじゃないかな、と思ったので(これは博多座『王家』で主要スターのうちりんきらのみが役続投だったときにも言いましたが)。長くやって役を深めてどうこう…というタイプの芝居ではないだけにね。
逆に言うと、役が替わったかいちゃんのムケーシュ(七海ひろき)とかまおくんのバップーとかみっきーのオーム父とかせっきーのリシ父とかがやはり見どころになっているワケじゃないですか。私はれなちゃんが好きなだけに、ちょっと残念に感じたのでした。
あと、やっぱり初演と比べてしまうこともあるのかもしれませんが、当時のせおっちには良くても今のまおくんにはやっぱりバップーは役不足なんじゃなかろうかとか、超絶スタイルが持てあまし気味で悪目立ちしているんじゃないかとか、こちらは私は特にファンではないのですが(すみません)ちょっと心配になりました。劇団はこのスターを今後どう扱うつもりなんだという、ね…30年後のロマンスグレーっぷりはかなり素敵だったけれど、そういうことを求められている役でもないしさ。
オーム父にしても、前回がしーらんで今回がみっきーという贅沢さかつ圧倒的な役不足ぶりに若干引きますよね。ホントもったいない…
前回は東京でしか公演が組めなかったから関西でも上演したいとか、権利が買えたんだから期限内に何度も上演して稼ぎたいとか、いろいろ大人の事情はあるのかもしれませんが、こんなにすぐに再演するような作品ではなかったのかもしれません。というか再演するほどの作品でもなかったのかもしれない…いやファンが楽しく通っているというなら外野がガタガタ言うことではないと承知していますが、チケットの売れ行きが苦戦しているとも聞きますし…ファンももっと違うものが観たかったりしたんじゃないのかな?という単なる一方的で勝手な心配です、失礼しました。
かいちゃんもまこっちゃんとはまた違う色悪っぷりで、良かったんですけれどね。プロローグで浅黒い肌に赤い唇半開きでボリウッドスターとして踊られたときには、あまりの色気放射に思わずはわわわわとなりました。でもやはりもうちょっと繊細な芝居がニンの人なんじゃないかなあ、ムケーシュみたいな悪役にはまこっちゃんみたいな問答無用に押し切るパワーの方が合っていた気がしました。歌も健闘していたけれど、私には全然別のものに聞こえてしまいました。
あと、ムケーシュがシャンデリアの下敷きになって死ぬ場面は入れたほうがいいと思うんですよね。暗転のあとスノードームが置いてあるだけじゃ、いくら生まれ変わりとかシャンティの亡霊とかのファンタジーを信じるにしても死体がスノードームに化けるとは思えないんだから、現実にどう決着がつけられたのかがわかりづらくて、映画を知らない観客はとまどうだろうと思いました。
スノードームの扱いの変更自体は良かったんですけれどね。オームとシャンティのデート場面のしょぼい車がなくなって、ミュージカルらしいダンスシーンになったのも良かったし、その後ろの映像の効果でふたりがスノードームの中にいるように見えるようになったのも素敵な改変でした。
あいーりはマルグリットを経てシャンティプリヤの大女優っぷりがさらに良くなったように思えました。でもサンディのときの単純で気のいい女の子っぷりも愛らしい。
ベニーは…これまたファンでないので申し訳ないのですが、初演のときの方がふたりのオームをうまく演じ分けているように思いました。今回はどっちも単なるベニーに見えた…あの、おどけたときとかにするヘンな鼻声がダメなんですよね、私…変にコメディばかりやらせるんじゃなくて、例えばくーみんが書くような芝居をやった方が上手い役者なんじゃないかと個人的には思っているのですが、どうなんでしょう。
というわけで私にはわりとモブの下級生チェックにいそしんでしまえる公演でした。水乃ゆりちゃんホント可愛いよね! あと極美くんホント華があるよね!
『阿弖流為』チーム総見と重なってアドリブは阿弖流為祭り、立ち上がって見本をしてくれるまこっちゃんの客席に響き渡る生声が聞けて幸せでした。あと泣くほど笑ったのか目元を拭いながらニコニコ退場するあやなが見られて幸せでした。
次の『ベルリン』、ダーハラががんばってくれることを祈りますマジで…