駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

荻原浩『金魚姫』(角川書店)

2016年10月01日 | 乱読記/書名か行
 ブラック企業、失恋と人生の窮地に立たされた僕と金魚の化身との、奇妙な同居生活が始まった…

 これまたなんかすごくベタなんだけれど、違うタイプのお話を勝手に予想していて、意外に思いながら楽しく読んでしまいました。普通だったらもっとイライラしながら読んだだろうけどな…
 でも、復讐は何も生まない、愛した者を殺した相手を殺し返しても愛した者は帰らない、どこかであきらめて忘れるしかない…という、悲しいメッセージがある気がして、響きました。リュウは何代にも渡る復讐に疲れて徐々に記憶をなくし、だから仇の子孫を愛してしまい、それでやっと解放されたんだろうな…というような。センチメンタルすぎるかもしれませんが。
 リリカルな、いいタイトルですよね。旅情もあるし、ものすごい深みのある文芸大作、とかではないだけに、すぐさま映像化されそうだなとかも思ったりしました。


コメント
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