駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

『花より男子 The Musical』

2016年01月25日 | 観劇記/タイトルは行
 シアタークリエ、2016年1月24日マチネ(東京千秋楽)。

 超絶金持ち名門校・英徳学園高等部。この学園はF4すなわちFlower4と呼ばれる花の四人組によって支配されていた。大財閥・道明寺家のプリンス、道明寺司(松下優也)。花沢物産の御曹司、花沢類(白洲迅)。日本一の茶道家元の跡取り、西門総二郎(真剣佑)。総合商社・美作商事の後継者、美作あきら(上山竜治)。ごく一般庶民でありながら両親の願いによりここに通うことになった牧野つくし(加藤梨里香)は、卒業まで目立たずにいようと努めていたが、あるきっかけからF4に目をつけられてしまい…
 原作/神尾葉子、脚本・作詞/青木豪、演出/鈴木裕美、音楽/本間昭光、振付/木下菜津子、YUSUKE、美術/二村周作。全2幕。

 累計部数6000万部超の日本で最も売れた少女漫画をミュージカル化した舞台。原作コミックスは仕事で読んで、さすがによくできていておもしろくて感心しましたし、連ドラも韓ドラも見ましたが、今回の舞台化に関してはキャストなど特に引っかからなかったのでチケット取りを見送っていました。
 が、初日が開いたら評判が良くて、およよと思っていたらチケットが転がってきたので、千秋楽に出かけてきました。
 企画・製作は東宝、キューブ、ネルケプランニングということなので、いわゆる「2.5次元ミュージカル」なのかもしれませんが、原作漫画が「お金持ち」という非日常要素があるとはいえ基本的には日常系の地に足ついたどメジャー王道ストーリーなので、「あの作品を舞台にするなんてファンタスティック!」とか「こんなふうに舞台化するなんてアンビリーバボー!」みたいな感じはなかったかな。何しろ観たことないのでイメージで語っていますが、2.5次元ってもっとニッチでコアな作品を原作に、舞台ならではのマジックで3次元化しているもので、そこに中の人の人気なんかが加味されているものなのかなーと思っているので。
 でも、2.5次元だろうがただの漫画原作ものだろうが、とにかくオリジナル・ミュージカル(海外ミュージカルの輸入翻案などではない、という意味で)として、すごーくすごーくよくできていたと思いました。楽しかったー!
 何が素晴らしいってまずキャストの歌唱力ですね。ミュージカルなんだから前提条件だろうという気がしますが、そうでない舞台だって多いわけじゃないですか。でも今回はみんなが歌えて、歌詞がはっきり聞こえて感情が伝わって音程の不安定さはまるでなくて気持ちよく伸びる声量があって、聞いていて本当に心地よかったです。
 そしてみんな身体能力が素晴らしい。ダンスだけでなく体のキレ、身のこなしがキビキビしていて清々しい。単に若いから、とかではなく、きちんと訓練された技量を感じました。
 そして演技もちゃんとしている。ややオーバーアクション気味なんだけれど、後方席からノーオペラでもみんながみんなちゃんと伝わる演技をしている。わかりやすくて、きゅんきゅんして、一緒に笑って泣けました。
 ただひとり危なっかしかったのが静役の古畑奈和で、SKE48の子なんですね。アイドルだからダメだと言うつもりは毛頭ないけれど、残念ながら今回は悪目立ちしていたと思います。台詞が下手なのはキャラクターの独特さにスライドしないこともなかったけれど、歌は声量がなくて音程が不安定で聞き苦しかったし、何より立ち姿が美しくなかったのはアイドルとしてももっと勉強していていいところだったのでは…宝塚歌劇の娘役とか見習うといいよ、膝くっつけて踵はちょっとずらして10時10分に開いて立つんだよ、美しいよ!
 まあ、ネームバリューだけはあるテレビ俳優による舞台としては微妙な出来の作品なんかも山ほどあるし、もちろんその知名度に惹かれて私だってホイホイ出かけてしまったりしているわけですが、本来なら今回の舞台の実力あるメンツたちがその名前で客を呼べるようにならなきゃダメですよねー。イヤ役者の名前で舞台を観に行く、という姿勢がそもそも違うと言われてしまえばそれはそうなのですが。
 私は上山さんを『ブラック メリー・ポピンズ』で観たことがあるくらいで、他のキャストは全然知らなかったのですが、もちろん私が知らなかっただけでそれぞれ人気のある人たちなのでしょうが、本当に素晴らしくて感動しました。舞台俳優としてのさらなる活躍を祈っています。

 しかし最終的には、「やっぱ漫画ってすごいな、要するにこれを全部ペンと紙だけでやってるんだからな…」とはちょっと思ってしまいました。
 うむ、2.5次元についても機会あればさらにトライしたいです。いろいろ考えてみたい。しかしそれとは別に、やはりまっさらのところからの舞台オリジナル作品というものもまた、求めていきたいと思ってもいます。





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