映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

オーメン(1976年)

2023-01-07 | 【お】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv1232/


《197X年のとある日の三面記事》

【ロンドン発】×月〇日、ロンドン警視庁は、アメリカの駐英大使ロバート・ソーン氏が、ロンドン市内の教会で死亡したと発表した。発表によると、ソーン氏は、祭壇に息子のダミアン君(5)を押さえつけてナイフを突き立てようとしていたところを、駆け付けた警察官の制止に従わなかったため、射殺されたという。ダミアン君は無事だった。

 ソーン氏は、△月から駐英大使としてロンドンに赴任しており、一家で郊外に暮らしていた。6月のダミアン君の誕生日に自宅で開かれたパーティで、ダミアン君の乳母が自殺を図る事件が起きたほか、その後、妻のキャサリンさんもうつ病を患い、入院していた病室から飛び降りて自死。ソーン氏は、一連の出来事に大きな精神的ダメージを受けていたといい、最近では時折意味不明なことを口走ることもあったという。

 ソーン夫妻の遺体はアメリカ本国へ移送され、後日、〇〇大統領臨席の下で葬儀が執り行われる予定。


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 2023年になりました。今年はどんな年になるのでしょうか。

 さて、新年第一弾のレビューは、“いまさら名画”シリーズ第4弾、ホラー映画の本作となりました。見たのは昨年末なので、今年の初映画ではないのですが、、、。有名なこの映画、実は、未見だったのです。で、レンタルリストに入れておいたら、たまたま年末に届いたのでした。

 ダミアン、666、、、が学校で話題になっていたのをよく覚えています。小学生だった私は、本作について怖い怖いと刷り込まれて、この歳になるまであんまし積極的に見る気がしませんでした。怖い映画好きなのに、です。でもまあ、名画と言われてもいますし、この機会に見てみることにいたしました。

 地味ながら、手堅い作りで楽しめました。


◆事件の背後にあるものは、、、

 冒頭の“ニセ三面記事”は、本作を外形的に捉えれば、こういうことになるのだなぁ、、、とエンドマークが出た後しみじみ感じたので書いてみた次第。恐らくは、三面の下の方の、せいぜい20行くらいのベタ記事でしょうね。日頃目にする事件記事のアレもコレも、蓋を開ければ、そこには信じられないような因果があったのかも知れませぬ。

 はたして、本作でのソーン氏の精神状態はどーだったんでしょうか?

 ……まあ、映画的には本作の後、続編ができているわけだから、ダミアン=悪魔の子、というのは現実だったということなんでしょうねぇ。だから、ソーン氏は 、真っ当なことをしようとしたのに殺されたということになる。愛する妻も亡くなり、もう殺す必要もないではないか、、、と思わないでもないが、国の存亡に関わる!!国家権力を操ろうとしている!!!などと言われたら、大使たるもの、そりゃ命懸けで正義を貫こうとしても不思議ではない。

 と、本作を見て、私は今の日本はまさにこれと同じ状態ではないか、、、と唖然となった。だってそーでしょう? 時の権力組織がカルトに汚染されて、その人たちが躍起になって憲法まで改正しようとしているんですよ?? しかも、現実世界では、権力組織はカルトに汚染されていることにまるで危機感もなければ、ソーン氏のように命懸けでカルトの息の根を止めようとする人もいない。いやー、事実は映画より奇なり、ですな。

 そもそも、我が子が死産だったからといって、どこの誰かも分からない赤ん坊を引き取るかね??と思ったけど、実際に、あのような状況になったら、案外、引き取ってしまうかもしれない。待ちに待って授かった子だったとか、妻に死産だったと伝えるのは忍びないとか、、、。

 今回、見てびっくりしたのは、ダミアンは山犬から生まれた、という設定。聖書では犬はあまり良く書かれていないらしいが、本作でダミアンを守るべく側にいる黒い犬は、あまりお利口そうな感じはなく、どこが“悪魔の化身”やねん、、、と内心ツッコミ。さらに驚いたのが、ソーン氏とカメラマンが2人で、ソーン氏の亡くなった実子の墓を暴くシーン。墓を掘り返すのはともかく、蓋を開けたら、そこには頭蓋骨に大きな穴の開いた嬰児の白骨が、、、。

 この辺の、悪魔云々を調べる一連の展開も、ちょっとご都合主義っぽい感じもあるけど、なかなか見せてくれるシーンもあり、全体に展開も速いし、よく練られた脚本で、小粒でピリリの逸品になっていると感じた次第。


◆その他もろもろ

 本作は、あの『エクソシスト』のヒットを受けて、かなりの低予算で制作された“二番煎じホラー映画”なのだが、二番煎じに甘んじておらず、映画史に残る作品になっていると思う。

 何より、本作は、冒頭に“ニセ三面記事”を書いてしまいたくなるくらい、オカルト要素がないのだ。悪魔云々とストーリー上にセリフで出ては来るが、悪魔自体はもちろん、それを思わせるものも出て来ない。前述したとおり、ごくごく普通の雑種犬にしか見えない黒い犬が出てくるくらいだ。

 あくまでも現実に起こり得る現象を積み重ねて、オカルト、、、ではなくホラー&サスペンス映画に仕立てており、エンタメとしても上々の出来であるところは素晴らしい。

 ソーンを演じたグレゴリー・ペックは、終始、山﨑努に見えて仕方なかった。終盤、ダミアンに悪魔の印を探して「666」を見付けてしまったときの表情や、その後、教会まで狂ったように突き進む演技は、決して、精神に異常を来している様には見せておらず、そこがミソだったと思う。

 怖い怖いと聞かされていた本作だが、見終わってみれば、確かに怖いとも言えるが、本作の真骨頂は、これがソーンの妄想だったんじゃないか、、、と見る者に少しでも疑問を抱かせるようなその巧みな構成にあると思う。狂気と正気の境界を敢えて曖昧にしつつ、飽くまでもペックの演技は正気と見せるという演出がナイスである。

 『エクソシスト』も良いが、本作も勝るとも劣らぬ名作だ。“いまさら名画”シリーズ初の8つ

 

 

 

 

 

 

 

乳母の自殺シーンが一番衝撃的で怖かったかも。

 

 

 

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