本来はkameyaさんがあって、見送りは送迎のバス停って感じだったが、キャンセルとなった事で羽田まで・・・となり、昼過ぎに見送りは終わったのね。本来ならこれでアトリエに戻って、立て直し・・・って事になるのだけれど、今日は違って
実は、タイル屋さんのおかみさんの旦那さんの依頼で、この後、多摩で打ち合わせがあって・・・ただ居酒屋さんの仕事がある・・・それだけしか聞いていなくて、一体どんな仕事なんだろうか?時間と住所だけの打ち合わせって・・・。
だから、作品の写真とアジだのサンマの作品を持って行ったのね。そんなこんなで1時間弱早めの到着となったんだけど、久し振りの高速に久し振りの多摩・・・まずは羽田からなんて行った事が無いし・・・こんな道あったっけ?って感じ。
逆に中央高速に入れば、降り口は判っているんだけれど、この場所には結構ゆかりがあって、昔、妹夫婦が住んでいたり、タイル屋の組合に入っていた頃に高幡不動に来た事があったり、何て言ってもまだ20代の若い頃の修業時代に、
聖蹟桜ヶ丘の駅前の商業施設に何年も通った事があって・・・その頃は実家から会社まで1時間半掛けて行って、職人を乗せて運転してそこからまた1時間半から2時間掛かって・・・通勤だけで5、6時間なんて地獄な日々だったのね。
流石にきつかったが、職人の偉い人を世話焼きって言うんだけど、その人が直行直帰を提案してくれた事で、通勤が半分になって・・・偉く助かったのね。そうかと思うと、ダメ直しなんて言う最後の最後に残務処理があるんだけれど、完成した
場所なんかになると、機械を使えなくて、全部手で壊さないとならなくて・・・何しろお店が営業している中だったりするので・・・そんな仕事なんて、末端の仕事で1人で行かされるんだけれど、携帯も無い時代の話・・・。
それを見にも来ない社長が、いつ終わる?って聞くのね・・・流石にカチンと来て、一生は掛からないと思うんですが・・・って言った事を覚えているのね。何しろ毎日毎日、欠けたタイルを剥がしては張る手作業なんて、一日やっても
数十枚しか出来る訳も無く、そしたら余りにカチンと来たみたいで、職人が何人も来て、いっぺんに終わらせようとしたのね。そんな事をしたら何が起こるか?なんて急いでやる奴らに繊細さなんてある訳も無く、しかも機械を回したのね。
そりゃそうだわ、何しろ繊細さよりも終わらせる早さを取ったんだから。しかも俺には使わせなかった機械をバリバリ使って・・・さてどうなるか?ショーウィンドウが埃で真っ白、洋服にも掛かってしまったり、そりゃ大騒ぎ。
色んな人ともめてたのね。まっ、そうなるわな。結局、一年近く、俺が独りでやる事になり、早くここを辞めたいなぁって気持ちが強くなったかな・・・そうかと思うと、冬は帰り際に水をちょこっとだけ出して帰らないと、凍っちゃうのね。
そんな事、誰が知ってる?知るはず無いじゃん・・・でも理不尽に全部俺のせいになる。その頃の職人の世界なんて、そんなもん。仕事が上手ければ人として鬼畜でもOK。何でも若い奴の責任で良いのね。昼飯でビール呑んでもOK。
花札やって賭け事して・・・まぁ馴染めなかった。そんな中、理不尽は続くのね。一生懸命やって、いつか見返して・・いわゆるハングリー精神なるもので、頑張って職人になった頃、そんな職人の一部は老いて行くのね。
するともう歳だから・・・って言い訳すんのね。最悪だわ。だから肩で風切る奴らが大嫌いなのね。まぁこの国は歴史がそうだから仕方無いんだけれど、何しろ天下取りを目指すと、敵を倒し、味方も蹴散らし、上に登ってたどり着いた頃
歳老いると、出家・・・おいこら、てめえだけ生きる気かよ・・・って言うのが歴史。運動部だってそう。先輩がそうして来たから、俺の時も・・・って。常に上には何も言えずに、下を責める。そしてまたOB、OGになって行く。
うんざりシステム。ただね、俺も58にもなると、戻りたくは無いが、それでも良い事はあって・・・あんな事やこんな事、わずかながらあるのね。田舎育ちの職人さんが、昼休みに多摩川行くぞって着いて行くと、軍手1つでウナギを掴んで
取ったり、掃除のおばさんと銀杏拾いだったり、電気屋さんの配線くずを集めて、掃除のおばさんと表面を切って中の銅を集めて売るとか、戦前かっ・・・なんて事もあったりしたのね。かと思うと、東北から冬に出稼ぎに来ているタイル屋さんが、モルタルを練るたらいに何個もリンゴを持って来てくれて、朝、昼、晩と1日3個毎日何ヶ月も食べた事もあったっけ・・・。
修業ねぇ・・・きっと俺くらいの歳の人が、最後に経験した事なんだろうな。その後の弟弟子だった奴らには、甘かったからな・・・もしそんな事したら1日で辞めちゃうだろうしね。でもお陰で辛抱ってのと、卑屈さは身に付いたのね。
まぁどっちも同じようなもんだから、使い方次第だし、取り方次第なんで、それも能力の1つだったりする。おっと話が大きく反れたけど、数十分待ったけど、そもそも早過ぎる到着だから、特に問題は無かったが、旦那さんも早くて、すんなり合流したのね。
それでお客さんのお宅で打ち合わせとなったが、どうやら室内プレートを作るらしいのね。それで予算はこの位で・・・って事になり、どの位の大きさになりますか?って聞かれたんだけれど、これがいつも難しい話なのね。
ハードルが何個も何個もあるから。まずは予算の話なんだけれど、今回はおかみさんの旦那さんがいるから、値段設定が早かったけれど、普通はおいくら位するんですか?とか、聞かれるのね。ただ宝石や車を買う時、欲しいって来られても
・・・要するにご希望予算で制作するものなのね。ここが難しいのは、例えば看板屋さんに看板を頼んだとするでしょ?文字や大きさなどを言うと、ではいくらです・・・って返答が返って来るのね。明朗会計でしょ?それは字数や書体だけで、
書くって行為は何も変わらないからなのね。つまり書体も既存なら何も考えずに拡大したり、縮小するだけなのね。所がモザイクとなると、タイルは色でも値段は違うし、切り方1つでいくらでも手間は変わって来るのね。
例えば昨日の小学校の卒業制作。葉っぱは2時間掛けて、あの大きさなのに、張るだけのバックはあんなに張れる。切るのと張るのは、分量すらも大きく変わるのね。つまり文字は一緒でもバックはいくらでも変わるのね。
だから大きくして欲しいと言われれば、文字の後のバックは大き目なタイルのクラッシュにすれば手際良くなるし、小さくてもお洒落に凝って欲しいのなら、徹底的に模様や他のモチーフを入れたり、同じ色合いで何とでも出来る。
だから一概に大きさでは無いのね。それと図面を見て、その壁が3mなのか?5mなのか?でも違って来るのね。例えば洋服で考えると、Lの人とSの人のワンポイントの柄を比較して見ると、どんな感じに見える?とか、そもそも体のサイズ分の
柄って考えるのなら、せめてブレザーのエンブレム位は欲しいよな?・・・みたいに、その部屋分の看板って大きさで考えるべきなんだろうな・・・って思うのね。ただこの時点での打ち合わせではこの程度の話だったのね・・・。
でも一通り聞いてお開きとなったんだけど、何かしっくりしなくて、行きは高速を使ったが、ちょっと考え事がしたいのと、久し振りの高速の夕暮れ時では、スピードが怖いから下道で帰る事にしたのね。その考え事って言うのは、看板作り
で良いの?って話・・・もし万が一、作家katsuに頼んでいたとしたら?・・・ただね、この部分は凄く繊細な話でね、そんなの関係無いって人には、全く関係無いし、必要な人は本当に必要な事になっちゃうのね・・・。
ただね、いきなり切り出しづらいのね・・・こっちも。例えば病院なら、どうしましたか?って、たった7文字の質問に、あぁだこうだ・・・と近況説明をするでしょ?これが問診。そう言うのを踏まえて検査なり、診療なのね。
だったら、俺にだってそう言うのはあってしかるべきなんだけれど、まっ普通は、俺ごときが何言ってんのかな?って人の方が多いのね。それとさっきの伏線回収なら、上手い人に任せりゃ、素人は口出ししない方が・・・みたいな感覚。
もし体育会系の考え方の人だと、それが美徳なんて事もあるかも知れないし・・・全ては聞いて見ないと判らないのね。何せ初対面なのだから。しかしながら、問診となると、家族構成やら何故この名前なのか?いわゆる立ち入った話になる。
場合に寄っては、看板を頼んだだけなのに、失礼な質問だな?みたいに取られる事も多々ある。本来はそれがこだわりなんだけれどね・・・しかしながら、病院なんて何処でも良いじゃんやら、車なんて走りゃ良いじゃんみたいな感覚なら、こんな話は面倒臭いだろうし。
でも同じ話を、人に聞いたり調べたり、名医探しなんてする人もいれば、同じボディだとしても、年式だったり、エンジンの内容だったり、金魚の飼育の時だって、餌を何にすると良いか?みたいなこだわる側の人達はとことんなのね。
要するにこだわればお金が掛かるし、こだわらなければ提案通りって言う普通は二者選択になるものなのね。ただ俺はオーダーメイドはしてみたいが、言われた通りの看板も作れる。勿論、イージーオーダーなる言葉だってある。
つまり無理な事もあるが、一体どのkatsuをご希望ですか?なのね。そんなこんなでアトリエに到着すると、きっと倍の時間は掛かっていたと思うのね・・・なら丁度良いかな?と連絡すると、お話が出来て・・・そんな事出来るんですか?
となったので、居間の様子を刑事とまでは言わないが、見て来た話をして、この部屋にあるもの全てが大事なものだろうから、そこから趣味趣向を判断材料に・・・なんてのは、音楽だって買い物だって、予測される訳で・・・。
俺だってそうなのね。そこには見慣れない犬種の犬がいたり、格闘技関連なものがあったり、恐らく息子さんが2人以上いるだろうな・・・とか、情報は稼いではいたが、何故その屋号?とか肝心な事は聞けていなかったのね。
すると、やはりその犬は大事なワードだったのね。その犬こそが屋号・・・アンジーと言うらしいのね。それなら当然
こうなる。まぁ一枚目のラフがここなら、かなり前進していると思うが、実はそんなに時間は無いのね・・・。